区分所有権とは|用語集

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:2018

区分所有権とは

意義:マンションやオフィスビルなどのように、1棟の建物の中に独立した複数の住居や店舗、事務所などがある場合、それぞれの独立した部分の所有権を区分所有権といいます。

区分所有建物とは、住居・店舗・事務所その他用途に供する目的で、一棟の建物を別個に区分することによって一つ一つの部屋が作られている建物のことです。
典型例:一棟のマンション

解説

このような区分所有権については区分所有法という法律があります。規約がある場合には規約が優先しますが、区分所有法の重要な部分について、解説していきます。

<区分所有法>区分所有法1条:「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所または倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」

同法2条1項:「この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分を目的とする所有権をいう。」区分所有建物は、専有部分と共用部分で構成されています。専有部分に区分所有権を有する者のことを区分所有者といいます。

以下、それぞれについて説明していきます。

専有部分

専有部分とは、区分所有権の目的となる建物の部分のことで、独立して住居・店舗・事務所その他用途に供される部分のことです(区分所有法1条、2条3項)。例えば、マンションでいうと、それぞれの世帯が居住している一つ一つの部屋を指します。

共用部分

共用部分とは、専有部分以外の部分のことです。共用部分には、法定共用部分と規約共用部分があります。

1. 法定共用部分

性質上当然に共用部分とされるもので、登記することはできません。例えば、廊下やエレベーター、階段などがあげられます(4条1項)。

共用部分のエレベーターのイメージ

区分所有法1条4条1項:「数個の専有部分に通ずる廊下または階段室その他構造上区分所有者の全員またはその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。」

2. 規約共用部分

本来は専有部分となるべき場所を、規約で共用部分にすると定めた部分のこと(4条2項前段)。具体例としては、管理人室です。

管理人室のイメージ

規約共用部分は、その旨の登記をしなければ、第三者に対抗することができません(4条2項後段)。

区分所有法1条4条2項:「第1条に規定する建物の部分および付属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。」

共用部分に関する区分所有者の権利

共用部分は、規約で別段の定めをしない限り、区分所有者の全員または一部の共有となります(11条1項)。そして、区分所有者は、共用部分をその用法に従って使用することができます(同法13条)。

区分所有法1条11条1項:「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。」

同13条:「各共有者は、共用部分をその用方に従って使用することができる。」

共用部分に対する各区分所有者の共有持分は、規約で別段の定めをしない限り、各区分所有者がそれぞれ有する専有部分の床面積の割合によって決められます(14条)。

共用部分に対する持分は、専有部分を利用するために不可欠の権利なので、専有部分が移転すれば、それに伴って共用部分に対する持分も移転します(15条1項)。

そして、共用部分に対する共有持分は、区分所有法に別段の定めがある場合を除いて、専有部分と分離して処分することができません(15条2項)。

区分所有法15条1項:「共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。」

同法2項:「共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。」

この記事の監修者

岡田 卓巳オカダ タクミ

弁護士

弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。不動産の共有関係解消など相続と不動産分野の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。

この記事のタグ

おすすめの記事はこちら