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【2023年最新版】共有関係を解消する5つの方法

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【2023年最新版】共有関係を解消する5つの方法

共有名義不動産はトラブルになりやすいことから、共有関係を解消したいと考える人が多くいます。

しかし、日頃触れる機会の少ない問題のため、どのような方法があり、どのように進めていけば良いのか分からないという人も多いでしょう。

本記事では、共有名義不動産が抱える問題や共有関係を解消する5つの方法、そして裁判にて共有状態を解消する方法を解説します。

<この記事でわかること>

  • 共有関係を解消する方法
  • 共有物分割請求の手続き
  • 共有者に特別な事情がある場合の対応

1. 共有状態の解消が必要な理由

一般的に、不動産の共有は可能な限り避けたほうが良いと言われています。

相続などで共有名義となった場合も、次の理由から共有状態を解消したほうが良いでしょう。

  • 共有者とトラブルになりやすい
  • 解消しない限り共有者が増え続ける

1-1   共有者とトラブルになりやすい

共有名義不動産は、各共有者が単独でおこなえる行為に制限があるため、不動産の処分や活用を巡ってトラブルになりやすいと言われています。

通常の単独所有の不動産であれば売却したり賃貸したりが自由にできます。

しかし共有名義不動産は他の共有者の同意がなくてはできない行為が多いのです。

例えば共有名義不動産の売却や建て替えには、共有者全員の同意が必要になります。

全員が同じ意見なら問題ないですが、それぞれの主張が違えば活用方法が決まりません。

意見の対立が続くと、共有名義不動産を活用できないまま税金や管理費などの支払いを続けなければならず、利益を得るどころか損失が増える可能性もあります。

1-2   解消しない限り共有者が増え続ける 

共有関係を解消しないまま共有者が亡くなってしまうと、さらに共有者が増える可能性があります。

亡くなった方の共有持分が相続されるからです。

例えばA・Bで不動産を共有していたが、Aが亡くなったとします。

Aの相続人がC・D・Eと3人いた場合、相続後はB・C・D・Eの4人で不動産を共有することになります。

このように亡くなった共有者の相続人が複数いれば、共有持分は細分化され共有者の数が増えてしまいます。

相続が繰り返され、面識のない人と共有状態になっているケースも珍しくありません。

しかし共有名義不動産の活用には共有者の同意や協力が必要不可欠である一方、共有者が増えるほど権利関係も複雑になり、不動産を活用するための手続きをスムーズに進められなくなってしまいます。

2. 共有状態を解消する方法

共有名義不動産のトラブルを防ぐには、共有状態の解消が有効な手段です。

続いては、共有状態を解消する方法を解説していきます。

具体的には次の5つの方法です。

  • 現物分割する 
  • 代償分割する
  • 換価分割する
  • 持分を売却する
  • 持分を放棄する

2-1 現物分割する

共有名義不動産が土地であれば、現物分割が可能です。

例えば100㎡の土地をA・Bが1/2ずつの持分で所有しているなら、50㎡ずつに分けてそれぞれ単独の所有者として登記します。

このようにひとつの土地を複数に分けて登記する手続きを分筆といいます。

ただし、土地をどのように分けるか、どの部分を誰が手にするかでトラブルになる可能性もあるため注意しなければいけません。

2-2 代償分割する

代償分割とは、他の共有者の持分を買い取る、または他の共有者に持分を売却する方法です。

持分の売買金額などに双方が合意できれば可能な方法です。

例えば2人で共有しているなら、代償分割することで買い取った側の単独所有になり共有状態は解消されます。

複数人で共有しているなら、買い取る側は他の共有者全員から買い取らなければ共有状態は解消できませんが、買い取られる側は代償金を手に入れて共有状態から抜け出すことができます。

2-3 換価分割する

換価分割とは、共有名義不動産を売却し、売却代金を持分割合に応じて分配する方法です。これにより共有状態は解消されます。

例えばA・Bの持分割合が1/2ずつ、該当不動産が5,000万円で売却できた場合、A・Bがそれぞれ2,500万円ずつ受け取り共有状態は解消されます。

ただし、共有名義不動産の売却には共有者全員の同意が必要なため、共有者の1人でも反対する人がいれば難しい方法です。(民法第251条)

共有者の人数が多い場合や、共有者の1人が該当不動産に居住している場合は難易度がさらに上がるでしょう。

2-4 持分を売却する

先述のように共有持分は共有者間で売買できますが、第三者への売却も可能です。

共有名義不動産の売却には共有者全員の同意が必要ですが、自己持分のみの売却であれば他の共有者の同意は必要ありません。(民法第206条)

ただし、共有持分は自由に活用できないことから買い手が見つかりにくく、売却価格が低くなりがちです。

少しでも高く売れるよう、共有持分専門の不動産会社に依頼したほうが良いでしょう。

2-5 持分を放棄する

ここまでの解説のように、共有状態の解消にはさまざまな方法があります。

しかしいずれの方法も難しい場合や、お金はいらないからとにかく開放されたいという場合は、持分を放棄することも可能です。

民法第255条に、次のような定めがあります。

共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

つまり、持分は放棄することができ、放棄した場合その持分は他の共有者のものとなります。

他の共有者が複数いる場合は、それぞれの共有持分割合に応じて按分します。

例えばA・B・Cが1/3ずつの持分割合で共有していたが、Cが持分を放棄したとしましょう。

Cが放棄した持分はA・Bに帰属します。

A・Bの持分割合は同じなので、Cの持分1/3×1/2=1/6ずつがA・Bに帰属し、最終的な持分割合は以下のようになります。

A:1/3+1/6=2/6(1/2)
B:1/3+1/6=2/6(1/2)

ただし、持分放棄すると他の共有者は取得した持分に応じて贈与税を支払わなければいけません。

また、持分放棄には所有権移転登記が必要です。

所有権移転登記の申請には他の共有者の印鑑が必要となるため、他の共有者の協力が得られなければ持分放棄は難しい方法となります。

3. 裁判にて共有状態を解消する方法

共有状態を解消するには5つの方法がありますが、土地ではないので現物分割できない、代償分割する資金がない、売却に反対する共有者がいるので換価分割もできないなど、いずれの方法を採ることもできず困ることがあります。

このような場合、他の共有者に共有状態の解消を目的とした請求ができ、当事者間で解決しない場合は裁判にて共有状態を解消することができます。

3-1  共有物分割請求をする 

共有名義不動産を所有する共有者の一人が、他の共有者に共有状態の解消を求めることを共有物分割請求といいます。

親が亡くなり相続が発生すると、実家をとりあえず兄弟の共有名義にしておくケースがよくあります。

そのときは無難な方法に思えても、後々トラブルになることは珍しくありません。

不動産の活用を巡って意見が対立し、話し合いが難航する場合などに共有物分割請求が行われます。

3-2  共有物分割請求の流れ

共有物分割請求は、任意での協議が不調に終われば、最終的には裁判所に判断を仰ぐことができます。

しかし、いきなり訴訟の提起はできません。

共有物分割請求の流れは以下のようになります。

①当事者間の協議
 ↓
②共有物分割調停
 ↓
③共有物分割訴訟

まずは共有物の分割について、当事者間で協議しなければいけません。

分割方法に合意できればその内容で分割し、協議がまとまらなければ調停や訴訟を考えます。

共有物分割調停は、調停委員が交渉の間に入り共有物分割に向けて協議する方法です。

調停委員という第三者を介入して合意を目指します。

しかし共有物分割調停でも決着がつかなければ、訴訟を提起します。

このような流れになりますが、調停は必須ではないため当事者間の協議の後に訴訟を起こすことも可能です。

訴訟では裁判所が客観的に判断した方法で共有物の分割方法を決定します。

そのため、訴訟を提起した人の思い通りの結果になるとは限らないことに留意しなければいけません。 

3-3 共有物分割請求にかかる期間

共有物分割請求訴訟は共有名義不動産の所在地、または訴訟相手の住所地を管轄する地方裁判所へ訴訟を申し立ててスタートします。

訴訟の申し立てから1ヶ月ほどで、共有者全員に裁判所から呼出状が届きます。

呼出状には期日や出頭を命じることが記載されており、答弁書が添えられています。

答弁書とは、訴訟に対する意見などを記載する書面のことです。

裁判所は口頭弁論や答弁書をもって各共有者の主張を審理し、他の共有者から反論がある場合などは複数回にわたって口頭弁論が行われます。

最終的に裁判官から分割方法の判決が下されるまでに、1~2年ほどかかる可能性があります。

長期戦により拘束時間や精神的負担がかかる可能性がある点には注意しなければいけません。

3-4 共有物分割請求にかかる費用

共有物分割請求は内容によってかかる費用が異なりますが、相場は50~150万円です。

主に以下のような費用がかかると考えられます。

  • 弁護士費用
  • 訴訟費用
  • 不動産鑑定費用

弁護士費用には「着手金」と「報奨金」があり、どちらも相場は20~30万円ほどです。

費用は発生しますが、有利に解決するためには弁護士に依頼したほうが良いでしょう。

訴訟には印紙代もかかります。

共有物分割請求訴訟の印紙代は不動産の固定資産税評価額によって変動し、一般的には3~5万円となるケースが多いです。

裁判所から当事者に書類を郵送する郵便切手代も払わなければならず、相手方が一人の場合6,000~8,000円となります。

訴訟のなかで不動産鑑定が必要となるケースでは鑑定費用もかかり、目安は20~30万円です。

 4. 共有者に特別な事情がある場合の対応

共有状態を解消する方法を解説してきましたが、共有者に特別な事情があり解決できないというケースもあります。

例えば、次のようなケースが考えられます。

  • 共有者が認知症の場合
  • 共有者が行方不明の場合
  • 共有者が音信不通の場合
  • 共有者が死亡した場合

上記のような特殊なケースではどのように対応したら良いのか解説していきます。

4-1  共有者が認知症の場合

共有者が認知症になり何をするにも同意を得られないという場合は、「成年後見制度」を利用すると良いでしょう。

成年後見制度とは、認知症も含め、さまざまなことを一人で判断するのが難しい人を法的に保護する制度です。

成年後見制度は「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があります。

任意後見制度は一人で決められるうちに、あらかじめ本人が任意後見人を決めておく制度です。

一方、法定後見制度は認知症などにより本人の判断能力などが低下した後に、家族や親戚が申請をして裁判所に成年後見人を決めてもらいます。

共有者が認知症になり手続きや契約などを一人で決められない場合は、こちらの法定後見制度を利用すれば法定後見人が本人に代わって法律行為も行えるようになります。

4-2  共有者が行方不明の場合

相続を繰り返すうちに共有者が増え、面識のない人と共有しているケースは珍しくありません。

共有者の氏名や所在が分かれば良いのですが、なかには調査をしても所在が分からないというケースもあります。

共有者が行方不明では、何をしようにも同意を得られず、共有名義不動産を売却することができません。

行方不明の共有者以外の共有者の持分が過半数に及ばなければ、賃貸するなどの管理行為もできません。

このように共有者が行方不明では八方塞がりの状態になっていましたが、2023年の法改正により、行方不明の共有者以外の共有者全員の同意があれば共有名義不動産を売却できるようになりました。(民法251条2項)

また、賃貸するなどの管理行為も、行方不明の共有者以外の共有者の持分の過半数により決定できるようになりました。(民法252条2項1号)

手続きの流れとしては、共有名義不動産が所在する地方裁判所に申し立て、裁判所の決定を得たうえで売却などができるようになります。

4-3  共有者が音信不通の場合 

共有者の所在は分かるが、連絡を取っても返答がない場合や明確な返答をしない場合があります。

このような場合も同意を得られないため管理などに困ってしまいます。

こちらも2023年の法改正により、裁判所の決定を得れば、音信不通の共有者以外の共有者の持分の過半数により、管理に関する次項を決定できることになりました。(民法252条2項2号)

管理に関することとは、賃貸したり、賃貸借契約を解除したり、賃料を変更したりといったことです。

ただし共有者が音信不通の場合、共有名義不動産の売却やその共有者が共有持分を失うことになる行為はできません。

4-4 共有者が死亡した場合

共有者が死亡した場合、共有者の法定相続人に持分が引き継がれます。(民法255条)

つまり共有者の死亡後は、法定相続人が新たな共有者になるということです。

すると面識のない人との共有が始まる可能性があり、法定相続人が複数いれば共有者の人数も増えてしまいます。

不動産の売却などでは逐一共有者の同意を得なければいけませんが、他人同然の複数人から同意を得ることは難しい場合もあるでしょう。

このようなリスクを避けるため、共有者が死亡した場合は共有者の相続人に代償分割の交渉をしましょう。

持分を譲る代わりに代償金を得る、もしくは代償金を払う代わりに持分を得るということです。こうして共有関係を解消しておきましょう。

共有者の死亡により相続が繰り返されると、共有関係が複雑になるリスクは高まる一方です。

できるだけ、このタイミングで共有関係を解消しておいた方が良いでしょう。

まとめ

共有名義不動産はトラブルになりやすく、相続が繰り返されることで共有関係も複雑化していきます。

共有関係はできるだけ早く、次の5つの方法で解消しましょう。

  • 現物分割する
  • 代償分割する
  • 換価分割する
  • 持分を売却する
  • 持分を放棄する

しかし「持分を売却する」以外の方法は、共有者の同意が必要になります。

共有者の同意を得るのは難しいが、早く共有関係を解消したいということであれば自己の共有持分を第三者に売却しましょう。

ただし、共有持分の売買取引には専門的な知識が必要になり、他の共有者とのトラブルを防ぐには共有持分を扱った経験が豊富な不動産会社を選ばなければいけません。

中央プロパティーは社内弁護士と連携し、専門的なサポートが可能です。

共有関係を解消したいがベストな方法が分からない、共有者間のトラブルが怖い、共有持分に関する経験が豊富な不動産会社に依頼したいという方は、中央プロパティーへ一度ご相談ください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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