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土地と建物の持分を買取って欲しい

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土地の持分を買取って欲しい

土地共有持分と建物区分所有の交換のイメージ

ご相談内容

兵庫県神戸市に土地1/3と建物2階部分および3階部分の権利を持っています。

残りの土地2/3と1階部分は区分所有として兄が権利を持っており、兄はそこで居酒屋を営んでおり、2階も3階も兄が勝手に利用しています。賃料ももらっていません。

それなら、私が持っているすべての権利を兄に買い取ってもらいたいと思っておりますが、金額面で折り合いが付かず、話しが前に進みません。

第三者に私の権利を売りたい気持ちはありますが、兄が親の面倒を長年見てきたので、頭があがりませんから、出来る限り穏便にしたいのです。

何かいい方策はないでしょうか。

ご相談のポイント

  • 第三者への売却自体は可能
  • 区分所有建物の敷地の共有物分割請求の可否
  • 交換という解決方法

①第三者への売却自体は可能

まず、ご相談者様がおっしゃられた、第三者への権利の売却自体は、お兄様の意思に関わらず、法律上可能です。

今回のケースですと、土地の共有持分の売却の他、ご相談者様の区分所有建物を占有していることを理由とした賃料相当損害金請求権を第三者に債権譲渡することも考えられます。

但し、共有の土地が区分所有建物の敷地となっている場合は、後述のとおり、共有持分権者の権利行使が制限されることが予想されます。

②区分所有建物の敷地の共有物分割請求の可否

法律上、共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるとされており(民法256条1項)、共有者間の協議が整わないときは、共有物分割請求訴訟を提起できるのが原則です(民法258条1項)。

しかし、本件のように、共有地が区分所有建物の敷地となっている場合(特に本件のような横割りの区分所有建物の場合は)、敷地の分割を認めると、敷地上の区分所有建物の存立に多大な支障が生じることから、裁判例上は、特段の事情が無い限り、区分所有建物の敷地の共有物分割請求を否定する考え方が有力です。(東京地裁平成20年2月27日判決等)。

このような権利行使の制約のリスクを考えると、区分所有建物の敷地の共有持分を第三者に売却することは困難といえます。

③交換という解決方法

お兄様との2者間で行なう解決策としては、ご相談者様がご提案された、ご相談者様の土地の共有持分及び区分所有建物を全てお兄様に買い取って貰う(土地建物をお兄様の100%所有にする)という方法が、まずは考えられます。

しかし、この方法は、お兄様の金銭面の出費が相当高額になりますので、支払う意思の問題の他、そもそもお兄様に支払う資力がなければ、実現は困難です。

そこで、本件の場合、『お兄様の土地の共有持分とご相談者様の区分所有建物を交換する』という選択肢が考えられます。

この交換を行うと、土地は100%ご相談者様の単独所有となる一方、区分所有建物は全てお兄様の所有となります。

その結果、土地建物の権利関係を、単純な借地契約に整理することが可能になります。

また、精算の対象は、土地の共有持分と区分所有建物の差額で済みますから、前述の完全所有権化の方法よりも、現実の金銭面の出費を抑えられるメリットがあります。

まとめ

共有地が区分所有建物の敷地となっている場合、土地の共有持分の第三者への売却は可能です。

但し、裁判例上、区分所有建物の敷地の共有物分割請求について否定的な考え方が有力であるという状況を踏まえると、現実には第三者への共有持分の売却には困難が予想されます。

本件の場合、お兄様の土地の共有持分とご相談者様の区分所有建物の交換を行なえば、権利関係を単純な借地契約に整理することが可能になります。

また、交換の方法を取る場合は、当事者間での現実の金銭の出費を抑えられるメリットもあります。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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