共有名義不動産のリフォームで贈与税はかかる?回避のポイントと注意点
共有名義不動産のリフォームで贈与税はかかる?回避のポイントと注意点

共有名義の不動産をリフォームする際、思わぬ形で贈与税が発生するケースがあります。
「リフォームになぜ贈与税が発生するの?」
「我が家は贈与税の対象なの? 」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
もし贈与税が発生するのであれば、できるだけ税負担を軽減したいですよね。
本記事では、「共有名義不動産を持っている・リフォームを考えている」という方に向けて、リフォーム前に知っておきたい注意点と税負担を回避・軽減する方法を詳しく解説します。

贈与税とは
贈与税とは、個人から財産を無償でもらった(贈与された)ときに、もらった側(受贈者)に課せられる税金のことです。
親子や夫婦などの家族の間では、リフォーム工事で費用を出し合うケースはよくあります。
ただし、この「お金を贈る」という行為は、自分の財産を相手に与える“贈与”となり、受け取った側はその金額に応じた税金を払わなければなりません。
贈与税には、誰から誰へ贈与されたかによって税率が異なる、以下の2つの区分があります。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
- 一般贈与財産
- 特例贈与財産
贈与税の区分①:一般贈与財産
「一般贈与財産」とは、兄弟姉妹間、夫婦間、親から未成年の子への贈与など、後述する「特例贈与財産」に当てはまらない全ての贈与を指します。
【一般贈与財産になる主なケース】
- 直系尊属(父母、祖父母など)以外の人から贈与を受けた場合
例:兄弟姉妹からの贈与、夫婦間(配偶者)の贈与、おじ・おばからの贈与など - 贈与を受けた年の1月1日において18歳未満の人が、直系尊属(父母、祖父母など)から贈与を受けた場合※2022年4月1日より成人年齢が18歳に引き下げられました。
一般贈与財産の税率と控除額 | ||
基礎控除後の贈与額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
贈与税の区分②:特例贈与財産
「特例贈与財産」とは、直系尊属(父母や祖父母など)から、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の子や孫へ贈与された財産を指します。
特例贈与財産に適用される税率は「特例税率」と呼ばれ、一般贈与財産に適用される税率(一般税率)に比べて税負担が低めに設定されています。
これは、親や祖父母の世代から子や孫の世代へ資産を早めに移転させ、経済の活性化を促す目的があります。
特例贈与財産の税率と控除額 | ||
基礎控除後の贈与額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円超 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
全ての贈与に共通する「年間110万円」の基礎控除
ここまで紹介した一般贈与財産と特例贈与財産のいずれにおいても、贈与税の計算には年間110万円の「基礎控除」が適用されます。
これは、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間で、贈与を受けた財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかからないというものです。
贈与額が110万円を超えた場合に、その超えた金額(基礎控除後の金額)に対して、上記の税率が適用され、贈与税額が計算されます。
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贈与税の対象になる主なケース
リフォーム費用が贈与税の対象になるのは、次のようなケースです。
- 子が親名義の不動産をリフォームしたケース
- 夫婦の共有名義不動産のリフォーム費用を、どちらか一方が負担したケース
①子が親名義の不動産をリフォームしたケース
たとえ共有名義ではなくとも、「親名義の家をリフォームしてあげたい」「子供の家のリフォーム費用を援助したい」というケースも贈与税の対象となります。
通常、建物に関する点検やメンテナンス、固定資産税の支払いなどの維持管理費用は、所有者が負担しなければならない費用とされているため、それ以外の人から援助を受ければ贈与となり税金の対象です。
「親のために・子供のために」とお互いに資金援助し合うこともあるかもしれませんが、原則として贈与税の対象となり申告内容によっては納税義務が発生します。
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②夫婦の共有名義不動産のリフォーム費用を、どちらか一方が負担したケース
次に夫婦2人で所有している共有名義不動産のリフォームについてです。
夫婦で共に生活しているケースでは、夫、もしくは妻がリフォーム費用を全額負担することも珍しくありません。
しかし、前述の「維持管理費は所有者が負担すべき」という考えから、夫婦共有名義であれば、リフォーム費用は持分に応じるのが原則です。
そこで、夫婦の持分に対し、「リフォーム費用の負担割合が少ない方」に贈与税が発生します。
例えば、
- 800万円のリフォーム費用
- 夫婦の持分割合が2分の1ずつ
というケースでは、夫がリフォーム費用をすべて負担すれば、妻は自身が負担すべき400万円の贈与を夫から受けたことになってしまうのです。

リフォームによる贈与税の計算方法
贈与を受けたうち、1年間のうち「110万円」までは非課税です。
それを超えた場合は、申告のうえ納税が義務となっています。
次に、リフォームで贈与税が発生する際の具体的な計算方法について見ていきましょう。
①夫婦間でリフォーム費用を負担する場合
夫婦共有名義不動産を以下の条件でリフォームする場合について、ケース別に見ていきましょう。
【前提となる条件】
- リフォームの総費用→800万円夫婦の持分割合→夫1/2
- 妻1/2本来の負担額→夫400万円、妻400万円
ケース1:夫婦、それぞれが費用を負担
夫婦のどちらも費用を出し合う場合、「夫が400万円・妻が400万円」であれば、当然、持分割合に応じて費用を負担しているので贈与税はかかりません。
一方、実際の支払いが「夫が700万円・妻が100万円」だったとしましょう。
すると、妻は本来400万円払わなければならないものの100万円しか払っていません。
この場合、差額の300万円は夫からの贈与を受けたとみなされます。
ただ、前述したように年間110万円までは非課税のため、それを差し引いた金額(300万円-110万円)の部分に贈与税が課税されることになります。
贈与税額の計算は以下の通りです。
- 課税価格:300万円 – 110万円 = 190万円
- 贈与税額:190万円 × 10% = 19万円
ケース2:夫婦のどちらか一方が費用を負担
次に、夫婦のどちらかがリフォーム費用を全額負担したケースについてです。
この場合、持分割合が1/2ずつであるにもかかわらず、片方が全額負担しています。
たとえば、夫がリフォーム費用の800万円をすべて払った場合、妻は自分が払うべきはずの400万円を夫からの贈与で負担しているとみなされてしまうのです。
つまり、「400万円-非課税110万円」の部分に税率をかけた贈与税を支払うことになります。
贈与税額の計算は以下の通りです。
- 課税価格:400万円 – 110万円 = 290万円
- 贈与税額:290万円 × 15% – 10万円 = 33.5万円
贈与税を発生させないためには「夫婦共有名義の持分割合に応じて費用負担すること」、そして少しでも贈与税をおさえるには「両者が少しずつでも負担すること」が重要です。
どちらか一方が全額負担すると、贈与税は高額になるので注意しましょう。
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②親の支援を受ける場合
親からの支援としてリフォーム費用を受け取る際は、「2つの贈与」が絡む可能性があり、注意が必要です。
以下の条件でリフォームする場合について、ケース別に見ていきましょう。
【前提となる条件】
- リフォームの総費用→800万円夫婦の持分割合→夫1/2
- 妻1/2本来の負担額→夫400万円、妻400万円
ケース1:夫の親が夫にだけ800万円を援助・リフォーム費用を夫だけが負担する
このケースでは、贈与が2段階で発生します。
まず、夫の親が「夫」に対して800万円を贈った場合、親から子への贈与(特例贈与財産)として、800万円から非課税110万円を差し引いた部分に税率をかけた贈与税を夫が支払うことになります。
さらに、リフォーム費用を夫が全額支払うため、妻はリフォーム費用を負担しないことから、「夫から400万円の贈与」を受けたとみなされます。
つまり、夫婦間の贈与(一般贈与財産)として、400万円から110万円を引いた額が贈与税の対象になります。
このケースでは2つの贈与があるうえ、「夫の親から夫に対する贈与」の金額が大きいため、贈与税が高額になる可能性があります。
ケース2:夫の親が夫、妻にそれぞれ400万円を援助・リフォーム費用は持分割合に応じて負担する
こちらのケースの場合、リフォーム費用は夫婦共有名義の持分割合に応じて負担しています。
そのため、夫婦間での贈与は発生しません。
ただ、夫と妻はそれぞれ夫の親から400万円の贈与を受けているため、それぞれが「400万円-非課税110万円」の金額に税率をかけた贈与税を支払うことになります。
贈与税は夫にも妻にもかかりますが、「夫の親→夫」「夫の親→妻」と資金を分散することで一人当たりの贈与額が減らせるので、全体的な贈与税が軽減できる方法です。 (※妻は夫の親から見ると直系尊属ではないため、一般贈与財産の税率が適用されます)

リフォームによる贈与税を軽減する方法
リフォーム工事は大きな費用が発生するため、一部だけでも援助があると本当に助かりますよね。
ただ、せっかく受け取った金銭が「贈与税」の対象となって税金が発生するのはもったいなく感じるものです。
また、夫婦間でも共有名義となっているばかりに贈与税が発生することもあります。
贈与税の税額を軽減するための方法としては、以下のようなものがあります。
- リフォーム前に持分を移転する
- リフォーム後に持分で代物弁済する
- 贈与ではなく貸付にする
- 住宅取得等資金の非課税制度の利用
- リフォーム費用を110万までに抑える
軽減方法①:リフォーム前に持分を移転する
まず、リフォームしようとしている共有不動産を、リフォーム費用の負担割合に応じて、持分割合を移転する「所有権移転」の方法があります。
所有権移転では、相手に譲る部分に「贈与税」は発生します。
ただ、こちらの贈与税については、固定資産税評価額をベースにした税額です。
通常、固定資産税評価額は築年数とともに下がっていきます。
リフォームが必要になるほどの築年数(築20年、築30年以上など)になれば、贈与税もあまりかからない可能性があります。
つまり、リフォーム費用に対しての贈与税の額よりも“贈与による持分移転”によって税額をおさえられるというメリットを持つ方法と言えるでしょう。
ちなみに、“売買による持分移転”も手段としてはありますので、持分を移転する場合は、お互い移転原因をしっかり協議することが大切です。
たとえば、以下のような場合です。
- リフォームの総費用→800万円
- 夫婦の持分割合→夫1/2、妻1/2
夫がリフォーム代金の800万円すべて支払うのであれば、リフォーム前に妻の持分1/2を夫名義に移転させることで、リフォームの贈与税をおさえられます。
ただ、建物の持分を移転するケースでは、贈与税や譲渡所得税、不動産取得税、登録免許税、司法書士への報酬などの費用もかかってきます。
贈与税をおさえるためには、ほかの出費を見逃さないようにしなければなりません。
そのため、ほかの税金や手数料などの支出もあわせて考えることが大事です。
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軽減方法②:リフォーム後に持分で代物弁済する
持分割合に応じて本来自身が負担すべきリフォーム費用について、それに値するものを代わりに渡すことで、贈与とみなされない方法があります。
よくあるのが自己持分を相手に渡して相殺させるようなイメージで、これを「代物弁済」と言います。
リフォーム後に自分の持分を代物弁済するという方法でも贈与税を減らせます。
ただし注意したいのが「もともとの不動産の価値」に加えて、「リフォームした費用」が現状の“家の価値”となる点です。
たとえば、
- もともとの不動産の価値→600万円
- リフォームの総費用→800万円(夫がすべて支払う)
- 夫婦の持分割合→夫1/2、妻1/2
を例にして見ていきましょう。
【ステップで解説】
- このケースでは夫がすべてのリフォーム費用を出しているので、妻は夫から400万円の贈与を受けています。
- リフォーム後の家の価値は1400万円(もともとの価値600万円+リフォーム費用を800万円)になります。
- 妻が本来所有する価値は700万円(もともとの持分300万円+贈与400万円)となります。
- 妻は、この700万円の価値のうちから、贈与された400万円に相当する持分を夫へと代物弁済します。
これにより、妻の持分は減りますが、贈与税の発生は防げます。
ただし、代物弁済の場合、「持分をいったん売却して、そのお金で支払う」ことになるため、場合によっては譲渡所得税がかかる可能性もあります。
単に「リフォーム代金の代わりに持分を渡して贈与税をなくす」というのではなく、そのほかにどういった費用が発生するかも詳しく知っておくことが大事です。
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軽減方法③:贈与ではなく貸付にする
贈与と見なされて贈与税を発生させないためには「貸した」という状況にすることも方法のひとつです。
夫婦や親子で一緒に暮らしているとお金の貸し借りは曖昧になりがちですが、贈与税の対象としないためには、明らかに“贈与ではなく、貸付である”という証も必要になります。
具体的には、以下の2点を必ず行いましょう。
- 金銭消費貸借契約書(借用書)などを作り、誰がいついくら借りたのかを記載する
- 第三者にも貸し借りの事実が客観的に分かるよう、お互いの銀行通帳に振込・返済をして履歴を残しておく
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軽減方法④:住宅取得等資金の非課税制度の利用
父母や祖父母など「直系尊属」から資金を援助してもらった場合、一定額まで非課税にできる特例があります。
そもそも、年間110万円までの援助であれば非課税ですが、「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」を利用すれば、110万円を超えて援助してもらっても、受贈者の要件や増改築等の要件を満たせば、最大1,000万円まで非課税になります。
(2023年12月31日までの贈与の場合、省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円が非課税限度額です)
なお、この非課税制度は自動的に適用になるわけではないため、資金を援助してもらった翌年の確定申告を忘れずに行いましょう。
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軽減方法⑤:リフォーム費用を110万までに抑える
そもそも、リフォーム費用を基礎控除(非課税)の範囲内となる110万円以内におさえるのも贈与税を発生させない最もシンプルな方法です。
たとえば、お住まい全体を大きく変えるようなフルリノベーションだと費用は数百万円、1,000万円にもおよぶことも珍しくありません。
一方で、部分的な改修工事(壁紙の交換・トイレの入れ替え・床の張替え・内窓の取り付け・洗面化粧台交換など)であれば、110万円以内におさめられるケースもあります。
ただし、この「110万円」は年間合計の金額のため、以下の点には注意しましょう。
- 110万円以内のリフォームを数回に分けたところ、合計110万円を超えた
- 工事費用以外で資金援助を受けたため、合計で110万円を超えた
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まとめ
夫婦や親子での共有名義の不動産の場合、「どちらか一方が全額リフォーム費用を出す」「親から資金を受け取る」などリフォーム費用について深く考えずにいると贈与税が発生することがあります。
今回お伝えしたように、贈与税を少なくできる方法をリフォーム前におさえておきましょう。
また、不動産を共有名義で所有していることで、今回のような予期せぬ税金負担が発生するケースがあります。
リフォームをきっかけに、持分を移転して共有名義を解消しておくという考え方も今後のトラブルを避けるための解決策のひとつとなるでしょう。
当社センチュリー21中央プロパティーは、共有持分を専門とする不動産仲介会社です。
- 「共有者と揉めている」
- 「共有名義不動産を自分は利用していないため、自己持分のみを売却したい」
- 「将来的に揉めそうなので、今のうちに共有状態を解消しておきたい」
など、共有名義不動産でお悩みの方は、ぜひ一度当社へご相談ください。

この記事の監修者
税理士
ワールド法律会計事務所 代表
東京税理士会 日本橋支部所属登録番号 117651
ワールド法律会計事務所の代表を務める、相続税のスペシャリスト。特に共有持分の相続案件で多く相談される相続税が得意分野。
生前贈与や親族間の不動産売買など、多岐にわたる相続対策にも豊富な経験と実績を持つ。税務の専門知識と実践的なアドバイスで、複雑な税金問題をサポート。