共有持分を売却したらどうなる?共有者への影響から勝手に売却された場合の対処法まで解説
目次
ご自身の共有持分のみの売却であれば、法律上、他の共有者の同意は必要ありません。
しかし、何の対策もせずに売却してしまうと、残された共有者や新たな共有者との間で深刻なトラブルに発展するケースが少なくないのです。
本記事では、共有持分を売却した後に起こり得ることや、具体的なトラブル事例、そしてトラブルを未然に防ぐための対策について詳しく解説します。
共有持分は勝手に売却できるのか?
共有持分の売却に、他の共有者の同意は不要なため、事実上、勝手に共有持分を売却することは可能です。
民法第206条では「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定められています。
共有持分も個人の資産(所有物)であるため、他の共有者の許可なく、ご自身の判断で自由に売却することが認められているのです。
そのため、他の共有者との関係性が良くない、あるいは売却に反対されているといった状況でも、ご自身の持分売却を諦める必要はありません。
共有持分を売却したらどうなる?5つの影響

共有持分を売却すると、他の共有者は以下のような影響を受ける可能性があります。
- 新たな共有者から持分の売買交渉をされる
- 新たな共有者から訴訟を起こされる
- 賃料や収益分配を請求される
- 税金や修繕費の負担を拒否される
- 勝手に不動産に侵入される
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影響①新たな共有者から持分の売買交渉をされる
共有持分を買い取った新たな共有者は、残りの共有者全員に対して、「残りの持分も買い取らせて欲しい」「自分の持分を買って欲しい」と交渉を持ちかける可能性があります。
交渉の目的は、不動産の完全な所有権を得ることで、単独で不動産を自由に利用・処分できるようにすることです。
利益目的で共有持分を購入した買取業者などがよく行う手段で、強引な交渉に発展することもあります。
交渉に応じる義務はありませんが、継続的な交渉によるストレスや、将来的な共有物分割請求訴訟のリスクを考慮する必要があります。
影響②新たな共有者から訴訟を起こされる
持分の買取交渉に応じなかった場合、新たな共有者が、共有状態を解消するために「共有物分割請求訴訟」を起こすケースがあります。
これは裁判を通じて不動産の売却や分筆などを求めるもので、他の共有者の意向に関係なく、法的に進んでしまいます。
結果的に、裁判所の判断で不動産全体が競売にかけられる(換価分割)ことや、物理的に土地や建物が分割される(現物分割)ことが命じられ、意図しない形で不動産を失う可能性があります。
訴状が届いた段階で、共有持分に詳しい弁護士や不動産会社に相談されることをおすすめします。
影響③賃料や収益分配を請求される
以下のようなケースで、賃料や収益分配を請求される可能性があります。
- 共有不動産が賃貸に出されている場合
- 共有者の一人が不動産全体を独占的に利用している場合
法律上、共有不動産で得た収益は持分割合に応じて分けるのが原則のため、正当な請求とされます。(民法第249条第2項)
影響④:税金や修繕費の負担を拒否される
新たな共有者が、不動産の固定資産税や管理に必要な修繕費などの負担を拒否する可能性があります。
共有者にはこれらの費用を持分割合に応じて負担する義務がありますが、これを拒否されると、既存の共有者が一時的に全額を立て替えなければならなくなります。
この場合、後から新たな共有者に求償権を行使して請求することは可能ですが、費用回収に手間や時間がかかるリスクが生じます。
影響⑤勝手に不動産に侵入される
共有持分を購入した新たな共有者が、不動産に立ち入る行為は原則として違法ではありません。持分に基づく利用権があるためです。
しかし、他の共有者が住んでいたり、賃貸中だったりする場合に無断で立ち入ると、プライバシーの侵害となり、重大なトラブルに発展することがあります。
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【実例】共有持分を売却しトラブルになったケース
父から相続した実家を、長男・次男・三男の3人で3分の1ずつ共有していた事例です。
長男が実家に住み続けていましたが、金策に困った三男が、他の兄弟に一切相談せず、自分の持分(3分の1)を専門の買取り業者へ売却してしまいました。
ある日突然、長男のもとに見知らぬ不動産業者から「共有持分を取得したので、今後の管理について話し合いたい」という通知が届きます。
業者は長男に対し、「家全体を売却して現金化するか、それが嫌なら私たちの持分を相場以上の価格で買い取れ」と要求。さらに「拒否するなら共有物分割訴訟を起こし、競売にかける」と迫りました。
結局、長男は住み慣れた実家を失いたくない一心で、無理なローンを組んで業者から高値で持分を買い取る羽目になりました。三男との親族関係は完全に断絶し、法的には正当な売却であっても、感情面と金銭面で多大な禍根を残す結果となりました。
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共有持分を勝手に売却された場合の5つの対処法

共有持分を売却され新たな共有者が現れた場合の対処法は、以下の通りです。
- 共有者全員の合意で不動産全体を売却する
- 新たな共有者の持分を買い取る
- 自分の持分を共有者に売る
- 自分の持分を第三者に売る
- 共有物分割請求訴訟を申し立てる
対処法①共有者全員の合意で不動産全体を売却する
新たな共有者を含めた全員の合意を得て、不動産全体を売却する方法です。
共有関係を完全に解消できるうえ、市場価格で売却できる可能性が高いため、資産価値を最大化できます。
共有状態によるトラブルを避けたい人にとっては最もスッキリした解決策ですが、全員の合意が必要なため、不動産を手放したくない共有者がいる場合は、実現できない手段です。
対処法②新たな共有者の持分を買い取る
不動産を手放したくない場合は、新たな共有者からその持分を買い取ることも検討しましょう。
交渉が成立すれば、共有状態を解消したり、自分の持分割合を増やすことが可能です。
ただし、相手が高値での買取を要求してくることもあるため、事前に価格相場を調べて冷静に対応する必要があります。
対処法③自分の持分を共有者に売る
新たな共有者または他の共有者に対し、あなたの持分を売却し、共有関係から完全に離脱する方法です。
不動産を手放すことになりますが、手続きが比較的シンプルで、早く問題を終わらせたい場合に有効です。
この場合も、不当に低い価格で売却しないよう、事前に価格相場を把握しておくべきです。
対処法④自分の持分を第三者に売る
共有者に持分を売りたくない場合や買取金額で合意ができない場合は、第三者への持分売却が有効です。
売却先は、共有持分専門の買取業者や仲介業者です。
他の共有者の同意が不要なため、交渉の手間がなく、迅速かつ確実に現金化できます。
ただし、買取業者の買取価格は市場価格を下回る可能性が高いため、少しでも持分を高く売りたい場合は、仲介業者へ依頼するのがおすすめです。
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共有物分割請求訴訟を申し立てる
話し合いが難航し、トラブルの解決が望めない場合は、裁判所に「共有物分割請求訴訟」を起こす方法があります。
判決により物理的分割や競売が命じられることもあり、強制的に共有状態が解消できます。
ただし、費用や時間がかかり、必ずしも自分の希望どおりになるとは限りません。最後の手段として検討すべき方法です。
トラブルを未然に防ぐには?6つの方法
他の共有者が持分を売却してしまった後で対策を練るのも大切ですが、最も確実な防衛策は、「そもそも共有状態を解消しておくこと」に尽きます。
共有名義である限り、他の共有者がいつ、誰に持分を売却するかを完全にコントロールすることはできません。
将来的なトラブルの芽を摘むために、以下の手法で「単独所有」にするか「不動産を手放す」かの検討を進めましょう。
| 解消方法 | 内容と注意点 |
| 単独名義にする | 特定の共有者が他の全員から持分を買い取る、あるいは譲り受けることで「単独名義」にする方法です。 ※時価より著しく低い価格での売買や無償譲渡は、「贈与」とみなされ贈与税の対象となる可能性があるため注意が必要です。 |
| 土地の分筆(ぶんぴつ) | 1つの土地を物理的に切り分け、それぞれを独立した土地(筆)として登記し直します。 各自が自分の土地を単独所有できるため、権利関係が完全に切り離されます。建物の住所変更が必要になる場合もあります。 |
| 不動産全体の売却 | 共有者全員の意思を統一し、物件丸ごとを市場で売却します。得られた売却益を持分割合に応じて分けるため、最も公平かつ資産価値を最大化しやすい解決策です。 |
| 共有物分割請求 | 協議がまとまらない場合の法的手段です。裁判所に申し立てることで、強制的に分割方法(競売による換価など)を決定してもらいます。ただし、時間と費用がかかるうえ、希望通りの結果になるとは限りません。 |
| 持分の放棄・贈与 | 「対価はいらないから共有関係から抜け出したい」場合、持分を放棄、または他の共有者に贈与します。放棄された持分は他の共有者に帰属しますが、受け取る側に税負担が発生することがあります。 |
| 自身の持分のみを売却 | 他の共有者や専門業者に自分の持分を売却します。他の共有者の同意を得ずに、即座に共有関係から離脱し、現金を得ることが可能です。 |
「将来の共有」を未然に防ぐための生前対策
すでに共有状態にある方だけでなく、これから相続を迎える方も注意が必要です。
- 遺言書の作成: 不動産を特定の1人に相続させるよう、被相続人に遺言書を準備してもらう。
- 遺産分割協議での調整: 安易に「法定相続分での共有」にせず、代償分割(1人が不動産を継ぎ、他者に現金を払う)などを活用して共有を避ける。
知らぬ間に第三者が共有者に入り込んでくるリスクをゼロにするために、早めの名義整理をおすすめします。
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共有持分の売却は、他の共有者の同意なしで可能ですが、売却後に新たな共有者や他の共有者との間で深刻なトラブルに発展するリスクをはらんでいます。
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このような方は、ぜひセンチュリー21中央プロパティーへご相談ください。
当社は、これまで4万件以上の共有持分トラブルを解決してきた実績があります。社内弁護士が常駐しているため、あらゆる局面において法的なチェックを行いながら、安全・確実にお手続きを進めてまいります。
ご相談からご売却までにかかる費用は、完全無料です。
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共有持分の売却に関してよくあるご質問
Q. 共有状態を続けるリスクは?
A.相続が発生するたびに、共有者が増え権利関係が複雑化します。
共有者が増えることで、活用や処分をめぐって意見がまとまらず、結果として権利は持っている者の、何も活用できない負の資産となってしまいます。
Q.共有持分はどこに売るのがベストですか?
A.買取業者または投資家(不動産仲介会社を利用)です。
一般的には、不動産買取業者による自社買取または仲介業者を通じて、投資家に売却する場合がほとんどです。
共有持分の購入希望者を個人が自力で探すことは現実的ではないため、共有持分を専門に取り扱う買取業者または仲介業者へ売却の相談をするようにしましょう。
Q.共有持分を購入する人の目的は何ですか?
A.最終的に不動産全体の所有権を取得し、単独所有の不動産として活用(再販、賃貸、開発など)して利益を上げることが目的です。
共有持分購入者の主な目的は、以下の通りです。
| 共有持分を購入する目的 | |
| 買取業者 | 不動産を単独名義にして転売することが目的。一部の業者では、他の共有者へ持分の売買交渉を強引に行う場合がある。 |
| 投資家 (不動産仲介会社を利用) | 収益物件として活用することが目的。持分割合に応じた家賃分配などの交渉を行う。 一定期間、共有状態を維持する前提で購入するため、共有者とのトラブルが少ない。 |
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この記事の監修者
弁護士
エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍する不動産トラブル解決のスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。
特に共有不動産における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。相続や離婚による共有名義不動産のトラブル解決に従事してきた。
著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。