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動機の錯誤とは

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動機の錯誤とは

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民法95条
【旧民法】
「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。」

【改正民法】
1 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
(1)意思表示に対応する意思を欠く錯誤
(2)表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第2号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第1項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
(1)相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
(2)相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第1項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

例えば、Aが100万円で不動産を買うと言ったにも関わらず、Bが1,000万円と勘違いして売ると意思表示した場合などが錯誤です。錯誤の要件として、「法律行為の要素に錯誤」とあります。「要素」とは、その錯誤がなければ、その意思表示はなかっただろうと考えられるほど重要な部分のことをいいます。

♦参考判例:大判3年12月15日判決
判旨:「その錯誤が無かったならば、その法律行為をしなかったであろう」と一般的に認められる場合をいう。

この要素は2つに分かれます。

  1. 表示の錯誤
    上記例は表示の錯誤に当たります。
  2. 動機の錯誤
    意思と表示は一致しているが、そもそもの動機で勘違いしている場合。

例えば、Aが家を建てるための土地を探していたとします。土地の周辺には数年後新しい駅が開設される予定で、それを見越して土地を購入したとします。

ところが、新駅開設がなくなってしまいました。新駅開設の事実がないと分かっていたら買わなかったので、動機の部分で勘違いしていた、というわけです。

これが、動機の錯誤です。そのような動機の錯誤により錯誤の取り消しを認めると、相手方は不測の損害を被ってしまいます。つまり、「勘違いだったので、契約を取り消してください。」と常に認めてしまうと相手方はたまったものではありません。そこで、

♦参考判例:大判3年12月15日判決
判旨:「動機が黙示または、明示に表示され、法律行為の内容なった時に限り法律行為の内容の錯誤となる」としています。

つまり、動機の錯誤は、その動機を明示するか黙示の表示がなければ錯誤取り消しを主張できないことになります。

  • 「明示」とは相手方に言葉や書面などではっきり伝えることです。
  • 「黙示」とは暗黙のうちに意思や考えを表すことです。
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この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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