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使用貸借と共有持分の処分|弁護士Q&A

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使用貸借と共有持分の処分

土地甲:Aの単独所有でその土地上の建物乙3階建を共同所有(共有名義)しています。※なお、BCは夫婦です。

BCはAから土地を無償で借りていましたが(使用貸借)、BC夫妻は不慮の事故で死亡してしまい、息子ⅮがBCを相続しました。
BCの死亡、相続をきっかけに、ⅮはAに「退去または賃料相当の対価を支払え」と言われてしまっています。
Ⅾは「BCはAからただで、無償で借りていた、今になって地代を支払えというのは酷だ」と主張し、地代も支払いたくないと思っています。
認められるのでしょうか。

使用貸借について

使用貸借とは、無償で不動産や動産を貸し付ける契約のことを言います。

(使用貸借)

民法539条:「使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」

不動産の使用貸借の場合、借地借家法の適用はありません。借地借家法は借主に大きな保護を与える法律で、この法律の適用がないということは、使用貸借の場合は法律による保護はほとんどされていないとお考えください。

これは、ただで、無償で借りている人を保護する必要性は低いという理由からです。

借主が死亡した場合

それでは、本件のように使用貸借の借主が死亡した場合法律関係はどのようになるのでしょうか。

(相続の一般的効力)

民法896条:「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」

とあり、DはBCの一切の財産を相続します。よって、通常の賃貸借契約の場合は、賃貸人の地位、賃借人の地位いずれも相続人に相続されます。
しかし、使用貸借の場合はどうでしょうか。民法にはこんな規定があります。

(借主の死亡による使用貸借の終了)

民法599条:「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。」

とあり、通常の賃貸借契約とは異なり、使用貸借は相続の対象とはならず、借主の死亡により終了してしまいます。その理由は使用貸借は人的な信頼関係と貸主の好意的動機を基礎とするものであるためとされています。

そうすると、本件の場合はAとBCらが締結し、ただで貸すという、使用貸借契約はBCの死亡により、終了します。そのためⅮは、Aと別途使用貸借の契約を締結するか、地代を支払う、すなわち賃貸借契約を締結することで土地の利用権を獲得するしかありません。

相続の対象となる場合がある?

上記のように「原則として」使用貸借は相続の対象にはなりません。
しかし、民法599条の規定は任意規定と解されており、借主の死亡後も相続人に引き続き使用貸借継続させる旨の定めをすることはできるとされています。

また、上記のような定めがない場合であっても、使用貸借契約の内容から当事者間の意思を推測し、借主の死亡により当然に使用貸借関係が終了するとはいえない場合、相続の対象とできることもあります。
ただ、特約が無い場合には使用貸借が相続されるのは難しいと考えた方が良いでしょう。

貸主が死亡した場合

逆に貸主が死亡した場合はどうでしょうか。民法599条にはあくまで「借主」の死亡が終了原因としている以上、貸主の死亡は終了原因になりません。
よって、貸主が死亡した場合、貸主たる地位は、相続人に承継されます。

借主からすると使用貸借として不動産か何かを借りて、すぐに貸主が死亡したから出ていけ、というのではさすがに不安定すぎることが終了原因になっていないと考えられます。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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