共有持分の一部移転登記は危険?費用と手続き・リスクも解説
目次
相続や生前贈与をきっかけに、「共有持分の一部だけを家族に譲りたい」「持分割合を変更するために一部を移転したい」といった手続きを検討される方は少なくありません。
しかし、安易な一部移転は共有関係を複雑化させ、将来的なトラブルの種をまくことにもなりかねないため注意が必要です。
本記事では、共有持分の一部移転登記に必要な費用や具体的な手順、他の登記との違いについて詳しく解説します。
メリットだけでなく、潜んでいるリスクや根本的な解決策についても触れていますので、手続きを始める前にぜひ参考にしてください。
共有持分の安全・スムーズな売却ならセンチュリー21中央プロパティー ≫
共有持分の一部移転登記とは?基礎知識と仕組み
不動産の権利関係において、特定の持分だけを動かす手続きは専門性が高く、正確な理解が求められます。
まずは次の2点から、「共有持分の一部移転」の基本的な仕組みと、どのような場面で利用されるのかを確認しましょう。
- そもそも「共有持分の一部移転」とは何か
- 登記が必要になる主なケース(売買・贈与)
基本知識①:そもそも「共有持分の一部移転」とは何か
共有持分の一部移転とは、すでに共有名義となっている不動産において、特定の共有者が持つ「持分」のさらに「一部」を他者へ移転することを指します。
例えば、兄弟で2分の1ずつ共有している土地があるとします。
兄が自分の持分(2分の1)のうち、さらに半分(4分の1)を弟や第三者に譲り渡すようなケースがこれに該当します。
なお、すべての持分を手放すわけではないため、移転後も元の所有者が不動産の共有者であることに変わりはありません。
基本知識②:登記が必要になる主なケース(売買・贈与)
一部移転登記が必要になる主な原因には、以下のようなケースが挙げられます。
- 売買:持分の一部を有償で譲渡する場合
- 贈与:持分の一部を無償で家族などに譲る場合(暦年贈与など)
- 財産分与:離婚に伴い、持分の一部を相手方に渡す場合
いずれのケースでも、権利の変動を第三者に対抗するためには法務局での登記手続きが欠かせません。
複雑で間違えやすい「一部移転登記」と他の登記の違い
不動産登記には似たような名称の手続きが多く、混同してしまうと申請ミスや余計な費用の発生につながります。
ここでは、一部移転登記と間違いやすい他の登記として、次の4点を解説していきます。
- 「持分全部移転登記」との違い
- 「所有権一部移転登記」との違い
- 「所有権全部移転登記」との違い
- 「相続による移転登記」との違い
①:持分の「全部移転登記」との違い
最も混同しやすいのが、持分の「全部移転登記」です。
これは、以下の通り自分が持っている共有持分の「全て」を他者に移転する手続きを指します。
- 一部移転:自分の持分の一部だけを移し、自分も共有者として残る。
- 全部移転:自分の持分をすべて移し、共有関係から離脱する(共有者でなくなる)。
不動産の共有関係から完全に抜け出したい場合は、一部移転ではなく全部移転を選択する必要があります。
②:「所有権一部移転登記」との違い
「所有権一部移転登記」は、主に単独名義の不動産を共有状態にする際に用いられる登記です。
例えば、夫の100%単独名義である土地の持分半分を妻に贈与し、夫婦共有名義にする場合などが該当します。
元々が「共有持分」ではなく完全な「所有権」であるため、登記の名称や、登記の際に必要な登録免許税の計算が異なります。
③:「所有権全部移転登記」との違い
「所有権移転登記(所有権全部移転)」は、不動産の所有権そのものを丸ごと移転する手続きです。
共有状態ではない、あるいは共有者全員が協力して不動産全体を売却する場合に行われます。
④:「相続による移転登記」との違い
相続が発生した際に、被相続人(亡くなった方)の持分を相続人が引き継ぐ場合は「相続登記(持分全部移転登記など)」を行います。
これは売買や贈与といった契約行為による移転とは区別され、登録免許税の税率も低く設定されています。
共有持分の一部移転登記を行うメリット・目的
あえて手続きが複雑な一部移転を行う背景には、主に次の2つの目的があります。
- 持分割合の調整・是正ができる
- 生前贈与による相続税対策(暦年贈与など)
メリット①:持分割合の調整・是正ができる
相続時の遺産分割協議の誤りや、所持する持分割合と実際の負担の不一致を解消するために利用されることがあります。
実態に合わせて持分の一部を移転させることで、正しい権利関係に修正します。
メリット②:生前贈与による相続税対策
一度にすべての持分を贈与すると多額の贈与税がかかるため、基礎控除(年間110万円)の範囲内で数年に分けて持分を少しずつ贈与する場合(暦年贈与)に利用されます。
ただし、毎年登記手続きを行う必要があり、その都度後述の費用と手間がかかる点は考慮しなければなりません。
共有持分の一部移転登記を行う具体的な手順と必要書類
ここでは、実際に一部移転登記を行う際の流れと必要なものについて、次の5つのステップから解説します。
- 必要書類を準備する(権利証・印鑑証明書など)
- 登録免許税などの費用を用意する
- 登記申請書を作成する
- 法務局へ申請・提出する
- 登記完了証・登記識別情報通知を受け取る
これらの手続きをご自身で行うことも不可能ではありませんが、書類の不備は却下の原因となるため、5万円前後の報酬を支払って司法書士に依頼することが一般的です。
step1.必要書類を準備する
まずは、一部移転登記に必要な書類を用意します。
▼一部移転登記に必要な書類
- 登記原因証明情報:売買契約書、贈与契約書など移転の原因を証明するもの
- 登記識別情報(または登記済証):いわゆる権利証(移転する側のもの)
- 印鑑証明書:発行から3ヶ月以内のもの(移転する側)
- 住民票:移転を受ける側の住所証明情報
- 固定資産評価証明書:登録免許税の計算に必要
- 委任状:司法書士に依頼する場合
登記原因(売買・贈与など)によって異なりますが、一般的に上記の書類が必要です。
step2.登録免許税などの費用を用意する
登記申請時には、税額は以下の計算式で求められる「登録免許税」を納める必要があります。
- 移転する持分の課税価格(市区町村が管理する固定資産税評価額に移転する持分割合を掛けた価格) × 税率(売買・贈与ともに2.0%)
- 例:固定資産税評価額5,000万円・移転する持分1/4の場合の登録免許税
→5,000万円 × 1/4 × 2.0% = 25万円
このほか、必要書類の取得に数千円~1万円程度の費用がかかります。
step3.登記申請書を作成する
続いて、登記申請書を作成します。
「登記の目的」には「共有者〇〇持分一部移転」のように記載し、移転する持分の割合を正確に記す必要があります。
step4.法務局へ申請・提出する
不動産を管轄する法務局へ、作成した申請書と添付書類を提出します。窓口への持参、郵送、またはオンライン申請が可能です。
収入印紙を台紙に貼って納付するのが一般的です。
step5.登記完了証・登記識別情報通知を受け取る
申請に不備がなければ、1〜2週間程度で登記が完了します。
完了後、新たな権利者に「登記識別情報通知(従来の権利証に代わるもの)」と「登記完了証」が交付されます。
これらは再発行されない極めて重要な書類ですので、厳重に保管してください。
安易な判断は禁物!共有持分の一部移転に潜むリスクと注意点
税金対策や持分調整のために一部移転を検討される方は多いものの、実は根本的な問題解決にはならないケースが大半です。
共有持分の一部移転に潜むリスクとして、次の3点をご紹介します。
- 共有関係が継続するためトラブルの火種が残る
- 共有者が増えたり関係性が複雑化する恐れがある
- 安易に一部移転登記を繰り返すたびに費用がかかる
リスク①:共有関係が継続するためトラブルの火種が残る
一部移転の最大の問題点は、「共有状態が解消されない」ことです。
ご自身が持分を少し減らしたとしても、共有者であることに変わりはありません。
不動産の管理・処分に関する意見の対立や、固定資産税の負担、将来の相続による権利の細分化といった共有持分ならではのリスクはそのまま残り続けます。
リスク②:共有者が増えたり関係性が複雑化する恐れがある
持分の一部を第三者や別の親族に譲渡すれば、共有者の人数が増えることになります。
共有者が増えれば増えるほど、売却や活用の合意形成(全員の同意が必要な行為など)は今よりさらに困難になるということです。
問題を先送りしているうちに権利関係が複雑化し、手がつけられない状態になる原因にもなり得ます。
リスク③:安易に一部移転登記を繰り返すたびに費用がかかる
先述の通り、一部移転登記には登録免許税などの費用が必要です。
さらに、持分の計算や登記申請書の記載方法が特殊であり、一般の方が独力で行うのはハードルが高いため、司法書士報酬もほぼ必須と考えてよいでしょう。
「とりあえず一部だけ移そう」と安易に登記を繰り返すと、その都度費用がかさみ、結果的に高くつくことになります。
一部移転より共有持分の売却が根本解決への近道
共有関係によるストレスやリスクを根本から断つには、中途半端に持分を残すのではなく、共有関係からの完全な離脱、つまり共有持分の売却が最も有効な解決策です。
共有関係解消の有効な手段である持分の売却について、次の3つの視点から解説します。
- 自己持分のみであれば単独で売却が可能
- 他の共有者へ持分全部を売却・贈与する
- 共有持分専門の不動産会社を利用する
自己持分のみであれば単独で売却が可能
ご自身の「共有持分」だけであれば、他の共有者の同意を得ることなく単独で売却できます。
法的な権利として認められており、他の共有者に知られずに手続きを進めることも可能です。
一部だけを移転して問題を先送りするよりも、持分すべてを第三者に売却して現金化する方が、将来の不安を一掃できます。
他の共有者へ持分全部を売却・贈与する
もし共有者(親族など)との関係が良好で、相手に取得資金があるなら、ご自身の持分すべてを相手に買い取ってもらう方法もあります。
これにより、不動産は相手の単独名義(または持分増)となり、共有関係から抜け出せます。
ただし、他の共有者から「なんで特定の共有者に売ってしまったんだ」と非難される可能性もあるため、スムーズな売却を実現するために事前の根回しは必要です。
共有持分専門の不動産会社を利用する
共有者以外の一般の個人が共有持分だけを購入することは稀ですが、専門の不動産会社を利用すれば適正な価格での売却が可能になります。
具体的には、「買取業者に持分を売却する」「仲介業者に持分を買い取ってくれる第三者を仲介してもらう」の2つの方法があり、それぞれの特徴は以下の通りです。
| 利用する業者 | 買取業者 | 専門仲介業者 |
| ビジネスモデル | 不動産業者自身が共有持分を売主から直接買い取る。 | 共有持分の売主と買取を希望する買主(投資家など)を業者が仲介する。 |
| メリット | ・売却までのスピードが早い。 ・複雑な権利関係を抱える案件にも対応可能。 | ・買取業者より高額かつ好条件で売却できるケースが多い。 ・他の共有者とトラブルになりにくい。 |
| デメリット | ・売却金額が市場価格よりも安い傾向にある。 ・売却後に他の共有者とのトラブルになる可能性がある。 | ・契約完了までに2~4週間ほどの期間が必要になることが多い。 ・買取業者に比べて専門業者自体の数が少ない。 |
これらの特徴を踏まえて、多少安くても手早く持分を現金化したい方は買取業者、なるべく高額・好条件で売りたい方は仲介業者を選ぶのがよいでしょう。
センチュリー21中央プロパティーでは、独自のオークションを駆使し、個人の富裕層投資家から不動産投資法人まで幅広いネットワークに対して物件情報を効果的に届けます。
このオークション形式により、最も高い評価額を提示した購入希望者と取引を進めることが可能となりますので、ぜひお気軽にお声がけください。
まとめ
共有持分の一部移転登記は、持分割合の調整や相続税対策として有効な場面もありますが、共有関係そのものは継続するため、根本的なトラブル解決にはなりません。
むしろ権利関係を複雑化させ、将来的な負担を増やすリスクもあります。
手続きの複雑さや費用対効果を考えると、一部移転よりも「持分の完全売却」によって共有関係を解消することが、長期的な安心につながる選択肢といえるでしょう。
共有持分の取り扱いに悩んだら、まずは共有持分のプロフェッショナルである当社・センチュリー21中央プロパティーにご相談ください。
お一人おひとりの状況に合わせ、一部移転が適切か、それとも売却すべきか、最適なプランをご提案いたします。
【相談無料】共有持分でお悩みの方はお気軽にお声がけください ≫

共有者とのトラブル、相続した不動産にお悩みの方は、ぜひ当社の無料相談窓口をご利用ください!
「まずは査定額を知りたい」という方は、以下の無料査定フォームをご利用ください。
共有持分の一部移転登記についてのQ&A
共有持分の一部移転に関してよくある2つの質問と、その回答をご紹介します。
- 共有持分の一部移転登記は自分で手続きできますか?
- 親の共有持分の一部をもらう場合、贈与税はかかりますか?
Q1.共有持分の一部移転登記は自分で手続きできますか?
A. 可能ですが、おすすめはできません。
申請書の作成や必要書類の収集をご自身で行うことは法律上可能ではあるものの、一部移転は計算式や記載事項が複雑で、些細なミスで補正や却下となるリスクが高い手続きです。
確実に行うために、司法書士への依頼をおすすめします。
Q2.親の共有持分の一部をもらう場合、贈与税はかかりますか?
A. 年間110万円の基礎控除を超えると贈与税がかかります。
親から無償で持分の一部を譲り受けた場合、その持分の評価額が年間110万円を超えると贈与税の申告・納税が必要です。
持分の評価額は路線価などを用いて算出されますが、判断が難しいため税理士への相談をおすすめします。
【相談無料】共有持分でお悩みの方はお気軽にお声がけください ≫

共有者とのトラブル、相続した不動産にお悩みの方は、ぜひ当社の無料相談窓口をご利用ください!
「まずは査定額を知りたい」という方は、以下の無料査定フォームをご利用ください。
この記事の監修者
司法書士
司法書士ALBA総合事務所 代表
東京司法書士会新宿支部所属。平成16年に司法書士試験合格以来、一貫して司法書士業界で研鑽を積む。
相続に関する手続き・対策(遺言書作成、相続手続き、成年後見など)、不動産登記(共有持分、権利変更など)、そして債務整理(自己破産、個人再生、過払い金請求など)において、豊富な実績と深い知見を持つ。
会社設立などの商業(法人)登記や、各種裁判手続きにも精通し、多岐にわたる法的ニーズに対応可能。