占有権とは
占有権とは
(占有物について行使する権利の適法の推定)
民法188条:「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。」
とあります。仮に盗んだ物であっても、事実上占有していれば、適法だと推定されます。(もちろん盗むことがいいわけではありません)そうでなければ自力救済を助長し、平穏な社会が害されてしまうからです。
- なお、詳細の占有については別項目でも書いているので措置をもご覧ください。
ここでは、占有の効力のうち、占有の効力の消滅部部分について解説していきます。
(占有権の消滅事由)
民法203条:「占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。」
占有の効力は占有され続けていないとその効力はありません。ただ、ずっと直接占有していければいけないわけではなく、個別具体的に判断されます。
例えば、賃貸物件に住んでいて日中は仕事でいないため、住んでいる人の占有がないかというとそんなことはありません。占有者自身が、占有の意思を放棄、または失うと、占有権はなくなってしまいます。
また、高級バックを道に落とし、違う人が拾った場合には、法律的には所有権は落とした人のままですが、占有権は拾った人に移転してしまいます。
占有は代理によっても可能で(代理占有)と言います。例えば、Aが代理人であるBに代わりに車を持っておくように頼んで、Bさんに車を渡しました。
このような場合でも、Aさんは占有権を失うことはなく、占有権を主張することができ、このようなAの占有を代理占有と言います。
(代理占有権の消滅事由)
民法204条:「代理人によって占有をする場合には、占有権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人が代理人に占有をさせる意思を放棄したこと。
二 代理人が本人に対して以後自己又は第三者のために占有物を所持する意思を表示したこと。
三 代理人が占有物の所持を失ったこと。」
代理占有の場合は3つの場合に本人の占有が消滅します。
- 本人が代理人に占有をさせる意思を放棄したこと。本人が代理人に「もう占有はしなくても良い」という場合、当然代理人の占有もなくなりますが、それとともに代理して占有していた事実がなくなるため、本人の占有権も消滅します。
- 代理人が本人に対して以後自己又は第三者のために占有物を所持する意思を表示したこと。上記の例で、Bが「今後は自分のために占有します」とか、「Cのために占有をします」などのような場合には、本人の占有権は失われます。
- 代理人が占有物の所持を失ったこと。例えば、上記BがCに車を盗まれてしまった場合には、Bは占有を失う結果、本人Aも占有権を失ってしまいます。
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この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。