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【弁護士Q&A】共有持分の現物分割について相談です

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【弁護士Q&A】共有持分の現物分割について相談です

共有持分の土地を分割する方法について質問です。
共有名義の土地を分割し、Aが2/3、Bが1/3の持ち分で、A・Bともに分割した土地上に家を建てたいと考えているのですが、どのように分割するかで揉めていて話が進みません。
パターン1の場合だとA・Bともに南側と道路に面することができますが、Bの土地の形状は家が建てづらいためBが拒んでおり、パターン2の場合だとAは周りを建物に囲まれてしまい日当たりが悪いという理由でAが拒んでいます。Bが奥側になる形でも同様の理由で拒否。
このような場合、どのように土地を分割したら良いでしょうか?

共有物を物理的に分割して各人の単独の所有物とする現物分割は、法律上は、共有物分割の原則的な手法とされています。しかしながら、分割の対象が土地の場合、接道している部分としていない部分があったり、日当たりの良い部分と悪い部分があったり、一部だけが崖地であったり地盤の緩い場所であったり等、その土地特有の事情ゆえに、単純に持分割合通りの面積で分けるだけでは共有者間の実質的な平等・公平が図れないケースが殆どです。本件のAとBもまさにこの状況にあります。
このような場合の解決の方法性としては、現物分割以外の方法での解決を目指すか、現物分割を前提に共有者間の不平等を別途調整するか、いずれかになるかと思います。
現物分割以外の解決策としては、(1)AとBのどちらか一方が土地の全部を取得し、持分割合に応じた取得代価を他方に支払う全面的価格賠償と、(2)土地の全部を第三者に売却し、その代金をAとBの持分割合に応じて分配して受け取る換価分割が考えられます。どちらも、土地全体の価格の評価についてAとBが合意できれば、持分割合に応じた平等な解決が図れます。
これに対し、現物分割を前提に共有者間の不平等の調整を図る方法を、部分的価格賠償と呼びます。持分割合通りの面積で分割したものの、双方の土地の価値に差がある場合、一方は実質的に持分以上の利益を得ており、他方はその分だけ不利益を受けています。このような場合に、利益を得ている者から不利益を受けている者に対して金銭を支払い賠償することで、両者の経済的利益の均等化を目指す手法が、部分的価格賠償です。
本件において、パターン1の分け方をする場合は、Bの方が不利益であるので、AからBに対して価格賠償を行なうことになり、パターン2の分け方をする場合は、Aの方が不利益であるので、BからAに対して価格賠償を行なうことになります。

まとめ

  • 土地の現物分割は、単純に持分割合通りの面積で分割するだけでは、共有者間の実質的な平等が図れないことが多いです。
  • 現物分割以外の選択肢としては全面的価格賠償と換価分割があります。
  • 現物分割を前提に共有者間の利益を調整する方法としては部分的価格賠償があります。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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