法人の権利能力・行為能力とは
法人の権利能力・行為能力とは
民法34条:「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。」
- 上記規定は、法人の権利能力の範囲を制限し、それと同時に法人の行為能力の範囲をも定めた規定であると解されています。
法人も権利能力の主体になりますが、自然人とは異なり、その制限があります。
性質による制限
性質上自然人のみが主体となる行為についての権利能力はありません。例えば婚姻がこれに当たります。
法令による制限
権利能力の範囲は、法令によって制限されることがあります。
目的による制限
法人は定款や寄附行為により「目的の範囲」を定めます。その「目的の範囲」を超える行為についての権利能力はないとされます。例えば、定款または寄附行為に記載された目的を超えた行為を法人の代表者が行なった場合には、その代表者の行為は、法人の権利能力・行為能力の範囲を超えるので、その代表者の行為は法人に帰属しないことになります。
しかし、この目的の範囲は下記判例にもあるように定款や寄附行為定めた範囲よりも広く認められます。
♦参考判例:最高裁大法廷昭和45年6月24日判決(八幡製鉄所政治献金事件)
判旨:「会社は定款に定められた目的の範囲内において権利能力を有するわけであるが、目的の範囲内の行為とは、定款に明示された目的自体に限局されるものではなく、その目的を遂行するうえに直接または間接に必要な行為であれば、すべてこれに包含されるものと解するのを相当とする。そして必要なりや否やは、当該行為が目的遂行上現実に必要であつたかどうかをもつてこれを決すべきではなく、行為の客観的な性質に即し、抽象的に判断されなければならないのである」
通常政治献金などは目的の範囲には定められていないでしょう。
しかし、その範囲を極力拡大して解釈することにより、代表者の行為を法人の行為として法人に帰属させています。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。