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14. 行方不明の共有者
「失踪宣告」の申立てを活用した不動産売却|共有持分の基礎知識

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14. 行方不明の共有者
「失踪宣告」の申立てを活用した不動産売却

行方不明の共有者|「失踪宣告」の申立てを活用した不動産売却のイメージ
行方不明の共有者|「失踪宣告」の申立てを活用した不動産売却のイメージ

前回は、不動産の共有名義人の一人が「行方不明」の場合の対応を解説しました。今回は、「失踪宣告」の申立てを活用して、共有不動産を売却する方法を見ていきます。

不在者を死亡したものとみなす「失踪宣告」

前回の続きです。もう1つ、別の選択肢としては失踪宣告の制度を利用する方法もあります。同制度は、不在者(行方不明となっている者)の生死不明の状態が一定期間続いた場合に、利害関係人の申立てに基づいて家庭裁判所が失踪宣告をすることにより、不在者が法律上は死亡したものとみなす効果を生じさせるものです。

失踪宣告が行われる場合としては、以下のように1. 普通失踪と2. 特別失踪の2つのケースがあげられます。

  1. 普通失踪

    生死が7年間明らかでない場合

  2. 特別失踪

    戦争、船舶の沈没、震災などの特別な危難に遭遇し、その危難が去った後その生死が1年間明らかでない場合

失踪宣告の申立ては、不在者の配偶者、相続人にあたる者、財産管理人、受遺者など失踪宣告を求めることに関して法律上の利害関係を有する者が行います。申立ての際には以下のような書類が必要になります。

[失踪宣告申立て必要書類]

  • 申立書
  • 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 不在者の戸籍附票
  • 失踪を証する資料
  • 申立人の利害関係を証する資料(親族関係であれば戸籍謄本〈全部事項証明書〉)

申立てを受けた家庭裁判所は、所定の期間を定めて、不在者に対しては生存の届出をするように、不在者の生存を知っている者に対してはその届出をするように官報や裁判所の掲示板で催告します。この期間内に届出などがなかったときには、失踪宣告が行われることになります。

失踪宣告によって、行方不明者は死亡したものとみなされることになります。その結果、行方不明者に相続人がいればその者の同意を得て不動産を売却することが可能となります。また、相続人がいない場合には、行方不明者の持分は他の共有者に帰属することになるので、既存の共有者の同意だけで不動産を売却することができます。

問題解決には様々な専門家のサポートが必要に

共有名義不動産のトラブルを解決する過程では、不動産の評価、税務、登記、法律など解決のために必要となる様々な手続きや派生的に発生する数々の問題への対応が求められることになります。通常、それらの課題や手続きに対して当事者が独力で取り組むことは難しいため、専門家のサポートが必要になるはずです。

具体的には、不動産の評価については不動産鑑定士に、税務に関しては税理士に、登記に関しては司法書士に、法律問題については弁護士に依頼することになるでしょう。そこで、これらの専門家を選ぶ際などに注意しておきたいポイントについても、次回解説していきます。

本記事は、2017年5月26日刊行の書籍『あぶない!!共有名義不動産』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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