共有者間で共有不動産の
分割協議がまとまらない。|法律・税金|相続

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共有者間で共有不動産の
分割協議がまとまらない。

質問現在、土地をABCがそれぞれ持ち分3分の1ずつで共有していますが、共有者間で共有地の分割協議がまとまらずに、共有物分割訴訟を提起し、裁判中です。
しかし、弁護士からは換価競売の可能性があります。と言われ、裁判所からも和解するよう促されています。 何か良い解決方法はありませんでしょうか。

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解説

共有物分割訴訟

民法258条:「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。」
同条2項:「前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。」

と規定されています。本件では、共有物分割請求訴訟を提起していますが、民法258条2項にあるように、裁判所は、「共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるとき」と判断した場合は、共有物を競売させる判決を出すことになります。

土地の場合、現物分割ができる場合が多く、土地測量を行い現実に分割、すなわち、分筆登記をすることになります。しかし、土地の性質や形状によって分割してしまうと土地の価値自体が著しく下がる場合、現物分割をすることは妥当ではありません。

そこで、裁判所は競売に付し、その売却代金を各々の持ち分割合で分ける方法を命じることができるようにしています。これは、たとえ当事者が望んでいな場合でも裁判所が競売の判断をすることもあります。

競売の価格

通常、競売になった物件は相場の約60~70%程度の価格で落札されます。市場に出回っている不動産のように買受人に対する保護が弱いことが一因として挙げられます。また、買受の申し込み自体は裁判所が設定した基準価格あら20%低い価格から申し込めるため、場合によっては市場の半分程度でしか売れない場合もあります。

自己の持ち分のみの売却を検討

上記のように競売は売れた場合でも、市場価格より安価になってしまう可能性が高く、また、そもそも、競売にかけられて、絶対に落札者が現れるとは限りません。そのような場合、入札基準価格を下げ、再度競売にかける場合もあります。そうすると当然落札価格もさらに安くなってしまいます。

また、訴訟を続けるとなると、裁判所へ出向く労力や時間、弁護士費用等を含めた、訴訟費用もかかるだけではなく、何より精神的な負担が大きくなってしまします。そこで、自己の共有持分のみの売却を検討することを推奨いたします。

民法251条:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」

とあり、共有物全体を売却するには各共有者の同意がいることになりますが、自己の共有持分のみであれば他の共有者の同意は不要です。確かに、共有物を全体で売却し、その売却代金を分ける場合よりも共有持分のみの売却の方が取り分は少なくなる可能性は高いです。ただ、例えば、

  • 訴訟継続
    →1,000万円程度の現金が手に入る可能性がある。
  • 訴訟を止める
    →共有持分のみの売却で500万円程度の現金が手に入る。

というケースがあったとします。確かに、共有持分のみの売却ですと、訴訟継続した場合の約半分の現金しか手に入りません。
しかし、前述したように、訴訟継続は精神的負担や経費時間もかかります。また、当初見込んでいた取り分からは少なくなる場合もあります。

それであれば、速やかに自己の共有持分のみを売却し、訴訟からも撤退した方が得策といえます。なお、裁判中でも共有持分の売却はできます。裁判に取られる時間もなくなりますし、何より精神的負担もなくなります。

そうはいっても共有持分の売却は、権利関係が複雑に絡んでいることから、なかなかスムーズにいかないことも多くあります。
実際、共有関係を専門している業者は全国でも数が少ないのが現状です。不動産業者を間違えると、共有持分の売却価格が想定よりもかなり下がってしまうだけではなく、そもそも売却すらできないこともあります。

当社は共有持分のプロとして数多くのトラブルを解決して参りました。共有持分に長けた専門家も多くおります。
まずは、是非一度当社にご相談ください。最適な解決策をご提示させて頂きます。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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