占有|用語集

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占有

意義:占有権→物に対する事実上の支配という状態そのもの

詳細解説

民法180条:「占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。」

占有そのもの自体を法は保護しようというのが占有権になります。

所有権との違い

所有権とは所有する者が法令の制限内において、その所有物を直接的・全面的に支配して、使用・収益・処分をする権利をいいます。

それに対して、占有権とは人が物に対して事実上支配する状態を認める権利です。例:賃貸アパートについて所有権があるのは大家さんで、占有権があるのは賃貸契約をしてそこに暮らしている住民という場合

賃貸アパートについて所有権があるのは大家さん、占有権があるのは賃貸契約をして暮らしている住民を表した図

占有者からの訴え

民法197条:「占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。」

1. 占有保持の訴え

民法198条:「占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。」

2. 占有保全の訴え

民法199条:「占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。」

3. 占有回収の訴え

民法200条:「占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。」

とあります。所有権がなかったとしても、占有が侵害されそうな場合や現に侵害されている場合には占有の訴えを提起することができます。

ポイント

占有にはこのような条文がありますが、実は所有権との関係では上記のような訴えの条文はないのです。当然、実務上は認められていますが、その根拠として占有でさえ訴えが認められるのだから、所有権にも同種の訴えは認められてしかるべきという考えがもとにあります。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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