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遺留分の放棄とは|用語集

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遺留分の放棄とは

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遺留分の放棄とは

まず、遺留分とは、一定の相続人のために、相続に際して法律上取得することが保障されている遺産の一定の割合・権利のことをいいます。

遺留分の放棄とは、その権利を放棄することです。

通常相続人のうちが相続放棄をすると、他の相続人の相続分は増えますが、遺留分についてはそのようなことはありません。

兄が遺留分を放棄したからと言って、弟がその兄の遺留分までは得られないことになります。

民法1043条2項:「共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。」

遺留分を放棄するメリット

① 代償金等を受け取ることができる

遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受ければ、被相続人の生前に行うことができます。

但し、生前に遺留分の放棄が認められるには、被相続人は、遺留分を放棄した者に対し、遺留分に相当する代償金を支払う必要があります。

金銭的な対価を早めに受け取ることができるのは、1つのメリットと言えます。

② 相続トラブルを回避できる

相続発生後に、自分の遺留分が侵害されていると知れば、相続人は遺留分侵害額請求を検討するでしょう。

遺留分侵害額請求とは、自分の遺留分が侵害されてしまったときに、侵害している相続人に対して、侵害額を返還請求する行為のことです。

遺留分を放棄していれば、そのような相続人同士のトラブルも回避できます。

ちなみに、相続開始「後」であれば、家庭裁判所の許可は不要で、相続人の単独の意思で遺留分を放棄することができます。

2019年の改正で変わったポイント

「遺留分侵害額請求」は2019年7月1日に改正された新制度で、旧制度名は「遺留分減殺請求」でした。

旧制度では、現物を返還するよう求めるのが原則でしたが、新制度では、原則として金銭(現金)の支払いを請求することができるようになっています。

  • 2019年6月30日以前に発生した相続 ⇒旧制度(減殺請求)が適用されます
  • 2019年7月1日以後に発生した相続 ⇒新制度が適用されます

相続の開始「前」における遺留分放棄の注意点

先述の通り、相続開始前の遺留分の放棄については、家庭裁判所の許可必要ですが、申請すれば必ず認められるわけではありません。

以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 遺留分の放棄が本人の意志に基づくこと
  • 遺留分の放棄に合理的な理由と必要性があること
  • 遺留分の放棄に対して、恩恵(見返り)があること

実際に審判の申したてた書類には、住所などの必要事項に加えて上記の趣旨を書く欄があります。

参考:家事審判申立書(裁判所)

また、遺留分の放棄が認められてしまうと、原則撤回はできませんので、放棄をする際はよく考えてからにしましょう。

なお、合理的な理由があれば撤回が認められる場合はあります。

参考:最高裁判所ホームページ

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など共有持分をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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