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【弁護士Q&A】共有持分の賃貸について相談です

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【弁護士Q&A】共有持分の賃貸について相談です

共有持分の相続放棄のイメージ

私と姉2人の共有持分のうち、自分の持分だけを売却することを検討しています。

共有持分の建物は賃貸になっており、姉が管理しています。
姉が2年前から私の分の賃料を支払っていない状況で抗議しても聞いてくれません。そのため、不当利得請求を行うことを検討しています。

しかし不当利得請求を行う前に、私の持分を第三者に売却してしまうと、私の不当利得請求の権利が消えてしまうのでしょうか?

共有不動産が賃貸物件である場合、当該共有不動産から生じる家賃収入に関しては、各共有者が、その持分割合に応じて取得する権利があり、家賃を独り占めしている共有者がいる場合、他の共有者は不当利得返還請求を行なうことが出来ます。この不当利得返還請求権は、共有者自身の財産ですので、単独で第三者への処分(譲渡)が可能です。
他方、共有不動産全体の処分は、全共有者の同意がないと出来ませんが、共有持分だけの処分は、やはり各共有者が単独で行うことが出来ます。
但し、共有持分を処分した場合、あくまでも処分の対象は所有権たる持分そのものであり、当該共有者が、共有持分を処分する前に、取得した不当利得債権があったとしても、共有持分と共に債権が当然に処分されるわけではありません。債権と持分は異なる財産ですから、別途、債権譲渡の手続が取られない限り、持分処分前に発生した不当利得債権は、持分処分後の新たな持分権者には移転しません。
したがって、ご相談者様の立場からは、(1)共有持分だけを第三者に売却し、不当利得返還請求権はご自身の手元に残し、ご自身でお姉様に請求をしていくか、(2)共有持分の売却とは別に、不当利得返還請求権も第三者に譲渡するか、いずれの選択も行なうことが可能です。
(2)の場合は、通常、本来の不当利得返還請求権の額面よりも割り引かれた金額で債権を譲渡することになります。その代わり、債権譲渡後は、お姉様との交渉や、場合によってはお姉様と訴訟をする負担から解放されることになります。
なお、持分譲渡以降も、お姉様が家賃収入を独り占めし続ける場合、持分譲渡後に発生する不当利得返還請求権は、持分の譲受人の固有の債権となります。(2)で持分譲渡前に発生した不当利得返還請求権も譲り受けている場合は、持分譲受人は、譲受債権としての不当利得返還請求権と固有債権としての不当利得返還請求権を同時にお姉様に請求していくことになります。

まとめ

  • 共有持分の譲渡と不当利得債権の譲渡はあくまで別個の行為です。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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