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【弁護士Q&A】再婚時の共有持分について相談です|弁護士Q&A

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【弁護士Q&A】再婚時の共有持分について相談です

相続不動産を空き家のまま放置は危険!共有持分の名義変更はどうする?

再婚相手が共有持分を持っている場合について相談です。

母は再婚相手と再婚相手が所有しているマンションに二人で暮らしています。
その再婚相手も母とは再婚です。
今二人で暮らしてるマンションですが、名義がその再婚相手と再婚相手の元嫁との共有名義という事が最近分かりました。
ですが、再婚相手の元嫁はどこにいるのか所在不明で、連絡先も分からないそうです。

そこで質問です。
①再婚相手が母より先に亡くなった場合、元嫁との共有名義であるマンションに母は住み続ける事はできますか?
元嫁に出ていけと言われたら出ていかなくてはいけないのでしょうか?

②母がもしそのマンションを売りたいと考えた場合、元嫁との共有名義である以上売ったりはできないんでしょうか?

③元嫁との共有名義から再婚相手と母の名義に変えることは可能でしょうか?

(1)再婚相手が亡くなり、その相続人がお母様1名だった場合、マンションはお母様と前妻の共有の状態となります。
民法上、共有物の各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます(民法249条1項)。そのため、持分割合に関わらず、他の共有者は、共有物を単独で占有する共有者に対して、当然に明渡を請求することはできません(最高裁昭和41年5月19日判決)。

但し、自身の持分割合を超えて共有物を使用している場合、他の共有者は、使用料(賃料相当額の不当利得金ないし損害賠償金)の支払いを請求することができます(最高裁平成12年4月7日判決)。

他方、民法上、各共有者は、いつでも、他の共有者に対して、共有物の分割を請求することができるとされています(民法256条1項)。この分割請求権は形成権と呼ばれ、権利行使によって直ちに分割を実現するべき法律関係が生じ、分割の具体的な方法を定めることになります。

分割方法は、まずは共有者間の協議によって行なうことが原則ですが、協議が整わずに、前妻が裁判所に共有物分割訴訟を提起した場合には、マンション不動産全体を競売し、その代金を分けるという判決での決着になる恐れがあります(民法258条1項ないし3項)。この場合、マンションは落札者のものになるので、お母様は、マンションから出ていかなければならなくなります。

(2)マンションの売却は、共有物の処分行為に当たるため、共有者全員、すなわち前妻の同意が必要となります(民法251条1項)。同意が得られない場合は、前記の共有物分割請求⇒共有物分割訴訟⇒競売判決での売却を、逆にお母様から行なうことが考えられますが、競売の場合、任意売却よりも売却価格は下がってしまいます。

(3)この場合は、前妻のマンションの持分を、お母様が前妻から譲り受ける(買い取る)必要があります。共有物全体の売却には、前期の通り全共有者の同意が必要ですが、共有持分の売買については、各共有者が単独で行なうことが可能です。

まとめ

  1. 前妻からマンションの明渡請求を当然に行なうことはできません。但し、共有物分割訴訟にて競売判決が出た場合は、マンションから退去する必要があります。
  2. 共有マンションの売却には、共有者である前妻の同意が必要です。
  3. 共有マンションの持分を前妻から買い取る必要があります。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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