交換による解決|トラブル事例|その他
交換による解決
ご相談内容
AB兄弟は甲土地と乙マンションを共有しています。Aはとある事情で、乙マンションから出ていくことを考え、自己の所有する甲土地と乙マンションの共有持分を整理しようと考えています。Bに買い取ってもらえればよいのですが、なかなか懐事情は厳しいようです。かといって、見知らぬ第三者に売るのも前向きにはなれません。
何か良い解決方法はありますか?
- なおAとBの共有持ち分比率は、A:B=3:7(甲土地、乙マンションともに同割合)
<持ち分比率のイメージ図>

共有持分を第三者に売却するとおこること
自己の共有持分は他の共有者の許可なく、処分(=売却)することは可能です。もちろん、見知らぬ第三者に売却することも当然可能です。共有持分を第三者に売却した場合におこること。見知らぬ人との共有状態が発生してしまいます。
本件でいえば、Aが自己の共有持分を第三者Cに売却した場合、Bは見知らぬ第三者との共有関係が生じてしまいます。Cは持分を買い取っても現実的に利用することは考えられませんので、自己の持分相当の賃料を請求してきたり、分割請求をしてきたりする可能性があります。
もちろん、あくまで可能性という点にはなってしまいますが、見知らぬ第三者と共有関係になると、「第三者が何をするかわからないという不安」がつきまといます。本件Aが第三者に売却するのを渋っている理由もわかります。
他の共有者に売るのがベスト
共有持分を処分・売却する場合には第三者に売却するのも一つの手ですが、「他の共有者に売却する」ことをまず考えましょう。他の共有者は買い取ることで完全な所有権とすることができます。
特に本件のような兄弟間での共有状態の場合、第三者に処分してしまうよりも、身内間で整理できるに越したことはないと思います。先祖代々の不動産を他の人に手渡すのは避けたい。
ただ、本件ではBが買い取ることは難しいようです。一層のこと贈与してしまえばよいとも思いますが、それでは贈与税もかかってしまいますし、Aとしてもできるだけ見返りは欲しいと思います。さて困ったものです。
交換により、共有持分を解消する方法
現状、甲土地と乙マンションはABの共有関係(持分比率=A:B=3:7)です。Bが買取ができない以上、第三者に売却する方法しかないように思えますが、持分を交換する方法で共有関係を整理する方法もあります。
交換とは、簡単に言ってしまうと、物々交換のことです。
民法586条:「交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる。」
金銭以外の財産権には所有権(共有持分)も当然含まれます。
本件の場合、甲土地、乙マンションはそれぞれ、3:7で共同所有していますが、互いに価値の等しい割合で甲土地の一部と乙建物の持分の交換契約が成立すれば、うまく共有状態を整理できる可能性があります。
具体的なイメージ図は以下のようになります。

価値によりその交換割合は変わってきますが、乙建物をBの単独所有とし、乙建物のAの共有持分の価値と甲土地のBの価値部分とを交換することで、共有関係を一つ整理することができます。Aは土地の持分割合を増やすこともできます。
このように共有持分の整理は売却するだけではありません。交換契約がうまく成立するかは状況にもよりますが、当事者では考えつかないような共有状態の解消方法があるかもしれません。
そのような提案ができるのは、様々な事案で多くの解決実績・経験があるからこそです。
「共有を解消したいがどのような方法がよいのかがわからない」そんな時はまずは、一度当社にご相談ください。最善のご提案をさせて頂きます。
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。