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相続登記が未了でも共有持分の売却は可能?

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相続登記が未了でも共有持分の売却は可能?

ご相談内容

30年前に父が他界した後、自宅を母と兄弟3人で相続することになりましたが、相続登記は現在も変更されないままとなっています。私と母親は共に暮らし、ずっと親の面倒を見てきましたが、弟は親に対し何もせず、しかも、母亡き後、「自宅を売りお金を工面したい」と言い出してきました。

私は自宅を売るつもりはないので反対をしたところ、共有物分割請求という訴訟を起こすと言ってきました。弟の思惑通りになるというのは許せません。

しかし、色々と調べた結果、相手から訴訟を起こされると、私が弟の共有持分を買い取るか、不動産全体を売却するか、競売になるかの結果になると聞きました。

ただ、裁判に頼らず解決したいので、どうせなら私の持分だけ、第三者に高く売りたいのですが、その際、共有者の同意なく売却は可能なんでしょうか?

また、いまだに不動産の名義が母のままなのですが、このままだと何か問題があるのでしょうか?

ご相談のポイント

  • 共有持分は単独で売却可能
  • 共有持分の評価額は低い
  • 相続登記について

①共有持分は単独で売却可能

共有の不動産を全体で第三者に売却するためには、共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。

したがって、ご相談者様が同意しない限り、弟様が自宅を全体売却することはできません。

しかし、ご相談者様が懸念されているように、共有者間での協議が纏まらない場合には、弟様から共有物分割請求訴訟を提起する可能性があります。

他方、自身の共有持分を第三者に売却する場合には、他の共有者の同意は不要です(民法206条)。

②共有持分の評価額は低い

但し、共有持分の買主は、弟様という共有者が存在することにより権利に制限がかかった状態を、売主であるご相談者様からそのまま引き継ぐことになります。

結果、買主は、共有持分を持っていても、この家を自分の自由に使用・処分ことができません。

このため、全体で売却したときと比べて、共有持分を第三者に売却する場合は、持分の評価額が著しく低くなってしまいます。このことを「共有減価」といいます。

③相続登記について

全体で売却するにせよ、共有持分を売却するにせよ、売却の前提として、相続登記を行う必要があります。

特に、本件の場合は、お父様の死後の遺産分割協議が整わないうちにお母様が亡くなり、数次相続が発生していますので、2件の相続いずれについても、登記申請する必要があります。

相続登記は、基本的には、相続人間の遺産分割協議に基づいて行われるものですが、各相続人が法定相続分の割合通りに相続するという内容の相続登記であれば、遺産分割協議が成立していなくとも、相続人のうち1名が単独で申請することが可能です。

このような内容の相続登記は、共有不動産に対する保存行為(民法252条5項)と考えられています。

まとめ

共有持分の売却は、他の共有者の同意なく可能です。

但し、第三者へ共有持分を売却する際は、共有持分の評価には共有減価が生じます。

共有持分を売却する前提として、相続登記が必要ですが、法定相続分割合通りであれば、相続人の1名で単独申請が可能です。

相続税の申告期限は、相続登記の有無や遺産分割協議の有無に関わらず、被相続人の死亡を知った日から10か月以内です。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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