深刻化する空き家空き地問題と共有|共有持分とは|空き家
深刻化する空き家空き地問題と共有
最近空き家や空き地が多くなり深刻だと聞きます。空き家や空き地は処分してしまえば整理でき、そこまで深刻になるとは思えません。なぜでしょうか?

所有者不明不動産(空き地空き家)はどのくらいあるの?
2017年時点にはなりますが、所有者不明の不動産(空き地や空き家)はどれくらいあると思いますか?
東京ドームくらい?(まあ、そんなことはないですよね)ディズニーランドくらい?東京都くらい?
実はなんと九州の面積に匹敵する程です(国土交通省の発表より)。想像よりも多いと思ったのではないでしょうか。なぜ、そんなことが起こってしまうのでしょうか。それは、処分がしにくくなってしまっているからです。
適切に登記がされていない不動産は相続人たちの共有名義の不動産になります。代を重ねていくごとに共同所有者は増えていき、その不動産を利用したい、処分したいと思った時には共有者は何十人にという状況になってしまっています。
不動産の全部を処分する場合は「全」共有者からの承諾を取り付けなければなりません。所在を追うだけでも手間や労力がかかってしまいますし、一人でも見つけることができなければ、その土地全体の処分をすることはできないのです。
そのため、所有者不明の不動産はどんどん放置されてしまい、代が変わっていくごとに共有者も増えていきどんどん処分しにくくなっていってしまうのです。なお、なんと2040年ごろには北海道の面積程度にもなるという予想すらあります。
空き家を放置は特に危険
誰も利用していない空き家を残し続けるというのは、子や孫らの下の代への余計な財産を残すことになってしまいます。人が利用していない空き家は劣化が早く、損壊や火事でも起きたら、損害賠償義務まで発生してしまうかもしれません。空き家を更地にすると固定資産税も高くなってしまうため、解体をしにくかったり、解体をするにしても共有者の意見がまとまらなかったりと「共有状態を放置=問題を放置」と言っても過言ではありません。
早く共有関係を解消
上記のように共有関係は早く解消するように動くべきです。一つ具体例を挙げて、共有持分解消の方法を考えてみましょう。
例えば父が亡くなった空き家があり、AB兄弟間でその利用処分方法に食い違いがある場合、兄Aは「空き家を売却したい。」Bは「空き家を収益物件として利用したい。」という食い違いがあった場合です。もちろん、話がまとまるに越したことはないのですが、まとまらない場合には、AがBに共有持分を売却できれば、一番良い解決方法と言えます。売りたいAと手放したくないBの意見が一致します。価格面での折り合いがつけばの話ですが。
Bに金銭的な余裕がないような場合は、買い取ってもらうのは難しいかもしれません。だからと言って、あまりに安い金額でBに売却してしまうと贈与とみなされ贈与税がかかってしまう可能性もあるので、この点に関しては注意が必要です。
いずれ売れば良い、いずれ整理すれば良いと問題を先送りにするとどんどん複雑になってしまいます。(整理するのは「今です」とある予備校の先生のセリフ通りですね)
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。