共有物分割禁止特約を登記した事例|トラブル事例|相続
共有物分割禁止特約を登記した事例
ご相談内容
父の所有していた名古屋市西区の商業ビルを家族(母、長男、妹、私)で相続しました。生前の父は、相続財産であるビルを家族みんなが仲良く持ち続けるよう、母や長女の私に言っておりました。家族の持分を誰かが勝手に売ることがないように望んでいたはずです。
1ヶ月前に遺産分割協議書を整え相続登記を完了しました。
ビルの賃料収入は約210万円/月あり、各持分比率で分配することは家族全員で合意していていたにもかかわらず、会社の経営が厳しいとの理由で兄(長男)が自分の持分だけでも売却して現金化したいと言ってきました。何かいい解決策はないでしょうか?

ポイント
- 父の相続財産を家族4人で共有
- 共有者の兄のみ自己持分の売却希望している
補充
- 不分割特約
共有者全員で、5年以内の期間を定めて分割しない旨の特約をすることができる(256条1項ただし書)この特約は更新できるが更新後の期間も5年以内とされる(同条2項)
解決までの流れ
分割の方法
現物分割(共有物を分量的にそのまま分割する)や代金分割(共有物を売却しその代金を分ける)、さらに全面的価格賠償(共有者の一人が共有物を取得し、他の共有者に金銭を支払う)の3通りの方法があります。
一時は家族でずっと持ち続けることを兄が承諾していた経緯があるので、母から兄を説得してもらい、弁護士(エルピス総合法律事務所)のアドバイスで共有物分割禁止特約の登記手続きを完了できました。
全員“合意”だけでなく必ず“登記”が必要!!
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。