遺言の執行(遺言執行者)|用語集
遺言の執行(遺言執行者)
意義:遺言を実現するために何らかの行為をしなければならない事項についてそれを実現する行為のこと。
解説
遺言執行者
民法1012条:「遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」
とあり、広範囲にわたって権利義務があることが認められています。
民法1006条:「遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。」
被相続人がいくら遺言を残しても希望通りに遺言が執行されなければ意味がありません。その遺言を希望通りに執行するのが遺言執行者です。相続人らが遺言者の意思に沿って遺言の執行をしてくれるのかどうかは遺言作成時には分かりません。もしかすると遺言を希望通りに実現してくれない可能性もあります。
そこで、自己の遺言をより確実に実現してもらえるよう遺言者は遺言執行者を指定することができます。遺言執行者が指定されている場合相続が開始するとその遺言執行者が遺言の執行を行うことになります。
民法1009条:「未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。」
遺言執行者は「未成年者」と「破産者」以外であれば誰でもなれ、個人でも法人でも一人でも複数でも可能です。
- 遺言執行者は必ず選任しなければならない者でもありませんが、者は必ず選任しないといけない場合があります。

しかし民法では、例外的に次の場合には遺言執行者の選任が必要とされています。
子を認知する場合
戸籍法64条:「遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から十日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、…その届出をしなければならない。」
相続人の廃除・その取り消し(民法第893条、894条)
民法893条:「被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。」
894条2項:「前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。」
遺言により遺言執行者を指定するのであれば、可能であれば、親族に頼むのではなく行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に依頼することを推奨します。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など共有持分をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。