共有関係を解消し縁を切りたい|法律・税金|相続

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共有関係を解消し縁を切りたい

相続する持分を現金化したい

質問今年の4月に父(A)が他界しました。
それに伴って実家の土地建物の法定相続人になる(※遺産分割協議はまだ)法定相続人は母(B)・長男(私C)・弟(D)の三人です。
現在、私は実家で母と二人暮らしで、自分が相続する持分を早く現金化したいと考えています。
ところが、母・私・弟は三者とも仲が悪く話がどうにもまとまりません。母は「自分が死ぬまでこの家(土地・建物)は売らない」と言い張ってしまっています。
私は自分の持分が現金化できたら、直ぐにでも引っ越して母と弟との縁を切りたいと考えています。
売却はできそうでしょうか?
できるとしてもやはり金額が気になります。当該不動産の評価は、一応4,000万円と聞きました。
そこで、自己の持分分である1,000万円以上は欲しいと考えております。アドバイスをお願いします。

母・私・弟は三者仲が悪い共有持分を現金化 したいが、反対されている図

本件の事実関係(相続分等)の整理

本件では父が他界したと後に残っているのは、B(母)、C(長男、相談者)、D(弟)の3人です。
まず、それぞれの相続分については、

(法定相続分)
民法900条:「同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。」

とあります。そのため、妻である母(B)が2分の1の相続分を得られます。
一方子らは2分の1を子の人数で割る必要があるので、2分の1×2分の1=4分の1ずつになります。

遺産相続時の持分割合(母B1/2、相談者C1/4、弟D1/4で配分)の図|

ということになります。また、共同相続した場合の相続分の効力については、下記の規定があります。

(共同相続の効力)
民法898条:「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」

とあるように、BCDらは持ち分に応じて相続財産を共有していることになります。

共有持分の売却について

上記でいう共有とは、民法249条以下の共有と同じ概念になります。本サイトを何度もご覧頂いて下さっている方は見慣れているかと思いますが…

(共有物の変更)
民法251条:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」

とあるように、共有物全体を売却するためには、他の共有者の同意が「必ず」要ります。全部を売却したいのであれば、反対している共有者を説得する必要があります。

本件では母は「自分が死ぬまでこの家(土地・建物)は売らない」と言い張っていることから、現実的には全体を売却することは難しいと考えざるを得ません。ただ、各共有者が自己の共有持分のみの売却をすることは他の共有者の同意なくして可能です。

Cは一刻も早く、関係から離れたいとのことですので、自己の共有持分を売却することが時間もかからず、こちらの方法が良いかと思います。

共有持分の売却価格について

それでは、自己の共有持分のみの売却をすることにしたとしましょう。
本件Cはその売却希望額を単純に不動産の価値(4,000万円)×相続分(4分の1)=1,000万円程度の希望額を主張しています。
理論上はそうですが、残念ながら、現実はそううまくいきません。

共有持分は抵当物件のような制限物件という訳ではないのですが、共有持分の売却は不動産の価値の2割~3割安くなることが多いです。
なぜなら、家の共有持分を購入し、元の共有者と共有関係になっても実際に利用することは考えにくく、そのような不動産は流通していても買い手が少ないからです。

そのため、Cの希望価格での売却は難しいとお考え下さい。
なんだ、安いのかと思うかもしれませんが、時間や労力を考えれば、むしろ現金も入り、きれいさっぱり関係から離れられる、少々安くなっても十分に売却の価値はあります。

高く売れたとしても、交渉の時間や、場合によっては弁護士や訴訟費用などを考えれば、トータル的にはお得とも言えます。
もちろん、物件の場所等の条件によって、そもそも売却ができるのか含め、変わってきます。
査定価格含め、まずはお気軽にご相談下さい。

センチュリー21中央プロパティイメージ

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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