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姉妹で相続した共有名義のアパート|弁護士Q&A

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姉妹で相続した共有名義のアパート

ご相談内容

群馬県前橋市にある不動産についてです。

父の遺産として、アパートを私が2/3、妹が1/3の共有持分として相続することになりました。

建物の老朽化に伴い、金融機関から融資を受ける予定で建替えを検討した結果、妹の土地の共有持分は残るため、抵当権の設定で妹の同意が必要と判明しました。

兄弟間であっても、時間が経つにつれて関係がいつまでも良好とは限りませんので、今のうちに共有関係を解消するため、妹の共有持分を相場より安く買い取ろうと考えていますが、何か問題が生じるでしょうか?

ご相談のポイント

  • 共有名義の不動産に生じる制約
  • 兄弟間の共有持分の譲渡と税金
  • 単独で相続するメリット

①共有名義の不動産に生じる制約

まず、共有名義の建物を取り壊すことは、共有物の処分に当たるため、全共有者の同意が必要です。

また、古い建物を取り壊した後に、更地となった共有名義の土地上に新しい建物を建てることについても、全共有者の同意が必要になります。

さらに、金融機関から建替え資金の融資を受けるに当たり、共有名義の土地全体に抵当権を設定する場合も、全共有者の同意が必要になります。

なお、共有持分のみを対象に抵当権を設定する場合には、他の共有者の同意は不要ですが、共有持分のみでは担保価値が大幅に下がるため、金融機関から十分な融資が受けられません。

このように、共有の不動産においては、不動産の処分・活用を図る上で、常に他の共有者の意向に左右されるという制約を受けることになります。

②共有持分の譲渡と税金

共有持分の譲渡の方法には、有償での売買と、無償での贈与があります。

売買の場合は、持分取得者には不動産取得税が課税されますが、贈与での取得の場合には、さらに高額な贈与税も課税されます。

但し、売買の形が取られていても、売買代金が相場に比べて著しく低廉である場合には、実質的には贈与とみなされて、贈与税が課税される恐れがあります。

そのため、兄弟間といえども、贈与と疑われないよう、適正な価格での売買を行なうべきです。

③単独で相続するメリット

以上のような不都合は、相続開始後に、相続人間で、共有名義で不動産を相続する内容の遺産分割協議を行なったことに端を発していると言えます。

相続後の不動産の円滑な処分・活用を実現するためは、相続人の1人が単独で相続する内容の遺産分割協議を行なうことが望ましいです。

この場合、他の相続人との取得財産の不均衡は、償金の支払いで調整することになります。

また、相続により単独名義で取得する場合は、課税されるのは相続税のみであるため、共有名義で相続した後で持分を取得して単独名義にする場合に比べて、税金の負担が軽減されます。

まとめ

共有名義の不動産については、処分・変更を行なうためには全共有者の同意が必要となり、常に他の共有者の意向に左右されるという制約を伴います。

持分の売買代金が著しく低廉であると、実質的に贈与とみなされ、高額な贈与税を課されるリスクがあります。

遺産分割協議により単独名義で相続する方が、不動産の円滑な処分・活用が可能となる他、税金の負担も軽減されます。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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