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共有持分を売却する際の売買契約書を解説~作成時の注意点やひな形も紹介します~|共有持分の売却・買取

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共有持分を売却する際の売買契約書を解説~作成時の注意点やひな形も紹介します~

単独名義の不動産と共有名義の不動産では、売買契約の流れや売買契約書に記載するべき事項が異なります。

また、他の共有者との意見が割れ、共有不動産のうち「自身の持分のみ」を売却する場合、売却後にトラブルになりやすい注意すべき点があります。

本記事では、売却後のトラブルを防ぐために、売買契約書で触れておくべき事項について解説します。

1.不動産売買契約書とは

不動産売買契約書は、売買契約を結ぶ際、契約内容に相違がないかどうか、売主と買主それぞれが確認するうえで重要な役割を果たす書類です。

不動産売買契約書には、対象となる土地や建物の住所、面積、売買金額、支払い時期、売主と買主それぞれの氏名や住所が記載されています。

売買契約は、口約束でも成立しますが、書面に残すことで、後々のトラブルを防いだり揉め事を最小限に抑える意味でも重要な書類です。

1-1.売買契約書は誰が作成するのか

不動産売買の多くは、不動産仲介業者等を通じて取引されます。

その場合、売買契約書の作成は、不動産仲介業者がおこないます。

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し(中略)契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく(中略)書面を交付しなければならない

:宅地建物取引業法第37条

個人間で不動産売買の取引をおこなう場合は、売主と買主で話し合い、売買契約書を作成します。

その際、双方が納得する方法で契約書の作成をおこなう必要があります。

売買契約書に決まったひな形はありませんが、不動産や法律などの専門的な知識が必要になるため、個人間で合意した取引でもできれば不動産仲介業者や弁護士へ作成依頼することをおすすめします。

1-2.重要事項説明書作成の注意点

重要事項説明書とは、宅地建物取引業法にもとづき、物件や取引の内容など、必要な情報が記載された書面で、不動産売買の取引にあたり売買契約書とあわせて必要な書類です。

売買契約書は、個人でも作成できますが、重要事項説明書は必ず「宅地建物取引士」が作成する必要があり、「宅地建物取引士」が作成しなければ法的効力はありません。

1-3. 売買契約書の紛失時の対応

契約締結後に、売買契約書を紛失してしまった場合、どうなるのでしょうか。

買契約書は、住宅ローンの借入や特別控除等、税制上の優遇措置を利用する際に必要です。

万が一紛失してしまった場合は、取引に関与した売主または不動産仲介業者に署名捺印をしてもらい再発行を依頼しましょう。但し、再発行した売買契約書には収入印紙の貼付が必要になります。

再発行よりも簡単な方法は、売主または不動産仲介業者からコピーをもらう方法です。コピーであれば、捺印や収入印紙を貼付が不要です。

2.単独名義と共有名義の不動産取引

通常(単独名義)の不動産売買の場合と共有名義不動産の売買では、どのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、売主の視点で解説します。

2-1.通常(単独名義)の不動産売買

単独名義の不動産を売買する場合、当然ですが所有者の単独の意思で売買をおこなうことが可能です。

多くは、不動産仲介業者を通じて売買契約が進んでいきます。仲介手数料がかかることを理由に、業者を入れずに個人間での取引を希望する方もいらっしゃいますが、仲介業者を挟まない売買の場合、買主側は住宅ローンの借り入れが難しくなります。

不動産は、大きな買い物のため後々のトラブルも想定し、個人間ではなく仲介業者へ依頼することをおすすめします。

業者によっては、仲介手数料が無料のところもありますので、探してみましょう。

2-2.共有不動産全体の売買

共有不動産を全体売却する場合、共有者全員の同意が必要です。

同意に加えて、共有者全員の必要書類と売買契約書には共有者全員の署名・捺印が必要です。

3.自己持分のみを売却する場合

では、共有不動産を所有していて、共有者の意見が割れている場合はどうなるのでしょうか。

共有不動産全体を売却するには、共有者全員の同意が必要ですが、自身の持分のみであれば、単独の意思で売却可能です。(民法206条)

但し、共有不動産は不動産の中でも特殊なジャンルです。自身の持分のみを第三者に売却するということは、残された他の共有者はまったく知らない人と不動産を共同所有することになります。

売却を巡って他の共有者とトラブルになるケースも珍しくありませんので、共有持分を売却する際は、共有持分の売買実績が豊富な不動産仲介業者を選ぶことが大切です。

3-1.共有持分の売買契約の流れ

共有不動産のうち、自身の持分のみを売却したい場合、まずは通常の不動産売却と同様に、「いくらで売れるのか」複数の不動産仲介業者へ査定を依頼することからはじめます。

共有持分を売却したい場合の不動産業者の選び方は、下記の記事で詳しく解説しています。

参考:共有持分の買取業者どう選ぶ?~選ぶポイントと共有不動産の売却の方法~

3-2.共有持分の売却に必要な書類

共有持分の売却に必要な書類は、下記の4種類です。

  1. 登記済み権利証
  2. 土地測量図及び境界確認書(土地の場合)
  3. 身分証明書と住民票
  4. 印鑑・印鑑登録証明書

(1)登記済み権利証

登記済み権利証は、その不動産の所有者であることを証明するもので、持分を取得する際に法務局から登記名義人に交付されます。

※2005年(平成17年)3月以降に持分を取得している場合は、登記済権利証(登記済証)の代わりに「登記識別情報通知」で登記識別情報が通知されます

共有持分の売却時には、12桁の登記識別情報が必要となります。

(2)土地測量図及び境界確認書(土地の場合)

共有持分が土地の場合、土地の面積と隣地との境界を証明するための書類です。

土地の境界が曖昧な場合は、買い手がなかなか見つからず売却が難しくなるため、土地家屋調査士に依頼し土地境界確定測量をおこなうケースが一般的です。

(3)身分証明書と住民票

売却する本人の身分証明書と住民票が必要です。

自身の持分のみ売却する場合は、他の共有者の分は不要です。

(4)印鑑・印鑑登録証明書

売却する本人の実印・印鑑登録証明書が必要です。

自身の持分のみ売却する場合は、他の共有者の分は不要です。

3-3.共有持分の売買契約書のひな形

自身の持分のみを売却する場合、他の共有者の同意は不要のため、売却する本人が売主として署名捺印します。

売買契約書は不動産会社が作成することが一般的ですが、(財)不動産適正取引推進機構による標準的売買契約書のひな形がよく使われます。

自己持分のみを売却する場合は、売買契約書上に本人の「持分割合」を記載し、持分のみの売買であることを明記する必要があります。

持分割合は、夫婦での共同購入であれば「それぞれが負担する金額の割合」で決まるのが原則です。 持分は、夫婦だから単純に2分の1ずつ、というわけにはいきません。住宅の購入価格と諸費用 (引越代や家具購入費など間接的にかかる費用は除きます)を含めた総額に対して、 それぞれが、いくらずつ負担したのかによって決まります。

相続の場合は、法定相続分に従って持分割合が決まります。

3-4.共有持分の売買契約書における注意点

自身の持分のみを売却する際、他の共有者が居住しているなどの理由で内見が難しいケースがあります。

共有持分を売却した後のトラブルを防ぐためにも、売買契約書内でおさえておくべき点を解説します。

(1)契約不適合責任(瑕疵担保責任)の免責

以前は、「瑕疵担保責任」という名称で呼ばれていました。

売買契約の締結後、対象となる物件に何らかの瑕疵があった場合に、売主は一定の責任を負うことが定められています。

第562条 買主の追完請求権
第563条 買主の代金減額請求権
第564条 買主の解除権/損害賠償請求

これらは、契約書に盛り込むことで、「知っていたにも関わらず告知しなかった」場合を除いて免責となります。

但し、契約不適合責任は「任意規定」のため、それらと異なる契約内容が契約書に記載されている場合は、そちらが優先されます。

(2)実測測量はしない(登記簿上の面積と異なっても責任追及しない)

共有持分の売却に必要な書類として、土地測量図及び境界確認書を挙げましたが、面積の調査については、実測測量せずに登記簿に記載されている情報を正とみなし、売却価格を決める場合もあります。

その場合、売却後に実際の面積と差異が生じても責任追及しないことです。

(3)設備の修復義務を負わない

売却後に不動産の設備に不備があった場合でも、売主は修復や修復にかかる費用を負担する責任を負わないということです。

単独名義で購入した不動産を共有名義に変更できますか?

共有にするかどうかは「単有名義にするか共有名義にするかは、売買契約前に決めておく」ということが重要です。売買契約時に夫婦の持分をいくらずつにするか、ということまでは決まっていなくても構いませんが、単独名義にするか共有名義にするかはあらかじめ決めておく必要があります。

共有名義にする場合、売買契約書へ連名で署名・押印しますし、売買契約締結前にされる重要事項説明も共有名義となる人全員が聞き、重要事項説明書へも連名で署名・押印します。

万が一、単独名義で売買契約書を交わした後、決済日前に共有名義へ変更する事情が生じれば、不動産会社へ連絡して、それぞれの書類へ署名押印を付け加えるか、もしくは契約書類自体を差し替えるなど何らかの手続が必要となってしまいます。 余計な手間を省くためにも、しっかりと事前に決めておくのがポイントです。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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