共有物分割請求により競売になると|トラブル事例|その他
共有物分割請求により競売になると
共有持分アドバイザー松本が担当しました「事例でわかる共有持分」として、北海道札幌市のアパート共有持分をお持ちのO様の相談内容および解決内容をご紹介します。
ご相談内容
土地は叔母との共有持分、建物は1階が私、2階は叔母の区分所有となっています。1階はテナントとして貸し出しており、2階は叔母が住んでいます。
先日、叔母からの申し入れで、私が所有する土地の共有持分を買い取りたいと打診がありました。まったく、売る気はないので断ったところ、今度は弁護士から私に打診があり、回答によっては共有物分割請求を行うと言ってきました。
これって、どうなるんですか?

ポイント
- 共有物分割請求により最悪のケースとは
解決までの流れ
有物分割請求の本来の目的(原則)は現物分割ですが、土地建物の場合、ほとんど現物分割は難しく、申立てる側の主張が相手側の共有持分を買い取るか、相手側に売るかになることが多いと思います。これ以外にも換価競売という方法もあります。
結局のところ、売り買いの話がまとまらなければ、裁判所の判断により競売換価を言い渡されることもあります。
この度の事案で最悪なケースは競売になることです。それは、市場価格より安く落札されるだけではなく、1階のテナントさんから損害賠償請求を受ける可能性が高いです。
2階部分は区分所有になるので、競売対象は土地のみとなり、その土地を第三者が落札した場合、最も怖いのが買受人から「建物収去土地明渡し」の申し立てをされることです。
土地と建物の所有者が異なことになり、この度の事案は借地権の対抗要件はなく、敷地利用権のない建物になるので、土地を取得した第三者としては、建物所有者に対し建物収去を請求することが可能となるのです。
したがって、建物収去の方向に進んでしまうと、1階のテナントとしては、貸主である相談者との賃貸契約であるなか、その履行ができなくなる訳であり、テナントとしては貸主に対し損害賠償請求が可能となります。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。不動産の共有関係解消など相続と不動産分野の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。