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8.「持分の交換」により
不動産の共有名義を解消する方法|共有持分の基礎知識

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8.「持分の交換」により
不動産の共有名義を解消する方法

不動産の共有名義のイメージ
不動産の共有名義のイメージ

前回は、共有物分割請求訴訟で「現物分割」の判決が出ないケースについて取り上げました。今回は、「持分の交換」により不動産の共有名義を解消する方法を見ていきます。

共有者それぞれの「持分」を交換した事例

前回の続きです。

以上のほか、事案によっては、共有者それぞれの持分を交換するという解決方法も考えられます(この方法は(4)持分買い取りのバリエーションの1つともいえるでしょう)。

たとえば、以前相談が寄せられた次のケースでは、この持分の交換によって解決を図りました。

「5年前に父が亡くなり、2世帯住宅、アパート2棟(同敷地内)と預貯金を遺産分割協議により兄弟2人で相続し、各不動産については共有持分として相続登記が完了しております。しかし、兄から会社の資金繰りのため、それらの不動産を売却したいと申し入れがありました。私はほかに自宅があるので、2世帯住宅は売ってもいいと思っていますが、アパートについては賃料収入が得られるので持ち続けたいと考えています」

この事案では同じ規模のアパート2棟が同じ敷地内にあり、不動産評価額も同じだったことから、共有持分の交換をすることによりアパートの共有名義を解消しました。それに伴い、兄のアパートは売却されることになりましたが、相談者自身は自らのアパートを引き続き保有しています。そして2世帯住宅についてはともに共有名義のまま売却することになり、すべて相談者の望み通りに話がまとまりました。

「持分」と「建物区分所有権」を交換して問題を解決

また、書籍『あぶない!!共有名義不動産』第二章で取り上げた【事例6】土地の持分と区分所有権を兄に売りたい例では、「持分」と「建物区分所有権」を交換するという解決策を試みました。このケースで兄の側は、Fさんの持分を買い取ってもよいという意向を示してはいたものの、そのために必要となる買い取り資金を持ち合わせていませんでした。そこで、兄の土地の共有持分とFさんの建物区分所有権を交換するという方向で話をまとめることになったのです。

最終的には、交換の結果生じた交換差益による差額分を、兄がFさんに土地権利金として支払うこと、また、両者が賃貸借契約を結び、兄からFさんに毎月、地代を支払うことが合意され、無事、問題が解決されました。

本記事は、2017年5月26日刊行の書籍『あぶない!!共有名義不動産』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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