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共有持分売却時の
未払い管理費用について(民法254条)|弁護士Q&A

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共有持分売却時の
未払い管理費用について(民法254条)

屋根を修繕しているイメージ

ご相談内容

AとBは甲建物を2分の1ずつ共有しています。先日、台風の影響で屋根から雨漏りするようになり、屋根の工事を行いました。
その修理代金は200万円であり、Bは金銭的余裕がなく、Aが全額立て替えて修理業者には支払いをしました。その後、更にBは金銭的に苦しくなり、甲建物の共有持分の2分の1を売ろうと考えています。
Bとしては、どうにかして現金を得たいと思っていますが、このように未払いの費用(本件では屋根の修理費用)があっても共有持分の売却はできるのでしょうか。

共有持分売却時の未払い管理費用について(民法254条)でA、Bの共有名義の屋根を修繕して、Aが全額費用を負担したが、Bは自分の持ち分だけ売れるのか考えている図

解決までの流れ

1. 共有物の管理及び管理費用について

共有物の管理について、民法には以下の規定があります。

(共有物に関する負担)

民法253条:「各共有者は、その持分に応じ管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。」

とあるように、持ち分に応じて管理の費用を支払わなければなりません。管理の費用とは、「共有物の維持・利用・改良のための必要費・有益費」のことをいい、本件の屋根の修繕は共有物の管理をするのに必要な事項に当たるため、「管理費用」に該当します。その修理代金の200万円は持分の割合に応じて負担することになります。

本件の場合、持ち分割合は均一(2分の1ずつ)なため、ABはそれぞれ100万円ずつ負担する義務があることになります。

2. 特定承継人への請求

Bは管理費用の持ち分100万円について支払いをしていません。ところが、Bは修理代金未払いのまま共有持分の売却をしたいと考えているようです。そのようなことは可能なのでしょうか、また、仮に売れたとしても修理代金はどのようになるのでしょうか。民法には以下の規定があります。

(共有物についての債権)

民法254条:「共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。」

  • 特定承継とは、「他人の権利義務を個別的に取得すること」をいい、承継する者を特定承継人と言います。売買、交換、贈与などによる普通の権利の承継は特定承継の典型例です。

現在AはBに対して100万円の修理代金の債権を有していますが、Bが共有持分を売却し、第三者(C)が買い受けた場合、AはC特定承継人であるCに対してもこの100万円を請求できます。

ただ、本件のBのように管理費用の未払い分があっても売却を禁止する規定はありませんので、売却自体は可能です。

このようなケースの場合、当社であれば、未払い管理費用も含めて売却することができます。Bに100万円の未払い修理費用(管理費用)がある場合、その部分の処理についての清算も承ります。具体的には売却代金の中から捻出し、Aへの弁済を行います。

そうすることで将来のトラブルの防止にもつながります。
当社では先を見据え、また最大限お客様のリスクヘッジができるよう最適なご提案をさせて頂きます。

中央プロパティーのスタッフの顔写真

当社では、共有持分に関するトラブルを多く解決してきました。共有持分を売却することが解決策のすべてではございません。
お客様の状況にあった最適な解決策を当社ではご提案させて頂きます。是非一度ご相談ください。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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