共有名義から単独名義に変更する際の費用とは?手続きの流れや注意点
共有名義から単独名義に変更する際の費用とは?手続きの流れや注意点

目次
不動産を共有名義にしている場合、他の共有者とのトラブルが発生しやすいリスクがあります。
そのため共有名義は可能な限り避けた方が良いと言われていますが、共有名義と単独名義にはどのような違いがあるのでしょうか。
また、共有名義のメリットとデメリットを具体的に知ることで、単独名義に変更する必要性も感じられることでしょう。
共有名義を単独名義に変更する方法と、共有者間で話し合いが難航する場合の解決法も解説します。

共有名義と単独名義のちがい
複数人で所有している不動産を共有名義不動産と言い、共有名義になる背景には相続や夫婦でのマイホーム購入があります。
例えば実家を兄弟で相続した場合や、夫婦で共同出資してマイホームを購入した場合などです。
不動産を取得すると所有者を公示するために登記しますが、単独名義であれば一人の名義で登記し、共有名義であれば複数人の名義と持分割合を登記します。
つまり、共有名義の登記簿には共有者全員の名前と持分割合が表記されます。
共有名義と単独名義の違いは、登記上だけではありません。不動産の活用のしやすさにも違いがあります。
単独名義の不動産であれば他人とのルールもなく、自身の意思で売却や増改築ができますが、共有名義では以下のように法律で決められた行為の制限があります。
【共有物の管理】
※2023.4.1から適用開始(民法改正)
内容 | 具体例 | 行為の制限 | |
保存行為 | 共有物の現状を維持する行為 | ①共有物の修理 ②不法占拠者への明渡請求 | 各共有者が一人で対応可能 |
管理行為 | 共有物を利用する行為 | 共有物を貸すこと | 共有者の持分価格の過半数で決定 |
変更行為(軽微な変更) | 形状または利用の方法の著しい変更をもたらさない行為 | ①外壁や屋根の修繕 ②砂利道のアスファルト塗装 ③植樹伐採 | 共有者の持分価格の過半数で決定 |
変更行為(軽微な変更以外) | 共有物の形状もしくは性質に変更を加える行為 | ①共有物の売却 ②別荘の増改築 | 共有者の全員の同意が必要 |
例えば共有名義不動産の売却は変更行為(軽微な変更以外)に該当するため、共有者全員の同意がなければ売却できません。
共有名義不動産を賃貸する場合は管理行為に該当するため、共有者の持分価格の過半数が必要です。
これまではリフォームも変更行為として共有者全員の同意が必要でしたが、2023年の法改正により「変更行為(軽微な変更)」が追加され、リフォームなどは共有者の持ち分価格の過半数で決定できるようになりました。
共有名義のメリット
先述したように、相続により共有名義となるだけでなく、マイホームなどの購入をきっかけに共有名義となるケースもあります。
一般的に共有名義は避けたほうが良いと言われていますが、それでも共有名義を選択するのはなぜなのかと疑問に感じたことがあるかもしれません。
それは、共有名義には次のようなメリットがあるからです。
- 税制メリットがある
- 税金の負担が分割できる
- 単独名義よりも高額なローンを組みやすい
- 居住者から持分割合に応じた家賃収入を得られる
税制メリットがある
多くの場合、住宅の購入では住宅ローンを利用します。
住宅ローンを利用して住まいを購入した場合、要件を満たすと住宅ローン控除を受けられます。
住宅ローン控除とは所得税や住民税の控除を受けられる制度です。
単独名義であれば住宅ローンを組んだ当事者のみしか控除を受けられませんが、共有名義であれば各々が控除を受けられるため節税効果が大きくなります。
また、マイホームを売却して利益が発生した場合に受けられる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例」も、不動産の名義人が各々受けられるため節税効果が高まります。
この制度はマイホームを売却した際の譲渡所得から最大3,000万円まで控除されるものです。
例えば夫の単独名義の家を売却した場合に受けられる特別控除は3,000万円ですが、夫婦共有名義の家を売却した場合に受けられる特別控除は夫婦で合計6,000万円となり、大きな節税効果が期待できます。
税金の負担が分割できる
不動産を所有すると固定資産税や維持管理に関する諸費用の負担が発生します。
単独名義であれば名義人が一人で負担しますが、共有名義の場合は民法253条に次のように定められています。
各共有者はその持分に応じ管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
引用元:民法第253条
つまり、共有者全員で共有名義不動産にかかる固定資産税や維持管理費用を出し合うということです。
仮にA・Bが1/2ずつの持分割合で固定資産税が14万円だった場合、それぞれが7万円ずつ支払えば良いので、一人あたりの負担を減らすことができます。
単独名義よりも高額なローンを組みやすい
住宅ローンの借入金額は名義人の収入を基準に上限が決まるため、単独名義では希望する家のローンが組めないということがあるかもしれません。
しかしマイホームを共有名義で購入するとなれば、二人分の収入を基準に上限が決まるため、借入可能額が大きくなります。
一人では組めない高額なローンを組むため、購入物件の予算を上げたり頭金を減らしたりすることができます。
また何よりも「2人で住宅ローンを返していこう」という意識も高くなることからペアローンを利用するケースが近年増えています。
居住者から持分割合に応じた家賃収入を得られる
共有名義不動産には各共有者は所有する持分割合がありますが、持分割合に応じた利用しかできないわけではありません。
各共有者は持分割合に関わらず不動産全体を利用する権利があります。
しかし、共有者の一人が居住しているため他の共有者は不動産を利用できないというケースも少なくありません。
そこで、このような場合は居住者から持分割合に応じた対価として賃料相当額(家賃)を得られる可能性があります。
家賃の金額は厳密に決まっておらず、共有者間での合意で決定します。
一般的には近隣物件の家賃相場を参考に、持分割合に応じて算出します。
共有名義のデメリット
解説してきたように共有名義にはいくつかのメリットがありますが、デメリットからも目を逸らさないようにしなければいけません。
共有名義のデメリットは以下のような点が挙げられます。
- 不動産の活用に制限がかかる
- 共有者間でトラブルになりやすい
- 権利関係が複雑になる
不動産の活用に制限がかかる
単独名義と共有名義の違いでも触れたように、共有名義は不動産の活用に制限があります。
不動産全体を売却したいと考えても、共有者全員の同意がなければ売却できません。
この場合に持分割合は関係ないため、仮にAが持分1/2、Bが持分1/4、Cが持分1/4のように持分割合に差があったとしても、AはBとCから売却の同意を得る必要があります。
長期間の賃貸やリフォームを考えた場合も、単独名義であれば自分のタイミングで自由にできますが、共有名義であればそうはいきません。
管理行為(共有物を貸すなど)と軽微な変更行為(リフォームなど)は共有者の持分価格の過半数で決定するからです。
例えばA・B・Cが各持分1/3ずつの持分割合の場合、Aの持分だけでは過半数に満たないため勝手に賃貸やリフォームをすることはできません。BもしくはCの同意を得る必要があります。
共有者間でトラブルになりやすい
不動産の活用を巡って意見が相違したり、税金や維持管理費用を負担しない共有者がいたりと、共有者間でトラブルになるケースが多くあります。
不動産の活用を巡っての意見相違では、例えばリフォームは共有者の持分価格の過半数で決定するため、反対したとしても持分価格の過半数が同意すればリフォームできます。
ではリフォーム費用はどのように負担するのかといったトラブルが発生してしまうのです。
また、占拠しているにも関わらず家賃を分配しない共有者がいるケースも珍しくありません。
このように共有名義不動産は共有者間でトラブルになりやすく、金銭が関わるため遺恨をもたらしやすいのも特徴です。
権利関係が複雑になる
共有者が亡くなるとその人の共有持分は相続されますが、相続人が一人とは限りません。
そのため芋づる式に共有者が増えてしまい、権利関係が複雑になる可能性があります。
例えばA・Bで持分1/2ずつの共有持分だったが、Aが亡くなったとしましょう。Aの共有持分は子どもであるC・Dに相続され、B・C・Dの共有名義となりました。
ところがBも亡くなりBの子どもであるE・Fに相続されると、C・D・E・Fの4人の共有名義不動産となります。
このように相続が発生するたびに共有者が増える可能性があり、面識のない人と共有状態になっているケースや、共有者が20名以上になっているケースも珍しくありません。
そうなると共有者の把握や連絡先を知ることさえも難しくなります。
しかし登記の申請や不動産の活用には共有者の意思確認を必要とする場面が多々あり、手続きをスムーズに進められないというトラブルが起こってしまいます。
共有名義不動産から単独名義に変更する理由の例
共有名義不動産を単独名義に変更する際には、様々な理由が考えられます。ここでは3つのケースについて、具体的な状況や注意点を交えて説明します。
離婚やパートナーシップ解消のため
共有名義不動産も、離婚時には財産分与の対象に含まれることが一般的です。
財産分与とは、婚姻中に夫婦またはパートナー同士で協力して築き上げた財産を、関係解消の際に公正に分け合う手続きを指します。多くの場合、離婚協議書や裁判所の判決に基づいて名義変更が行われます。
ただし、特に住宅ローンが絡む場合、単純には進みません。これは、夫婦やパートナー間の問題だけでなく、金融機関も関係してくるためです。
金融機関の了承を得ないまま、家を一方の単独名義に変更すると、住宅ローンの契約違反となる可能性が高いです。その場合、金融機関から住宅ローンの残債務を一括で返済するよう求められることもあります。
また、家の名義や住宅ローンをそのままにして、どちらか一方が住み続けることもありますが、時間が経つにつれて出ていった側の債務者としての責任感が薄れ、住宅ローンを滞納してしまうケースも少なくありません。
滞納が続けば、住宅は競売にかけられ、住み続けることができなくなるリスクも伴います。こうした問題を防ぐためにも、離婚やパートナーシップの解消時には、適切な手続きを踏むようにしましょう。
相続後の管理を簡素化するため
相続によって複数の相続人が不動産を取得した際、共有名義となることがあります。
このような場合、物件の管理や売却を行う際には、相続人全員の同意が必要です。したがって相続人同士で意見の調整を行うため、意思決定の過程が複雑になることは避けられません。
そのため、管理や手続きの簡素化を図る目的で、単独名義に変更することがあります。単独名義にすることで、意思決定が迅速に行えるようになり、管理や売却といった場面でもスムーズな対応が可能になります。
親子間で資産を譲渡するため
将来の不動産管理を簡単にするために、親子間で資産の譲渡を行うケースがあります。親が元気なうちに不動産を贈与または譲渡しておくことが目的です。
ただし、贈与や譲渡を行う際は不動産に対して贈与税や不動産取得税といった税金がかかることを考慮する必要があります。こうした税金は、譲渡する範囲や金額によって異なりますが、不動産が持つ価値が高ければ高いほど税率が高くなるので、場合によっては相当な負担になるケースが多いです。
贈与税の額の計算はかなり複雑なので、専門家に相談してみることをおすすめします。
共有名義を単独名義に変える方法
解説してきたように共有名義のデメリットは大きいですが、トラブルを避けるために以下の方法で共有名義から単独名義に変えることができます。
- 共有者の持分を買い取る
- 共有者に持分を売却する
- 土地を分筆する
- 共有物分割請求を行う
- 持分を贈与する
- 持分を放棄する
共有者の持分を買い取る
他の共有者の持分を買い取り、単独名義にする方法があります。
例えば二人で所有する共有名義不動産なら、他の共有者一人から持分を買い取ることで自分だけの単独名義にできます。
ただし、買い取るための資金を用意しなければならず、共有者の人数が多くなるほど交渉相手が多くなり難しくなります。
共有持分の売買価格については、共有持分に詳しい不動産会社に査定を依頼してみると相場がわかるでしょう。
持分を売る側と買う側で、売却価格や条件について合意が得られたら、合意したことを法的に証明するために売買契約書を作成します。
最後は合意した相手に代金の支払い、登記に関する手続きを進めます。登記手続きは持分を買い取って権利が移ったことを確定させるための作業です。
共有者に持分を売却する
他の共有者が単独名義にしたいと望んでおり、自分は持分を手放しても良いと考えるなら、その共有者に持分を売却することもできます。
他の共有者に持分を買い取る資力があり、取引価格の条件が上手くまとまるよう共有者間の関係が良好でなければいけません。
共有持分を買い取るときと同様、不動産売却の相場を事前に調査してから売却価格や条件について交渉を進めるようにしましょう。
次に、売却の意志と価格が共有者間で合意に達したら、売買契約書を作成します。
最後に、買主から代金を受け取り、登記に関する手続きを行います。
土地を分筆する
共有名義不動産が土地であれば、分筆も有効な方法です。
分筆とは、共有名義の土地を複数の土地に切り分ける登記手続きのことです。
例えば持分1/2ずつでA・B共有名義の200㎡の土地があったとします。
分筆をして、「A名義の土地100㎡」「B名義の土地100㎡」とそれぞれの単独名義に移転登記することができます。
分筆は分け方によって土地の価値が低下するおそれがあるため、専門家に相談したほうが良いでしょう。
土地を分筆するためにまず行うのは、共有者全員の間で土地の分割方法についての合意です。各共有者がどの部分を取得するのか、土地の境界線をどうするのかといった具体的な内容を明確にし、全員が納得できる形にまとめます。
合意があいまいなままだと、後々のトラブルのもとになりますので、じっくり話し合って決めましょう。
次に、土地家屋調査士に依頼して分筆登記を行います。土地家屋調査士は、土地の現状や境界を正確に測定し、分筆後の土地の形状を図面化してくれます。この測量結果が、後の手続きにおいて非常に重要になるため、専門家に依頼することで正確な情報を取得するようにしましょう。
測量費用は発生しますが、正確さを確保するために必要な経費と考えてください。
最後に、分筆登記申請書類を作成し、登記に関する手続きを行います。分筆登記申請書には、先に取得した測量図や必要な情報を記載し、法務局に提出します。
この手続きが完了することで、土地の分筆が法務局に認められ、それぞれの持分を移転して単独所有に移転登記することによって、各土地の持ち主が確定します。
共有物分割請求訴訟を行う
当事者である共有者同士では共有状態の解消に向けた話し合いも進まないというケースが少なくありません。
共有名義のままでは共有者全員の意見が揃わずに不動産を活用できないという場合は、裁判所に共有状態の解消を目的とした請求ができます。
これを、共有物分割請求訴訟といい、共有状態の解消について裁判所に判断を仰ぐことができます。
裁判所は法律に則りどのように共有状態を解消するか(分割方法)を決定するため、裁判所の決定であれば冷静に受け入れられることもあるでしょう。
また、共有物分割請求訴訟の提起には他の共有者の同意を必要としません。
訴訟を提起すれば、共有状態の解消を前提に分割方法を裁判所が決定してくれます。
ただし、分割方法は訴訟を提起した人が選べるわけではないため、思い通りの結果になるとは限りません。
共有物分割請求訴訟の手順
共有物分割請求訴訟を行う際の手順について説明します。
まずは弁護士に相談し訴訟を提起します。
弁護士に相談することで、法的手続きや戦略についてのアドバイスが受けられます。弁護士は、訴訟提起に必要な書類の作成や手続きを支援してくれるため、スムーズに訴訟を始めることが可能です。
もし和解が難しい場合は裁判所が介入して現物分割、価格賠償、競売などの方法を判断します。
そして裁判所から判決が出たら、その判決に基づいて分割を実行します。
持分を贈与する
持分の贈与とは、自分が所有する不動産の持分を他の共有者に無償で譲り渡す行為を指します。
相続によって不動産が共有状態になった場合に、特定の共有者に持分を贈与して所有権を集中させ、単独名義に変更することができます。
ただし、贈与を受けた人には贈与税が課されます。
贈与税は、贈与を受けた年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産に対して課せられる税金です。
基礎控除が110万円まで認められているため、贈与対象の評価額(財産がどれくらいの価値があるかを金額であらわしたもの)が110万円を下回るときは贈与税がかかりません。
持分を贈与するための手順を説明します。
まずは贈与に関係する人たちと話し合います。
持分を贈与しようとしている相手と、具体的な条件についてしっかりと話し合うことが重要です。
専門家に意見をもらいつつ、贈与の条件などが法的な観点から問題ないかどうかも検討するのが望ましいです。
次は、贈与契約書を作成します。
贈与契約書は、贈与の内容や条件を明文化した公式な書類で、贈与関係を証明する役割を果たします。贈与契約書には、贈与者と受贈者の情報、贈与する持分の詳細、贈与を行う日時や条件などを明記します。
話し合いのときと同様に、契約書が法律に基づいて適切に作成されているかを専門家に確認してもらうことをおすすめします。
最後に、登記に関する手続きを行います。
贈与によって持分が変動する場合には、不動産登記簿にその変更を反映させる必要があります。登記手続きが完了すれば、持分の名義変更が正式に認められます。
贈与税はe-Taxを用いての納税が認められています。
したがって税務署に行かなくても自宅から手続きをすることができます。贈与税のことは国税庁のWebサイトに詳しくまとまっています。
【参考】相続税・贈与税関係(国税庁)
URL:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/01.htm#a-10
持分を放棄する
持分の放棄とは、共有者がその不動産における所有権の持分を手放し、他の共有者にその所有権を移すことを指します。誰かひとり以外が持分を放棄することによって、結果的に単独所有の状態になります。
なお、持分放棄は自分の意志だけで実施可能ですが、放棄に伴う手続きは共有者全員の協力が必要です。
そして、この方法を選択して放棄された不動産が別の人のものとなった場合、不動産を取得した人に贈与税が課されます。
持分を放棄には、まず、持分放棄をする意思表示を行います。
持分を放棄することを、ほかの共有者に伝えましょう。意思表示したことを記録するためにも、書面上で行うようにします。
続いて、登記の準備をします。
放棄する不動産の管轄の法務局に書類を提出します。移転登記は、共有者全員で共同申請をしなくてはなりません。どうしても立ち会いができない共有者には、委任状の作成を依頼します。
登記に関する手続きは2週間ほどで完了します。
共有名義から単独名義に変更する際にかかる6つの費用
不動産を共有名義から、単独名義に変更する場合、以下の6つの費用がかかります。
- 司法書士への報酬
- 登録免許税
- 印紙税
- 不動産取得税
- 譲渡所得税
- 贈与税
司法書士への報酬
司法書士へ支払う報酬は、事務所によって異なります。
相続による名義変更であれば、6~10万円程度、贈与の場合は5~8万円程度が相場です。
名義変更は、司法書士に頼まず、自分で手続きすることも可能ですが、必要な書類を集めて不動産を管轄する法務局に出向く必要があり、時間と手間を要します。
ミスなくスムーズな手続きには、司法書士を活用すると良いでしょう。
登録免許税
登録免許税は、条件によって異なります。
内容 | 税率 |
売買 | 固定資産税評価額×2% |
相続、法人の合併または共有物の分割 | 固定資産税評価額×0.4% |
その他(贈与・交換・収用・競売等) | 固定資産税評価額×2% |
※固定資産税評価額は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格です
※名義変更のタイミングによって、軽減税率が適用されます
詳しくは、以下のサイトをご確認下さい。
印紙税
印紙税は、契約書に記載されている売買価格に応じて異なります。
詳しくは、以下の表の通りです。
記載された契約金額 | 税額 |
10万円を超え50万円以下のもの | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 32万円 |
50億円を超えるもの | 48万円 |
参考:国税庁:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
不動産取得税
不動産取得税は、土地か家屋かによって、計算方法が異なります。
土地の計算方法
取得した土地の価格*1 × 3% = 当初税額 当初税額 - 減額額*2= 納める額 |
*1 宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合は、取得した不動産の価格に2分の1を乗じます。
*2 減額額は、新築住宅用の土地または中古住宅用の土地の減額(地方税法第73条の24)の適用があるときに軽減される額です。
家屋の計算方法
(取得した家屋の価格-特例控除額*3) × 3%(住宅) = 納める額※非住宅の場合は4% |
*3 特例控除額は、中古住宅の特例(地方税法第73条の14第3項)の適用があるときの額です。
出典:東京都主税局
詳細の不動産取得税は、東京都主税局が提供する「不動産取得税計算ツール」の利用が便利です。
譲渡所得税
譲渡所得税は、売却等により購入時よりも利益が出た際に、課せられます。
収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額譲渡所得税=譲渡所得×税率 |
特別控除は、以下のような種類があります。
- 収用等により土地建物を譲渡した場合 ・・・ 5,000万円
- マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合 ・・・ 3,000万円
- 被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合・・・ 3,000万円
出典:国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
贈与税
贈与税の計算は、以下の通りです。
1年間の贈与額総額ー基礎控除額(110万)110万×税率 |
一般税率の場合の税率は、以下の通りです。
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 4,500万円以下 | 4,500万円超 |
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | – | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
18歳以上の方が直系尊属から贈与を受けた場合は、特別税率が適用されます。
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 4,500万円以下 | 4,500万円超 |
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | – | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
引用:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
共有名義から単独名義に変更する場合、名義変更の背景が売買なのか、相続なのかによって必要な費用が変わってきます。贈与の場合には、贈与税がかかる点も留意しておきましょう。
共有名義不動産から単独名義に変更する際の注意点
共有名義不動産を単独名義に変更する際は、どの方法でも何かしらの手続きが必要です。単独名義に変更するにあたって、注意すべき点がいくつかあります。
これらのポイントを把握して、変更手続きをスムーズに進めましょう。
ローンの名義変更をする場合は金融機関の承諾が必要になる
ローンの名義を変更する際には、金融機関の承諾が必要となります。
これは、新たな名義人の返済能力を金融機関が再度評価する必要があるためです。
名義変更により、返済義務を引き受ける人物が変わるため、金融機関としては、その人物が今後問題なくローンの返済が行えるかを確認する必要があります。
また、金融機関への無断での名義変更は契約違反です。
金融機関によっては、契約違反として一括返済を求められる可能性があります。したがって、名義変更を行う場合には必ず事前に金融機関と相談し、必要な手続きを踏むことが重要です。
登記申請書の書き方が異なる
共有名義から単独名義に変更する際は、通常の所有権移転登記とは異なる書き方が求められます。具体的には、登記申請書に「持分全部移転」と記載する必要があります。
共有名義から単独名義への変更は、複雑な手続きが伴うため、専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。登記の法律や手続きには専門的な知識が必要であり、正確に進めるためにはプロフェッショナルのサポートを受けるようにしましょう。
共有者間での話し合いが難航する場合
意見が一致せず不動産の活用ができなくても、税金や維持管理費用などは発生してしまいます。
この状態では不動産を持つことがプラスになるどころか、マイナスになっています。
共有名義を解消することがお互いのためになりそうですが、当事者同士では感情が入り話し合いが難航する場合もあるでしょう。
どうしたら良いのか分からず「とりあえず共有名義」のままにしておくケースも見受けられますが、問題解決を先送りにしているだけに留まらず、子どもや孫などが“負の遺産”としてトラブルを引き継ぐことになりかねません。
共有持分のトラブルには法律の知識や共有者への交渉スキルが必要です。
共有持分の取り扱いに慣れた不動産会社へ相談し、適切なサポートを受けましょう。
共有持分のことで悩んだら相談しよう
共有名義不動産には次のようなデメリットがあります。
- 不動産の活用に制限がかかる
- 共有者間でトラブルになりやすい
- 権利関係が複雑になる
このようなデメリットがあるため、 “よく分からないからとりあえず共有名義のままにしておく”という状態は避けなければいけません。
どこに相談すべきか分からない場合は、共有持分の取り扱いに精通した不動産会社へ相談しましょう。
センチュリー21中央プロパティーは共有持分を専門に取り扱う不動産会社で、これまで多くの共有持分のトラブルを解消してきました。
法律の知識や共有者への交渉スキルをもって、適切なサポートが可能です。
「共有名義不動産の活用について相談したい」「単独名義に変更したい」「共有状態を解消したい」という方は、センチュリー21中央プロパティーへ一度ご相談ください。

この記事の監修者
司法書士
司法書士。福岡県出身。東京司法書士会所属。司法書士ALBA総合事務所代表。遺言書の作成から執行、相続放棄、遺産分割協議、特別代理人選任申立など相続に関する手続き・対策の専門家。親切・安全・丁寧がモットー。