共有名義不動産の
持分を処分する方法は?|共有持分とは|その他
共有名義不動産の
持分を処分する方法は?
目次
質問例えば甲不動産(土地)をABがそれぞれ土地持分を2分の1ずつで共同所有していますが、共有を解消したいと考えています。どのような方法、または注意点がありますか?
※登記はA(夫)、B(妻)の共同名義甲不動産を土地の持分2分の1ずつで共同名義にしています。

1. 共有物分割
2. 共有持分(土地持分)の処分
3. 共有持分(土地持分)の放棄
が考えられます。
共有物については、共有者がそれぞれ「持分」という権利を有しています。
民法250条:「各共有者の持分は、相等しいものと推定する。」
持分は、各共有者の所有権なため、「自分の持分を処分する」こと自体は、各持分権者の自由です。つまり、本件では自己の土地持分については、その処分は単独(自分一人で)できます。
では、共有物の全部を処分してしまうことはできるかというと、
民法251条:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」
としています。売却等の「処分」は、共有物の最大の「変更」行為であたるため、「他の共有者の同意を得なければ」することができません。
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上記のように、土地全体を売却する場合には全員の同意が必要になりますが、自己の土地持分のみであれば単独で処分することが出来ます。
また、共有物自体を分割することで、共有関係を解消する方法もあります。本件のように甲地を土地持分2分の1ずつ共有の場合、共有物自体を分割し、別々の土地として登記をする(いわゆる「分筆」)すれば共有関係は解消されることになります。
また、共有不動産全部を処分することで、共有を解消する方法もあります。例えば、甲土地を売却し、その代金を土地持分割合に応じて分割することで共有の解消を図る方法です。
本件ですと土地持分はそれぞれ2分の1ずつなので、売却代金は半分ずつということになります。共有名義、共同名義の不動産を所有している場合の処分は、専門業者に相談する方がトラブル防止にもつながります。
共有持分を放棄することで、共有を解消する方法
民法255条:「共有者の一人が、その持分を放棄したとき…その持分は、他の共有者に帰属する。」
とあります。共有者の一人が共有関係を放棄することで、共有関係を解消する方法です。
本件の場合Aが土地持分の2分の1を放棄した場合はBに帰属することになります。ただ、共有持分が無くなってしまうことになるため、あまり活用はされていません。
- 共有者が死亡した場合、相続人がいない場合には他の共有者に帰属します(同条:「死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。」
ただ、相続人がいる場合には、相続の対象になる点には気を付けましょう。
相続人が複数人いる場合は相続分に応じて共有関係になりますが、これを繰り返していくと共有持分がどんどん細分化されて権利関係も複雑になりがちですので、相続が発生する場合は共有関係を見直すいい機会かもしれません。

この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。