共有が発生するきっかけ|共有持分とは|その他

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共有が発生するきっかけ

ご相談内容

どのようなケースに共有状態が発生するのですか?共有状態になるのは、面倒と聞くので、この先発生をできるだけ避けたいと考えています。

1. 夫婦間での共同購入

夫婦で購入イメージ

共有持分の概念は、一つの所有権に対して、それぞれの持ち分に応じ、共同所有をする形態を言います。そんなことあるの?と思う方もいるかもしれませんが、代表的なものは共同購入です。

典型例は、夫婦で家やマンションを購入する場合がこれに当たります。最近では結婚しても働き続ける奥さんも多く、経済力がある女性が増えています。今までであれば、夫が単独でローンを組むケースが多かったですが、最近ではペアローンを組み共同で物件を購入・ローンを組むことで、高価な物件を購入することができます。

さあ、大きな家、マンションで幸せな生活が始まりました。しかしながら、少なからず離婚してしまう夫婦がいます。その際、共同購入した家やマンションはどのようになってしまうのでしょうか。夫婦関係が破綻した以上、一緒に住み続けることはないと思います。

このような場合に共有持分の問題が発生します。家を共有持分の割合で分断する…そんなことはできません。

2. 第三者との共同購入

共有持分の状態になるのは不動産に限りません。例えば、車を友人と半分ずつお金を出し合い、共同して購入する場合も共有持分の状況は発生します。この場合は、持分割合はお金を出した割合(1:1)になります。

(1)(2)では所有権に関する共有でしたが、所有権以外の場合にも同じような共有持分の状況は発生することがあります。その場合「共有」ではなく「準共有」とされます。

相続

次の典型例は相続が発生した場合です。相続が関係してくると権利関係が複雑になりばかりか、相続財産をめぐって親族間で骨肉の争いに発展なんてことも少なくありません。

例えば、被相続人Aがなくなり、二人の子供(BC)が甲土地を相続したとします。BCの相続分は2分の1ずつになり、それぞれ土地に関する共有持分も2分の1となります。

父A(被相続人)が亡くなり子B、子Cが甲土地を1/2ずつ相続した。相続による共有名義が発生するきっかけを表した図
  • 相続放棄をした場合等は異なります

被相続人のAの時代、甲土地はAの単独所有でしたが、相続が発生し、相続人が複数人いることで、意図せずとも共有状態が発生してしまいます。

共有持分の概念は具体的に「ここからここまでがBのもの」というわけではなく、共有物全部につき権利を有し、その全部について利用する権利を有します。また、BCに家族(相続人)がおり、BCのどちらか、また一方がなくなり、さらに相続が起きた場合、権利関係は一層のこと複雑になってしまいます。

仲が良い兄弟か否かにかかわらず、その土地の利用方法についてもめる可能性があります。すんなり利用方法がまとめればよいのですが、普通出来るだけ自己に有利になるよう希望します。

まとめ

民法にはこんな規定があります。

(共有物の分割請求)

民法256条:「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。」

共有状態の場合、各共有者は「いつでも」共有物の分割請求をすることができます。共有状態はあくまで、例外であり、基本的には1つの物に対して、所有権は1つであるべきで、権利関係が複雑な共有持分はできるだけ解消しやすいように規定されています。

もちろん、うまく利用すれば共有もメリットはあります。ただ、一方で「争いの火種になりやすい」ということもできます。一度争いになってしまったら、なかなか解決することはできません。そのような場合は自己の持分を売却して、争いから抜け出し解放されるというのも一つの方法です。

相続などによって意図しない共有状態が発生してしまうのは仕方ありませんが、共同購入などのような場合には、事前にリスクを考える、また事前にリスクヘッジをしておくことが重要です。

この記事の監修者

岡田 卓巳オカダ タクミ

弁護士

弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。不動産の共有関係解消など相続と不動産分野の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。

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