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持分割合以上の権利主張は認められる?

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持分割合以上の権利主張は認められる?

ご相談内容

父が2年前に亡くなり60坪の土地を私たち姉妹2人が相続しました。

父からの遺言書を基に各2分の1で相続登記をしましたが、姉は私に100万円の債務があります。(4年前に姉に貸しました)

昔から強欲な姉とはもともとあまり仲が良くなく、このまま共有状態でいるのも嫌だったので勇気を出して土地の売却の話を姉に持ちかけましたが姉が40坪は私のもの!と言い張っています。

持分比率以上の土地を要求する権利が姉にあるんでしょうか?

ご相談のポイント

  • 持分割合の一方的な変更はできない
  • 共有者間の持分譲渡による解決
  • 現物分割による解決
  • 話し合いが纏まらない場合の対応

①持分割合の一方的な変更はできない

被相続人の遺言に基づいて相続登記が行なわれている以上、これと異なる持分割合を主張する権利は、いずれの共有者にも存在しません。

持分割合を変更するには、あくまで共有者間での合意が必要です。

②共有者間の持分譲渡による解決

お姉様が主張されている『40坪は私のもの』という言葉は、2通りの解釈があり得ます。

1つは、『土地は共有状態で持ち続けるが、持分割合については、3分の2を自分が取得するべきだ』という趣旨である可能性です。

この場合、各2分の1の持分割合で相続登記がされている以上、お姉様の持分割合を3分の2に変更するためには、ご相談者様からお姉様に6分の1の共有持分を売却することが必要になります。

但し、お姉様としては、ご相談者様に対して100万円の貸付があることから、持分の売買代金と貸金との相殺を主張してくる可能性が高いです。

③現物分割による解決

もう1つは、『土地を40坪と20坪に分筆して、このうち40坪の土地を自分の単独名義にしたい』という趣旨である可能性です。

この場合、お姉様は、土地の現物分割を希望していることになりますが、本来の共有持分割合は各2分の1ですので、40坪と20坪に分筆すること及び40坪の土地をお姉様が取得することのいずれに関しても、ご相談者様との合意が必要になります。

また、これらの合意ができた場合も、本来の共有持分割合より多くの財産を取得するお姉様からご相談者様に対して、償金の支払いが必要になるところですが、ここでもやはり、お姉様から償金と貸金との相殺を主張される可能性が高いと予想されます。

④話し合いが纏まらない場合の対応

ご相談者様の希望されている全体売却を含めて、お姉様との間で解決方法の話し合いが纏まらない場合、ご相談者様が取れる選択肢は、お姉様を相手に共有物分割請求訴訟を起こすか、共有持分を第三者に譲渡するか、事実上この2つになります。

共有物分割請求訴訟の場合は、裁判所による公平な解決が期待できる反面、裁判に要する時間・費用の負担の問題の他、ご相談者様とお姉様が互いに原告・被告の立場となって法廷で争うことになりますので、個人的な関係性の悪化のリスクもあります。

共有持分を第三者に売却する場合は、全体売却より評価額が下がる点はデメリットですが、持分を売却した時点で共有関係から離脱するので、その後のお姉様との協議・裁判の負担から解放されるメリットがあります。

特に、本件のように、共有者と親族関係にあるケースでは、このメリットは大きい要素と言えます。

まとめ

共有持分割合を一方的に変更する権利は、いずれの共有者にも存在せず、共有者間での合意が必要になります。

本来の共有持分割合と異なる解決を実現するためには共有者間での合意が必要になるという点は、共有者間で持分を売買する場合も、現物分割する場合も変わりません。

共有者間で話し合いが纏まらない場合に取れる選択肢は、共有物分割請求訴訟か、持分の第三者への売却となります。

親族関係にある等の事情で、共有者との個人的な関係性の悪化のリスクを重視する場合は、共有関係から離脱することで共有者との協議・裁判の負担から解放される持分売却のメリットは大きいと言えます。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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