共有不動産の固定資産税、払わない共有者がいる場合の対処法

目次
共有名義の不動産(共有不動産)をお持ちの方で、他の共有者が固定資産税を支払ってくれず、お困りではないでしょうか。
自分が立て替えているものの、いつまで払い続ければいいのかと不安に感じている方も少なくありません。
本記事では、共有不動産の固定資産税を支払わない共有者がいる場合の法的なルールや具体的な対処法、さらには将来的なトラブルを避けるための根本的な解決策まで、網羅的に解説します。
滞納のリスクや、連絡が取れない共有者への対応方法も分かりますので、ぜひご一読ください。
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共有不動産の固定資産税は連帯納付が義務
まず前提として、共有不動産の固定資産税は、共有者全員が連帯して納付する義務(連帯納付義務)を負います。
連帯納付義務とは、共有者それぞれが個別に持分割合に応じた税額だけを納付すればよい、というものではありません。
自治体から送付される納税通知書は代表者1名にしか届きませんが、納税義務は共有者全員にあることを理解しておく必要があります。
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各共有者の納付額は原則として持分割合
共有者間の負担割合については、法律で明確に定められているわけではありません。
しかし、一般的には不動産の持分割合に応じて各共有者が負担するケースがほとんどです。
例えば、3人の共有者がそれぞれ3分の1ずつの持分を所有している場合、固定資産税の総額を3人で均等に分担するのが妥当とされています。
代表者が滞納すると他の共有者にも請求がいく
連帯納付義務の最も重要なポイントは、誰か一人が滞納した場合、その責任が他の共有者全員に及ぶことです。
納税通知書を受け取っている代表者が支払いを怠ると、自治体は持分割合に関係なく、他の共有者に対して「税金の全額」を請求できます。
「自分の持分は少ないから関係ない」「代表者じゃないから大丈夫」といった考えは通用しないため、注意が必要です。
滞納した場合は延滞税や財産の差し押さえも
固定資産税を滞納すると、納期限の翌日から延滞税が加算されます。
さらに、自治体からの督促状や催告を無視し続けると、最終的には給与や預貯金、さらには対象の共有不動産そのものが差し押さえられ、公売にかけられる可能性があります。
共有者一人の滞納が、不動産全体を失うという最悪の事態につながりかねないのです。
固定資産税の納付代表者の決定方法
固定資産税の納税通知書は共有者の一人に代表して送付されます。
この納付代表者は、不動産を取得した経緯によって決まり方が異なります。
代表者の決定方法 | |
①売買・贈与など | 自治体が優先順位に基づき決定 |
②相続 | 相続人同士の協議で決定・届出 |
①売買・贈与などの場合:自治体が優先順位に基づき決定
夫婦でマイホームを購入した場合など、不動産を売買・贈与によって共有名義にした際は、自治体が代表者を決定します。
その選定には、一般的に以下のような優先順位が用いられます。
- その市区町村に居住している人
- 持分割合が最も大きい人
- 登記簿の所有者欄で、最初に名前が記載されている人
なお、共有者全員の合意があれば、自治体に届け出ることで代表者を変更することも可能です。
②相続の場合:相続人同士の協議で決定・届出
相続によって不動産を共有名義で取得した場合は、まず相続人同士の話し合いで代表者を決めます。
そして、その決定事項を自治体に正式に知らせるため、「相続人代表者指定届」を提出する必要があります。
もしこの届出が提出されないままだと、自治体が法定相続分などに基づいて代表者を指定することもあるため、忘れずに手続きを行いましょう。
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固定資産税の注意点
固定資産税の納税において、特に代表者が知っておくべき注意点は以下の通りです。
- 代表者は他の共有者分の税金を立て替える必要がある
- 肩代わりは「みなし贈与」と判断されるリスクに注意
- 固定資産税の納付時期と納付方法を押さえておく
注意点①:代表者は他の共有者分の税金を立て替える必要がある
納税通知書は代表者に届くため、まずは代表者が税金の全額をまとめて納付するのが一般的です。
つまり、一旦は他の共有者の負担分も代表者が立て替えて支払うことになります。
その後、立て替えた分を各共有者に請求し、支払ってもらうという流れになりますが、この段階で「払わない」トラブルが発生しやすくなります。
注意点②:肩代わりは「みなし贈与」と判断されるリスクに注意
他の共有者の負担分を立て替えた後、その返還を求めずに放置していると、税務上「贈与」とみなされる(みなし贈与)リスクがあります。
立て替えた金額が年間110万円の基礎控除額を超えると、贈与税が課される可能性があります。
「身内だから」と曖昧にせず、立て替えた分は必ず請求し、返済してもらうようにしましょう。
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注意点③:固定資産税の納付時期と納付方法を押さえておく
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。
納税通知書は4月〜6月頃に届き、通常は年4回(例:6月、9月、12月、翌年2月)に分けて納付します。
納付方法は、納税通知書を使った現金払いのほか、口座振替、クレジットカード、スマートフォン決済アプリなど、自治体によって様々です。
納付忘れがないよう、事前に確認しておきましょう。
固定資産税を払わない共有者への対処法
他の共有者が固定資産税の負担分を支払わない場合の対処は、以下の2ステップで行います。
- 立替分の請求(求償権の行使)
- 持分の強制買取(1年以上の滞納が目安)
対処法①:立替分の請求(求償権の行使)
他の共有者の負担分を立て替えた場合、その共有者に対して「あなたの代わりに支払った分を返してください」と請求する権利があります。
これを法律用語で「求償権(きゅうしょうけん)」といいます。
まずは口頭や電話で支払いを催促し、それでも応じない場合は、次のステップに進みます。
求償権の行使方法と弁護士費用
求償権を正式に行使するには、まず内容証明郵便を送付して、支払いを請求するのが有効です。
内容証明郵便は、誰が、いつ、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれるため、後の法的手続きで強力な証拠となります。
それでも支払いに応じない場合は、簡易裁判所に「支払督促」を申し立てるか、「少額訴訟」を提起することになります。
弁護士に依頼する場合、内容証明郵便の作成で数万円、訴訟に移行すると着手金などで数十万円程度の費用がかかるのが一般的です。
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求償権には5年の時効があるため注意
求償権を行使する上で、最も注意すべきなのが「時効」です。
立替払いをしたときから5年が経過すると、求償権は時効によって消滅してしまい、法的に請求する権利を失います。
「いつか払ってくれるだろう」と放置せず、早めに行動を起こすことが重要です。
対処法②:持分の強制買取(1年以上の滞納が目安)
他の共有者が資力に問題があり、固定資産税の負担分を1年以上にわたって支払えないような場合、その共有者の持分を強制的に買い取ることを裁判所に請求できる可能性があります(共有物の変更行為/民法第251条)。
これは、共有関係そのものを解消するための最終手段の一つです。
ただし、手続きが複雑で費用もかかるため、実行する際は弁護士などの専門家への相談が不可欠です。
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共有者が特殊な事情を抱えている場合の対処法
固定資産税を支払わない共有者と連絡が取れない、または意思疎通が難しい特殊な事情がある場合の対処法は、主に以下の通りです。
- 共有者が死亡した場合:相続人に請求する
- 共有者が認知症の場合:成年後見制度を利用する
- 共有者が行方不明・音信不通の場合:不在者財産管理人制度を利用する
①共有者が死亡した場合:相続人に請求する
共有者が死亡した場合、その人の納税義務は法定相続人全員に引き継がれます。
したがって、立て替えた固定資産税は、その共有者の相続人に対して請求することになります。
誰が相続人になるのか、遺産分割協議がどうなっているかを確認する必要があります。
関連記事:共有名義人が死亡したら固定資産税の支払いは誰が引き継ぐ?
②共有者が認知症の場合:成年後見制度を利用する
共有者が認知症などで判断能力が不十分な場合、法的な請求や契約行為ができません。
この場合は、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を選任してもらう必要があります。
選任された成年後見人が本人に代わって財産を管理するため、固定資産税の支払いや立替金の返済について、後見人と交渉することになります。
関連記事:共有名義人が認知症になると不動産を売却できなくなるって本当!?知っておきたい事前対策
③共有者が行方不明・音信不通の場合:不在者財産管理人制度を利用する
共有者が行方不明で連絡が取れない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てることができます。
不在者財産管理人が行方不明者に代わって財産を管理し、固定資産税の支払いや立替金の返済に対応します。
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固定資産税の負担を軽減するポイント
毎年支払う固定資産税は、少しでも負担を軽くしたいものです。
固定資産税の負担を軽減するために押さえておきたいポイントは、以下の通りです。
- 固定資産税の計算方法を理解する
- 固定資産税の3つの軽減措置
- 不動産評価額の再調査
ポイント①:固定資産税の計算方法を理解する
固定資産税は、以下の計算式で算出されます。
固定資産税評価額(課税標準額)× 1.4%(標準税率) |
固定資産税評価額は3年に1度見直されます。
自分の不動産の評価額が適正か、納税通知書に添付されている課税明細書で確認する習慣をつけましょう。
ポイント②:固定資産税の3つの軽減措置
特に住宅用地(家が建っている土地)には、税負担を軽減する特例措置があります。
軽減率 (課税標準額) | |
小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) | 評価額の6分の1 |
一般住宅用地 (200㎡超の部分) | 評価額の3分の1 |
新築住宅の建物 | 3年間(マンション等は5年間)、税額が2分の1 |
これらの特例が正しく適用されているか、課税明細書で確認することが重要です。
ポイント③:不動産評価額の再調査
「周囲の土地より自分の土地の評価額が明らかに高い」など、固定資産税評価額に疑問がある場合は、市区町村の固定資産税課に不服申し立て(審査の申出)を行うことができます。
申し立てが認められれば、評価額が是正され、固定資産税が減額される可能性があります。
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固定資産税の負担を完全に無くすためには、「自己持分の売却」も検討する
これまで解説した方法は、あくまで対症療法にすぎません。
他の共有者との関係が悪化している、今後も支払いの催促を続けるのが精神的に負担だ、という場合は、共有関係そのものを解消するのが最も根本的な解決策です。
共有不動産全体を売却するのが理想ですが、他の共有者の同意が得られない場合でも、あなた自身の持分だけを売却することは法的に可能です。
専門の不動産会社に自己持分を売却すれば、固定資産税の支払い義務から完全に解放されるだけでなく、まとまった現金を得ることもできます。
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共有持分の専門家のみが在籍しており、他の共有者との交渉もスムーズに代行可能。
また、共有持分に強い社内弁護士が常駐しているため、法的な課題をクリアしながら、安全・確実にお手続きを進めてまいります。
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固定資産税に関するその他のトラブルと対処法
固定資産税に関連する、特殊なトラブルのケースとしては以下のものが挙げられます。
- 共有者が自己破産した場合
- 共有者が持分を放棄した場合
- 代表者が税金を横領した場合
ケース①:共有者が自己破産した場合
共有者の一人が自己破産すると、その人の持分は破産管財人によって管理され、最終的には競売などで現金化され、債権者への配当に充てられます。
その結果、全く知らない第三者が新たな共有者として加わる可能性があります。
ケース②:共有者が持分を放棄した場合
共有者の一人が自分の持分を放棄(共有持分放棄)すると、その持分は他の共有者に持分割合に応じて帰属することになります。
例えば、A・B・Cが3分の1ずつ共有している状態でCが持分を放棄すると、Cの持分はAとBに渡り、AとBの持分はそれぞれ2分の1ずつになります。
それに伴い、固定資産税の負担割合も増加します。
関連記事:共有持分の放棄は早い者勝ちって本当!?手続きの流れや注意点を解説
ケース③:代表者が税金を横領した場合
他の共有者から固定資産税の負担分を集めたにもかかわらず、代表者がそのお金を納税せずに使い込んでしまう(横領)ケースも考えられます。
この場合でも、自治体に対する連帯納付義務はなくならないため、他の共有者は改めて納税しなければなりません。
横領されたお金については、代表者に対して不当利得返還請求や損害賠償請求を行うことになります。
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まとめ
固定資産税を払わない共有者への対応は、法的な知識が求められるだけでなく、精神的にも大きな負担となります。
本記事で解説した重要なポイントを改めて確認しましょう。
- 固定資産税は共有者全員の連帯納付義務があり、滞納すると他の共有者に全額請求がいく。
- 滞納を放置すると延滞税がかかり、最悪の場合は財産が差し押さえられる。
- 立替分は求償権を行使して請求できるが、5年の時効があるため注意が必要。
- 支払いの催促やトラブル対応に疲れたら、自己持分のみを売却して共有関係を解消するのが根本的な解決策。
このような共有者間の金銭トラブルは、当事者同士での解決が難しく、時間と共に問題が深刻化するケースも少なくありません。
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固定資産税に関してよくある質問
固定資産税に関してよくある質問と、その回答をいくつかご紹介します。
Q1.共有者の誰かが固定資産税を払わないと他の共有者に影響はありますか?
A.はい、重大な影響があります。
共有不動産の固定資産税は連帯納付義務があるため、共有者の一人が滞納した場合でも、自治体は他の共有者に対して税金の全額を請求できます。
最悪の場合、あなたの財産が差し押さえられる可能性もあります。
Q2.肩代わりした固定資産税は、他の共有者から返してもらえますか?
A.はい、法的に請求する権利(求償権)があります。
まずは話し合い、応じなければ内容証明郵便の送付、支払督促、訴訟といった法的手続きを通じて請求することが可能です。
ただし、立替時から5年で時効になるため注意が必要です。
Q3.固定資産税の納付時期はいつですか?
A.自治体によって異なりますが、一般的には年4回に分けて納付します。
毎年4月〜6月頃に納税通知書が届き、1回目の納付期限は6月末頃に設定されていることが多いです。
具体的な納付時期は、お住まいの市区町村のウェブサイトなどでご確認ください。
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この記事の監修者
弁護士
エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍する不動産トラブル解決のスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。
特に共有不動産における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。相続や離婚による共有名義不動産のトラブル解決に従事してきた。
著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。