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【2024年最新版】共有物分割請求の前に知っておきたいポイントまとめ|共有持分を相続した方

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【2024年最新版】共有物分割請求の前に知っておきたいポイントまとめ

共有者同士の意見が合わず、共有不動産を活用できずに困っている場合、不動産の共有状態の解消を目的とした請求ができます。

これを、共有物分割請求といいます。

しかし、共有者同士では共有状態の解消に向けた話し合いが進まないこともあるでしょう。

当事者間での話し合いが難しい場合は、共有状態の解消について裁判所に判断を仰ぐことができます。

これを共有物分割請求訴訟といいます。

本記事では、2023年の法改正を踏まえて、共有物分割請求訴訟の前に知っておきたいことを分かりやすく解説します。

<この記事でわかること>

  • 共有物分割の概要
  • 共有物分割訴訟のメリット・デメリット
  • 共有物分割訴訟にかかる費用
  • 共有物分割の方法

1.2023年の法改正のポイント

まず、共有物の分割方法には次の3つがあります。

現物分割共有不動産の持分割合に応じて物理的に分割し、単独名義で所有する方法。
代償分割共有持分と代償金(お金)を交換する方法。
換価分割共有不動産を競売にかけ、落札代金を持分割合によって分配する方法。

2023年の法改正で、共有物分割の裁判に関するルールも変更されました。

これまで、裁判所により決定される共有物分割の方法は「現物分割」または「換価分割」とされており、「代償分割」は明確に含まれていませんでした。

しかし実際には、共有者間の公平を保ちつつ実状に合った妥当な分割方法として、代償分割の判決が出るケースもありました。

このことを踏まえ、今回の民法改正にて賠償分割による分割が可能である旨が明文化されたのです。(民法第258条2項)

また、分割方法の検討順序は明確にされていませんでしたが、次のように明文化されました。(民法第258条3項)

①現物分割または代償分割
 ↓
②換価分割

まずは現物分割または代償分割を検討し、いずれもできない場合や分割によって共有物の価格を著しく減少させるおそれがある場合に、換価分割を行うという順序が明文化されたのです。

2.共有物分割請求とは

共有名義不動産を所有する共有者の一人が、共有状態の解消を求めることを共有物分割請求といいます。

不動産の共有は珍しいことではありませんが、所有者が複数人いるゆえにさまざまなトラブルが起こりやすいです。

なぜトラブルが起こりやすいかというと、他の共有者の同意がなければ大規模な改造や建て替え、共有名義不動産全体の売却ができないからです。

そこで、不動産の活用方法についてこれ以上は話し合っても埒が明かない、共有状態を続けられないという場合に、共有物分割請求を行います。

2-1 共有物分割請求が望まれる事例

共有状態の解消を求めることを共有物分割請求といいますが、では、どのような場合に共有物分割請求を行うのでしょうか。

代表的な事例を紹介します。

2-1-1 複数人で相続した共有名義不動産の分割

親族が亡くなり、とりあえず法定相続分に従って遺産分割を行い、共有名義不動産とするケースは少なくありません。

例えば、実家を兄弟で相続したケースなどが代表的です。

兄が実家を建て替えたいと考えても、弟が同意しなければ建て替えることはできず、弟が実家を売却したいと考えても、兄が同意しなければ売却できません。

さらに、どちらか片方が実家に住み続けている場合など、公平に不動産を活用できていなくても固定資産税や維持管理の負担義務は持分割合に応じてかかってしまいます。

このように、複数人で相続した共有名義不動産の活用を巡って、共有者間で意見が合わず話し合いが難航する場合に、共有物分割請求が行われます。

2-1-2 夫婦共有名義で購入した不動産の分割

夫婦どちらも出資して購入した不動産は、夫婦の共有名義不動産です。

離婚をきっかけに夫婦の共有物である不動産を分割する場合にも、共有物分割請求を行えます。

離婚に伴い自宅不動産を精算する場合、精算方法として財産分与を選択するケースが多いですが、共有物分割請求を選択することもできます。

2-2 共有物分割請求の3つの段階

共有物分割請求には、以下3つの段階があります。

①当事者間の協議
 ↓
②共有物分割調停
 ↓
③共有物分割訴訟

いきなり訴訟の提起はできず、基本は共有者同士の協議で解決を目指します。

共有物の分割について当事者間で協議し、分割方法に合意できればその内容で分割します。

しかし、当事者間の協議で話しがまとまらなければ調停や訴訟といった方法を考えなければいけません。

共有物分割調停は、調停委員が間に入り共有物分割に向けて話し合いをする方法です。

調停委員からのアドバイスを受けて合意を目指しますが、それでも合意できなければ訴訟を提起します。

このように3つの段階がありますが、調停は必須ではありません。

当事者間での話し合いがまとまらなければ、調停は飛ばして訴訟を提起することもできます。ただし、その請求が権利濫用により、認められない可能性があるので注意しましょう。

2-3 共有物分割の方法

共有物分割で裁判所が出す判決は、先述したように3パターンあります。

現物分割共有不動産の持分割合に応じて物理的に分割し、単独名義で所有する方法。
代償分割共有持分と代償金(お金)を交換する方法。
換価分割共有不動産を競売にかけ、落札代金を持分割合によって分配する方法。

これまでの民法では、共有物の分割方法として現物分割と換価分割の2パターンが挙げられていました。

そこで、現物分割が可能かを判断し、現物分割が困難な場合は換価分割の判決が出されていましたが、実際にはこの2パターンの判決ではなく、代償分割とすることも許容されていました。

この許容されていた代償分割が、2023年4月の法改正により共有物分割方法として明文化されています。(第258条2項)

裁判所が分割方法を検討する際には、現物分割または代償分割をまず検討します。

いずれの分割方法も難しい場合や、分割によって共有物の価格を著しく減少させるおそれがある場合は換価分割となります。

この分割方法を検討する順序も、2023年4月の民法改正により明文化されました。(第258条3項)

3. 共有物分割請求のメリット

共有物分割請求のメリットは3つあります。

  • 裁判所に判決を委ねることができる
  • 価格に公平性がある
  • 他の共有者の同意が不要

3-1 裁判所に判決を委ねることができる

当事者間での話し合いでは双方の主張がぶつかり合い、どこまでも着地点が見つからないことがありますが、裁判所は法律に則り分割方法を決定してくれます。

当事者同士では感情が入ってしまうため、当然の主張をしているつもりでもスムーズに話し合いが進まないこともあるでしょう。

しかし裁判所の判決であれば、冷静に受け入れられるというケースもあります。

3-2 価格に公平性がある

代償分割となった場合、持分を取得する人はその代償金を相手に払わなければいけません。

この場合、相手側の言い値では誰かが得をし、誰かが損をするということが起こってしまいます。

しかし裁判所は、共有者間の言い値ではなく裁判所鑑定(裁判所指定の不動産鑑定士)による適正価格をもとに判断します。

根拠と公平性のある価格で判断されるため、納得感があります。

3-3 他の共有者の同意が不要

共有不動産は他の共有者の同意がなければ共有状態を解消できませんが、共有物分割請求訴訟では他の共有者の同意が不要です。

訴訟の提起には他の共有者の同意を必要とせず、裁判所は共有状態の解消を前提に分割方法を決定してくれます。

つまり、共有状態を強制的に解消できます。

4. 共有物分割請求のデメリット

メリットがある一方、デメリットもあるので理解しておかなければいけません。

  • 時間と手間がかかる
  • 費用がかかる
  • 思い通りの結果になるとは限らない
  • 競売になると売却価格が低くなる

4-1  時間と手間がかかる

共有物分割請求訴訟は、時間と手間がかかります。

訴えの提起から半年程度で第1審の判決が出ることがほとんどです。

さらに、控訴審や上告審が続くと数年以上かかってしまう場合もあるでしょう。

その間、拘束時間や手間、精神的負担もかかる点には注意が必要です。

4-2 費用がかかる

共有物分割請求訴訟の提起には、印紙代(裁判所に納付する手数料)や弁護士費用などがかかります。

印紙代は共有物の価値によって異なりますが、不動産の場合はその不動産の固定資産評価額が基準になります。

印紙代や弁護士費用について、詳しくは後述します。

4-3  思い通りの結果になるとは限らない

共有物分割請求訴訟では公平に判決が出されますが、裁判官の裁量が大きく、思い通りの結果になるとは限りません。

例えば換価分割になることを望んで提起したとしても、現物分割や代償分割などの判決が出ることもあります。

4-4  競売になると売却価格が低くなる

現物分割ができず、代償分割も難しいと判断されると換価分割の判決が出ることがあります。

換価分割は競売にかけて落札代金を分割する方法です。

競売による売却は一般的な相場よりも低い金額で落札されることが多く、手元に入る現金が予想していたものより少なくなる可能性があります。

共有物分割請求訴訟のリスクについては、以下の動画でも詳しく解説しています。

5.共有物分割請求の流れ

ここからは、共有物分割請求の具体的な流れを解説していきます。

5-1 共有者同士で協議

まずは、当事者同士での協議や交渉を試みます。

訴訟はメリットだけでなくデメリットもあるため、共有者間での話し合いで解決できればベストです。

ただし、当事者同士での話し合いで解決するかは分からないため、訴訟となったときに備えて協議の申し入れには内容証明郵便を活用しましょう。

後々、「協議をしていない」と相手から言われないようにするためです。

内容証明郵便は、発送日や郵便物の内容、相手の受取日時を証明することができます。

5-2 弁護士に相談

共有者同士での解決が難しい場合は、共有物分割請求に強い弁護士に相談しましょう。

法的に正しい主張ができ、有利に解決するには専門的な知識が必要です。

どのような解決方法を望むのかも大切ですが、どのような解決方法があるかのアドバイスを受けることも大切です。

共有者の人数やトラブルの内容などさまざまなケースがあるため、共有物分割請求に強い弁護士に相談しましょう。

共有不動産に強い弁護士の探し方や、依頼費用などについてはこちらの記事も参考にしてみてください。

5-3 訴訟申し立て

弁護士に間に入ってもらっても解決しない場合は、訴訟を申し立てます。

すでに共有者間で協議を行っている場合は、調停を行わず訴訟の申し立てが可能です。

共有物分割請求訴訟の申し立て先は、共有不動産の所在地、または被告の住所地を管轄する地方裁判所です。

被告とは、訴訟を受けた他の共有者のことを指します。

主に以下の必要書類を提出し、申し立てます。

  • 訴状の正本および副本
  • 収入印紙
  • 固定資産評価証明書
  • 全部次項証明書(登記簿謄本)

訴状の正本に収入印紙を貼り付けて裁判所に提出します。

訴状は弁護士が作成し、副本は自分以外の共有者全員に送付します。

固定資産評価証明書は所轄の役所で取得でき、全部事項証明書(戸籍謄本)は法務局で取得可能です。

5-4 呼出状の送付

訴訟の申し立てから1ヶ月ほどで、共有者全員に対して裁判所から呼出状が送付されます。

呼出状とは、民事訴訟で原告や被告などに期日を知らせ、出頭を命じることが記載されている書面のことです。

呼出状には答弁書も添えられています。

答弁書とは、訴訟に関する認否や意見を記載して提出する書面のことです。

他の共有者は、呼出状が届いたことをもって訴訟を起こされていることに気づきます。

口頭弁論期日に出席できない場合は、答弁書に必要次項を記載し、期日の一週間前までに裁判所に提出しなければいけません。

どちらも行わなければ、原告(訴訟を申し立てた人)の主張がそのまま判決結果になる可能性があります。

5-5 裁判開始

裁判所は、口頭弁論または答弁書をもって各共有者の主張を審理します。

弁護士に相談している場合、口頭弁論には弁護士が出席するので、当事者が必ず出席しなければいけないものではありません。

他の共有者から反論がある場合などは、複数回にわたって口頭弁論が行われることもあります。

5-6 和解または判決

裁判所は各共有者の主張を審理しますが、審理の途中で裁判官から和解勧告を受け和解により終結することが多くあります。

和解すると早期に解決でき、当事者が主張した合理的な分割方法で不動産を分けられるケースが多いです。

和解不成立の場合は判決を待たなければいけません。

先述した現物分割・代償分割・換価分割の3つの分割方法のうちいずれかの判決が下されます。

判決に不服の場合は、控訴を申し立てます。

6.共有物分割請求にかかる費用

調停や訴訟となると費用がかかります。

共有物分割請求訴訟にかかる費用はトータルで50~150万円が相場です。

主な内訳を解説していきます。

6-1 弁護士費用

有利に解決するには専門的な知識をもつ弁護士に依頼する必要があり、弁護士費用が発生します。

弁護士費用は「着手金」と「報奨金」に分かれており、相場はどちらも20~30万円ほどです。

着手金は依頼の際に支払うもので、結果に関わらず発生します。

報奨金は裁判の成功に応じて支払う報酬です。

報奨金は経済的利益の額によって定めている弁護士事務所が多くあります。

経済的利益とは、解決したときに依頼者が得られる経済的な利益のことです。

成功に応じて支払う報酬ですから、成功には一部成功も含まれ、その度合いに応じて報奨額が変動します。

算定方法は弁護士事務所によって異なるため、いくつかの弁護士事務所に見積もりを依頼したほうがよいでしょう。

6-2 訴訟費用

共有物分割請求訴訟の提起には印紙代もかかります。

印紙代はその不動産の固定資産評価額によって変動し、土地の場合は固定資産評価額の6分の1、建物の場合は固定資産評価額の3分の1を計算し、さらに持分割合を乗じます。

こうして算出された額によって、裁判所の手数料が決まっています。

例えば、土地の固定資産評価額に6分の1と持分割合を乗じて算出された額が500万円だったとしましょう。

裁判所の手数料の一覧を抜粋したものが次の通りです。

420万円26,000円
440万円27,000円
460万円28,000円
480万円29,000円
500万円30,000円

手数料一覧に当てはめ、今回のケースでの収入印紙代は3万円となります。

一般的にも3~5万円の収入印紙代となるケースが多いです。

さらに、裁判所が当事者に書面を郵送するための郵便切手代も支払わなければいけません。

郵便切手代は相手方が一人の場合6,000~8,000円、二人以上の場合は人数が増えるごとに約2,000円ずつ加算されます。

6-3 不動産鑑定費用

共有物分割請求訴訟では不動産の価格を公平に判断するために、不動産鑑定が必要となる場合もあります。

不動産鑑定士による鑑定費用は、裁判所が選任する不動産鑑定士により異なります。

他には建物のみなのか土地も含むのかなど、不動産の性質によっても異なりますが、目安は20~30万円です。

まとめ

共有物分割請求において、協議で解決できない場合は共有物分割請求訴訟を提起できます。

共有物分割請求訴訟には次の3つのメリットがあります。

  • 裁判所に判決を委ねられる
  • 価格に公平性がある
  • 他の共有者の同意が不要

一方で、次のようなデメリットもあることに留意しなければいけません。

  • 時間と手間がかかる
  • 費用がかかる
  • 思い通りの結果になるとは限らない
  • 競売になると売却価格が低くなる

共有物分割請求では内容証明郵便を活用しながら、まずは当事者同士での協議を試みます。

しかし解決が難しい場合は共有物分割請求に強い弁護士に相談し、状況に応じて調停や訴訟を検討しましょう。

専門的な知識をもつ弁護士に依頼することで、有利に解決するためのサポートを受けられます。

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など共有持分をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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