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【2023年最新版】知らないと損する!共有者の同意なく共有持分を放棄する方法

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【2024年最新版】共有持分の放棄は早い者勝ちって本当!?

共有持分の放棄は、早い者勝ちと言われています。本記事では、共有持分の放棄を検討している方向けに、持分放棄の手続き方法や注意点を解説します。

この記事でわかること

  • 共有持分放棄の概要
  • 共有持分を放棄する際の注意点
  • 共有持分を放棄するための手続き

1.共有持分の放棄とは?

共有持分とは、1つの不動産を複数人で共有する場合のそれぞれの所有権のことです。

共有持分の放棄とは、登記済みの自身の持分を放棄することを指します。放棄の話で、混同しやすいのが「相続放棄」と「共有持分放棄」のちがいです。

まず、相続が発生した際には、亡くなった方が所有していた土地や建物の名義を相続人へ変更する相続登記の手続きが必要です。この相続登記の前後で、放棄の種類が変わってきます。相続登記の前であれば、相続放棄。後であれば、共有持分の放棄になります。相続放棄は、亡くなった方の残したすべての遺産を放棄することで、放棄した者は最初から相続人ではなかったことになります。

一方、共有持分の放棄は、すでに自分が相続した遺産(不動産)の所有権を放棄することを指します。

この記事では、相続登記が完了した後の「共有持分の放棄」について詳しく解説していきます。

相続登記後に共有持分を放棄する代表的な理由としては下記となります。

  • 他の共有者と意見が割れ話し合いが進まないから
  • 他の共有者と疎遠で連絡を取りたくないから
  • 他の共有者から放棄してほしいと言われたから
  • 遠方のため物件の管理ができないから
  • 固定資産税や管理費を負担したくないから

持分放棄理由の多くは、「面倒なことに巻き込まれたくない」「トラブルの火種を子供にまで相続させたくない」 の二つです。中にはトラブルを避けるために、納得できないまま渋々放棄を決断した方もいらっしゃいます。

共有持分の放棄でお困りの場合は、放棄以外の選択肢がないかも含めて、一度専門家に意見を求めてみることをおすすめします。ケースによっては、放棄以外の手段で問題解決できることもあります。

2.共有持分を放棄する流れ

共有持分を放棄には、二つのステップがあります。

2-1 放棄する意思表示をする

持分放棄の意思を伝えるためには、まず他の共有者に対し口頭で意思表示をおこないます。その後、意思表示した事実を残すため内容証明郵便を利用し、他の共有者に再度意思表示しましょう。

口頭で意思表示をする前に、突然、内容証明郵便を他の共有者へ送ってしまうと、受取側が不快に感じてしまい、その後のやり取りが円滑に進まないケースがあるため、必ず口頭での意思表示を先におこないましょう。

また、持分の放棄を巡って訴訟に発展した場合に、内容証明が裁判での証拠書類になります。内容証明の内容が適切でない場合、有効な証拠として扱えない可能性があります。そのため、内容証明郵便は自身で送らず、代理人として弁護士や司法書士に依頼するのがおすすめです。

2-2 持分放棄の登記を行う

持分放棄をするには、登記変更の手続きが必要です。

他の共有者の同意は不要ですが、登記変更の手続きには、他の共有者の情報書類が必要になります。登記手続きについては、後で詳しく解説しますが、他の共有者の協力が得られない場合は手続きが難航することもあります。

共有不動産では、共有者それぞれに意思があるため、処分の方法や管理について全員が納得する落としどころを見つけるのが大変です。

例えば「固定資産税の負担が重いので、自分の持分10㎡の一部分を放棄して固定資産税を軽くしたい」など、共有持分は一部だけ放棄することができるのでしょうか?それともできないのでしょうか?

次の項目で詳しく解説します。

3.共有持分の一部だけを放棄することは可能?

「相続した持分の固定資産税を軽減したいが、全部は手放したくない」「亡くなった親との繋がりとして一部は残しておきたい」などを理由に、持分のうち一部のみを放棄したいという方もいらっしゃいます。

結論、共有持分の放棄は、自身の持分のうちを一部のみ放棄することはできず、自身の持分全部を放棄することが前提となります。

全部放棄の他に、自身の持分を他者に譲渡する方法として、売却と贈与があります。

共有持分を売却する場合、他の共有者の同意は不要です。(民法206条) 買い手さえ見つかれば、自分の持分のみを売却し、現金化できます。

共有持分を贈与する場合は、相手方の受託が必要です。贈与する相手は、他の共有者または第三者でも構いません。

4.持分放棄はスピード勝負!?早い者勝ちって本当!?

基本的には、共有持分の放棄は自身の意思で可能ですが、放棄ができないケースもあります。それは自分より先に他の共有者が放棄し、自身が最後の一人になってしまった場合です。

共有持分の放棄は、放棄の意思表示を示した後、持分放棄の登記申請を行うことで成立します。放棄した持分は他の共有者に帰属するため、他の共有者が次々に持分を放棄し最後の一人になってしまった場合、自身が「単独所有権」を持っていることになります。

単独所有権とは、一個人が単独でもつ不動産の所有権のことです。単独所有者は放棄の登記をすることができないため、共有持分の放棄は早い者勝ちといわれています。

最後の一人になってしまった場合は、売却や贈与など別の手段を考えましょう。

5.共有持分を放棄時の固定資産税に注意!

共有持分を放棄した場合でも、自身の持分に対し固定資産税が発生するケースがあります。

固定資産税とは、土地や家屋などの固定資産に対して課せられる税金です。固定資産税は、割賦期日(その年の1月1日)に固定資産課税台帳に登録された者に課税されます。

そのため、共有持分を放棄する意思表示をしても、登記の変更がされていない場合や1月2日以降に登記の変更を行っている場合は、固定資産税を負担しなければなりません。

固定資産税の金額は、固定資産税評価額×標準税率(1.4%)で計算されます。

固定資産税評価額は、「固定資産評価証明書」に記載されており、不動産が所在する市町村役場の窓口(東京23区内は都税事務所 )で取得できます。

固定資産税の支払いは、年4回の分割方式が一般的です。東京23区の場合は各都税事務所、その他は各市町村役場によって、納付期限が定められています。

また、共有持分の固定資産税は、各共有者が個別で払うのではなく、代表者一人に納付通知書が届くため、代表者がまとめて払うことが一般的です。

6.共有持分移転登記の流れ

共有持分移転登記は、他の共有者と一緒に行う必要があります。

共有持分移転登記を申請する際は、下記の書類を共有不動産の所在地を管轄している法務局へ提出します。

6-1  共有持分移転登記に必要な書類

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報
  • 登記識別情報
  • 固定資産評価証明書
  • 登記権利者の住民票
  • 登記義務者の印鑑証明
  • 委任状 ※代理人が申請する場合

① 登記申請書

登記申請書は、法務局の公式サイトよりダウンロードできる書類です。

記載例もありますので、参考にしながら記入しましょう。

参考:不動産登記の申請書様式について(法務局)

② 登記原因証明情報

登記原因証明情報とは、登記に至った原因又は法律行為を記載した書面のことです。

相続した不動産の共有持分を放棄する場合は、原因は「相続」、法律行為は「放棄」となります。

登記原因証明情報は、自身で作成する他に司法書士に作成を依頼することも可能です。

③ 登記識別情報

登記識別情報とは、不動産の名義変更をした際、新たに名義人となる人に登記所から通知される書類(情報)です。登記登記識別情報は、不動産を管轄する登記所で発行されます。

④ 固定資産評価証明書

固定資産評価証明書は、土地や建物などの固定資産の評価額を証明する書類です。固定資産評価証明書は、市区町村(東京都は都)の担当課窓口で取得できます。

⑤ 登記権利者の住民票

共有持分の場合、登記権利者は「持分を取得した人」が該当します。

⑥ 登記義務者の印鑑証明

共有持分の場合、登記義務者は「持分を手放した人」が該当します。

⑦ 委任状

共有している不動産が遠方で、自身が出向くことができない場合など、代理人が申請する場合は委任者本人が作成した委任状が必要です。

6-2 放棄する人が準備するもの

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報
  • 登記識別情報
  • 固定資産評価証明書
  • 自身の印鑑証明
  • 委任状 ※代理人が申請する場合
  • 実印

6-3 他の共有者に準備してもらうもの

  • 住民票
  • 本人確認資料
  • 認印

7.他の共有者の協力が得られない場合

共有持分放棄の意思があるにも関わらず、他の共有者が登記申請の協力をしてくれない場合、「登記引取請求訴訟」を利用すると、単独での持分移転の登記手続きが可能です。

登記引取請求訴訟とは、持分を放棄した人が、登記申請を実行する権利がある旨を裁判所に主張する訴訟のことです。

登記引取請求訴訟をおこなうために、まずは内容証明郵便を利用し、持分放棄の意思を伝えます。

7-1 登記引取請求訴訟に必要な書類

放棄の意思を伝えた後、下記の書類を他の共有者の住所地を管轄する裁判所に提出します。他の共有者が複数の住所地に分かれている場合は、すべての管轄裁判所へ提出が必要です。

  • 訴状
  • 添付書類
  • 証拠書類の写し

① 訴状

訴状の作成は、自分で作成することもできますが、基本的に弁護士へ依頼します。裁判所提出用と被告への送付用で2部作成します。

② 添付書類

不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書を準備します。

③ 証拠書類の写し

放棄の意思表示をした際の内容証明郵便の写しなど、証拠書類がある場合は、裁判所提出用と被告への送付用で2部準備します。

7-2 登記引取請求訴訟にかかる費用

  • 裁判所へ納める手数料
  • 弁護士への依頼費用
  • 書類の郵便や取得にかかる費用

① 裁判所へ納める手数料

裁判所へ納める手数料は、訴訟の目的物の価格によって定められています。

不動産の場合は、固定資産評価額で決まることが一般的です。

参考:裁判手続き案内(裁判所)

② 弁護士への依頼費用

弁護士事務所によって異なりますが、一般的には相談料、着手金、成功報酬、日当などの費用が発生します。

③ 書類の郵便や取得にかかる費用

訴訟に必要な書類を取得する際の手数料や提出時の郵送費用が発生します。

※あくまで概算費用ですので、実際の料金は変わる場合があります

まとめ

今回は、共有持分の放棄について解説しました。共有持分の放棄には、意思表示のほかに登記の変更が必要です。

登記の変更には、他の共有者の協力が必要ですが、中には協力が得られないケースも存在します。その場合は、登記引取請求訴訟を利用できます。訴訟の手続きには、共有持分に詳しい弁護士や不動産屋の協力があると心強いです。

共有持分に関するお悩みは、中央プロパティーへご相談ください。

この記事の監修者

岡田 卓巳オカダ タクミ

弁護士

弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。不動産の共有関係解消など相続と不動産分野の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。

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