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【弁護士Q&A】共有資産の遺言について相談です|弁護士Q&A

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【弁護士Q&A】共有資産の遺言について相談です

共有資産の相続について、「まだ購入していないマイホーム(将来買う予定)は妻に残す。」というような遺言は可能ですか?

遺言とは、簡潔に言えば、自分が亡くなった際に、自分の財産を、誰に、いくら・どれだけ残すのかを、生前に意思表示することです。この意思表示を書面化したものが遺言書ということになり、遺言の中で処分の対象となる遺言者の財産が相続財産ということになります。

まず問題となるのは、現時点では所有していない、将来取得する見込みの財産を、相続財産の中に含めることができるのか、という問題ですが、結論から言えば、このような遺言を行なうこと自体は可能です。
理由は、遺言は、あくまで、遺言者が亡くなったその時点で所有する財産を対象とするものであり、現時点で所有する財産とするものではないからです。

そのため、例えば、遺言書作成後実際に亡くなるまでに増加した分を含めて、亡くなった時点で存在する預貯金を相続する者を、現時点で遺言書の中で予め指定することが可能となります。

但し、このような将来取得見込みの財産を遺言書に書くケースでは、2点、注意が必要です。

1点目は、将来取得見込みの財産が遺言書の中で特定されているか、という問題です。前述の預貯金のような場合は、具体的な口座の情報をもって特定しやすいですが、不動産の場合、本来は、登記簿上の情報をもって対象の特定を行なうものです。

そのため、例えば、近く自身の親族から相続する可能性が高い不動産があるような場合(将来どの不動産を取得するかが特定できる場合)はともかく、現時点で、具体的にどこの不動産を取得するのか全く未定であるという場合は、果たしてどの不動産を相続させる意思だったのか、残された相続人間で揉めるリスクが高くなります。
特に、『マイホーム』という書き方ですと、その時点での現実の居住実態によっては、『マイホーム』の解釈をめぐり紛争となる懸念もあります。

現時点で見込み財産の特定が難しいなら、むしろ、現時点で存在する財産の分割方法を定めた上で、『その他一切の財産を~に相続させる。』といった包括規定を置く方が安全です。その後、特定が可能となった時点で、遺言書を作成し直すことは自由です。

2点目は、取得予定だった不動産を実際には取得せずに亡くなった場合には、遺言の一部が無効となるという問題です。

この場合、遺言書全体が無効になる訳ではありませんが、遺産の総額が変わることで、遺留分の金額にも影響する恐れがありますので、取得できないことが明らかになった時点で、遺言書を作り直しておくのが無難です。

まとめ

  • 将来取得見込みの財産を遺言の対象に加えること自体は可能です
  • 但し、対象が不特定だと相続人間の紛争を招くリスクや、実際に取得できなかったときは遺言が一部無効となるリスクにも配慮した上で、遺言書を作成するべきです

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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