\ 無料相談・査定をする /

共有名義不動産の家賃について|弁護士Q&A

更新日:
作成日:

共有名義不動産の家賃について

ご相談内容

5年前に父から相続した名古屋市緑区のマンションは兄弟3人で共有名義になっていますが、兄の口座に賃料が振り込まれ、私と姉が催促しても私達の取り分である家賃をもらえなくて不満に思っています。兄に対し私と姉の持分を買い取ってほしいと要望しましたが話に応じてくれません。

何か良い解決策はありますでしょうか。

ご相談のポイント

  • 共有名義不動産における家賃の分配ルール
  • 適正に家賃分配してもらえない場合の対処法
  • 他の共有者が持分を買い取ってくれない場合

①共有不動産の家賃の分配ルール

不動産が共有名義である場合、各共有者は、その持分割合に応じて共有不動産を使用する権利があります(民法249条1項)。

また、家賃は、不動産の使用に対する対価として生じる法定果実(民法88条2項)であるところ、これを取得する権利は、不動産の共有者全員に帰属します。

したがって、共有不動産から家賃収入が出ている場合は、各共有者が持分割合に応じて家賃収入の分配を受けるのが大原則です。

②適正に家賃が分配されない場合の対処法

特定の共有者が家賃収入を独り占めし、他の共有者に分配しない場合、他の共有者は、不当利得返還請求権に基づき(民法703条・704条)、自身の持分割合に応じた賃料を支払うように請求することが出来ます。

まずは当事者同士で話し合うことになるでしょうが、当事者同士の話し合いが困難なときは弁護士を入れて交渉する、それでも解決できないときは訴訟を提起する、といったように、請求の具体的な流れを予め想定しておく方が良いでしょう。

③他の共有者が持分を買取に応じない場合の対応

具体的な共有関係の解消方法は、共有者間の協議で決めることが原則です。

共有者間での協議が纏まらない場合には、裁判所に対して共有物分割請求訴訟を提起することが出来ます(民法258条1項)。

但し、共有物分割請求訴訟における分割方法は、現物分割若しくは賠償分割(ご相談者様のご希望も賠償分割の一種です)が原則ではあるものの(同条2項)、これらの方法では分割が出来ないときは、競売による換価分割を命じることが出来るとされています(同条3項)。

そのため、必ずしもご相談者様の希望する分割方法が裁判所に採用されるとは限らない点に注意が必要です。

特に本件の場合、最終的にお兄様に持分を買い取る意思と資力が存在しないと、ご相談者様のご希望する方法での解決は困難です。

そこで、別の方向からの解決方法としては、ご相談者様とお姉様の持分を第三者に売却し、共有関係から離脱するという方法があります。

持分のみの売却の場合は、他の共有者(お兄様)の同意は不要です。

まとめ

共有不動産の家賃収入は、各共有者の持分割合に応じて分配するのが原則です。

家賃収入を独り占めする共有者に対しては、不当利得返還請求権に基づき、持分割合に応じた賃料の支払いを請求することが出来ます。

分割方法について共有者間での協議が纏まらない場合は、共有物分割請求訴訟を提起することが出来ますが、希望する分割方法が採用されない可能性があります。

共有関係の解消方法としては、この他に、他の共有者の同意が要らない、第三者への共有持分の売却という選択肢があります。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

この記事のタグ

おすすめの記事はこちら