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離婚時に共有物分割請求はできる?

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作成日:
コンテンツ番号:1922

離婚時に共有物分割請求はできる?

ご相談内容

現在、妻と50%ずつ土地と建物の所有権を持っています。

この度離婚することになり、土地と建物をすべて売却したいと考えています。

しかし、売却に関する妻の了承が得られず、話し合いが難航しています。

共有物分割請求訴訟を起こすことも検討しているのですが、アドバイスいただけますと幸いです。

ご相談のポイント

  • 民法上の共有物分割請求のルール
  • 共有物分割請求と権利濫用

①民法上の共有物分割請求のルール

共有物に関して、各共有者は、いつでも、共有物の分割を請求することができます。(民法256条1項)

そして、共有者間での協議が纏まらない場合には、各共有者は、裁判所に対して共有物分割請求訴訟を提起することができます。(民法258条1項)。

これが民法の共有物分割のルールであり、たとえ共有者同士が夫婦であったとしても、共有物分割請求権それ自体は存在します。

しかし、後述するとおり、事情によっては、夫婦間で相手共有者に対して共有物分割請求を行なうことが、権利濫用と判断されるリスクがあります。

②共有物分割請求と権利濫用

裁判例の傾向としては、原則としては、各共有者の共有物分割請求権を尊重しつつも、個別の事情から判断して、各共有者の共有物分割請求の行使を認めることが、当該共有関係の目的、性質等に照らして著しく不合理である場合には、権利の濫用に当たるものと判断されています。(大阪高裁平成17年6月9日判決等)

ここでいう個別の事情としては、客観面と主観面の双方が検討され、分割請求をした側・された側の双方の状況を具体的に利益衡量した上で、権利濫用に該当するか否かの結論が出されます。

例えば、前述の大阪高裁判決では、

  1. 共有不動産が婚姻前に取得した実質的な夫婦共有財産であり、現実に夫婦及び子の自宅として居住してきたこと
  2. 現状、夫(原告)は別居しているが、妻(被告)と子は居住中であること
  3. 本来は離婚の際の財産分与手続で解決されるべきであり、財産分与手続であれば妻の単独所有となる可能性が高いが、共有物分割手続では、妻の資力を考えると、妻の単独所有は実現できないこと
  4. 夫は離婚訴訟すら提起しておらず、妻子に対して法律上の扶助義務を負っているにも関わらず、別居後の婚姻費用の支払いを怠り、妻を経済的な苦境に立たせていること

等の事情を考慮し、事案の結論として、夫の妻に対する共有物分割請求は権利濫用に当たると判断しました。

ご質問の内容だけでは、ご相談者様と奥様の間の具体的な事情・経緯はわかりかねますが、少なくとも、離婚・財産分与前に共有物分割請求を行なう場合には、権利濫用と判断されるリスクがあると言わざるを得ません。

まとめ

夫婦共有の不動産であっても、各共有者には、民法上の共有物分割請求権が存在します。

但し、個別の事情を踏まえて、共有物分割請求を認めることが著しく不合理と判断される場合には、共有物分割請求が権利濫用と判断される可能性があります。

本件のように、夫婦共有の状態を離婚に併せて解消する場面では、まずは財産分与手続で解決すべきとも考えられるところですので、少なくとも、離婚・財産分与前に共有物分割請求を行なうことは、権利濫用と判断されるリスクが高いものと考えられます。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する人への支援を担当しており、これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた経験がある。
相談者の立場に立ち、不利な点も含め、必要な事実を正確に説明する高いプロ意識に定評がある。

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