財産分離|用語集
財産分離
意義:相続人の債権者、あるいは相続債権者及び受遺者には、自己の権利を守るため、相続財産と相続人固有の財産の混同を防ぐための制度のこと
民法941条:「相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。」
とあります。相続開始と共に被相続人に属していた全ての権利義務は相続人に包括的に承継されます。相続人には、限定承認、放棄の選択権がありますが、これらを行使しなかった場合相続(または単純承認)することになります。
相続によって相続財産と相続人の固有財産とに混合が生じ、相続人は混合した財産から、相続債権者と受遺者に対して弁済をするだけでなく、自己固有の債権者に対しても弁済をする必要があります。
そこで、相続人の債権者あるいは相続債権者及び受遺者には自己の権利を守るため、相続財産と、相続人固有の財産の混同を防ぐための財産分離という制度が認められています。どういうことかというと、相続開始後に相続人の債権者あるいは相続債権者及び受遺者の請求によって、相続財産を相続人固有の財産から分離して管理や清算が行われます。
民法943条:「財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は、相続財産の管理について必要な処分を命ずることができる。」
相続分離の請求をした者の優遇
民法942条:「財産分離の請求をした者及び前条第二項の規定により配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先立って弁済を受ける。」
財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先立って弁済を受けます。

この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。不動産の共有関係解消など相続と不動産分野の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。