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共有名義不動産があっても生活保護は受けられる?|弁護士Q&A

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作成日:
コンテンツ番号:849

共有名義不動産があっても生活保護は受けられる?

ご相談内容

父親Aが20年前に死亡後、父親の財産をB(母親)、C(私・実子)、D(弟・実子)で相続しました。

※相続財産の甲土地について、3分の2は、BCの共同所有、3分の1をCDの共同所有という形となっております。

Dは企業をしていましたが、事業に失敗しています。

実は、当初より、甲土地に関して、所有権を主張しないことが条件だったので、父親Aが亡くなってから、甲土地に関する固定資産税の支払いを一切していません。

本題はここからです。 弟Dは倒産や借金返済の生活苦から、生活保護を申請しようとしましたが、役所の担当者から、「甲土地があるため、生活保護は受けられない」と言われているそうです。

弟からは何とかならないか、と言われております。

固定資産税等一切支払っていない弟が所有権の主張をするのはおかしいと思います。

弟は行き詰っていると思うので、共有持分を変な人に売却する等、何をするかわからず不安で仕方ありません。

何か良いアドバイスはありませんでしょうか。

ご相談のポイント

  • 生活保護と不動産
  • 第三者への共有持分の売却
  • 共有者間での共有持分の売却

①生活保護と不動産

生活保護法4条1項は、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と定め、同条2項は、「民法・・に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」と定めています。

そのため、生活保護の受給資格を得るには、(1)収入要件、(2)資産活用要件、(3)能力活用要件、(4)その他の要件(扶養義務者の扶養)の全てをクリアする必要があります。

本件のDは、不動産の共有持分を保有していることから、(2)資産活用要件の部分で審査が通らなかったものです。

居住中のマイホームなど、生活に必要不可欠な不動産であれば、例外的に保有が認められるケースもありますが、本件は、この例外にも当てはまりません。

したがって、Dが(2)の要件をクリアするには、少なくとも、甲土地の共有持分は処分することが必要となります。

たとえDが相続後に固定資産税の支払いを一切負担していなかったとしても、相続による共有持分権の取得が遡って否定されるものではありません。

②第三者への共有持分の売却

共有持分を共有者以外の第三者に売却する場合、他の共有者の同意は不要であり、単独で行なうことが可能です(民法206条)。

しかし、この場合、他の共有者は、ある日突然、全く見知らぬ買主と不動産を共有することになります。

そうなると、共有物件の管理の方法をめぐって、共有者である買主と協議を行なう必要が生じ、買主との間で協議が整わない場合は、買主から共有物分割請求訴訟を提起される恐れがあります。

なお、共有持分の売却先が共有者以外の第三者である場合、買主は、他の共有者が存在するため、自分の思い通りに不動産を使用できないという制約を売主から引き継ぐことになります。

このことから、第三者へ共有持分を売却する場合は、共有持分の価格には大幅な減価が生じることになり、このことを「共有減価」と呼びます。

③共有者間での共有持分の売却

以上のようなリスクを回避するためには、共有持分を、相手共有者自身が購入する必要があります。

ご相談内容の※の記載(甲土地の3分の2をBCの共同所有、3分の1をCDの共同所有)から、現状は、甲土地を2:1の面積比で分筆した上で、一方をBとCの共有名義に、他方をCとDの共有名義にしているものと推測致します。この場合、共有者CがDの共有持分を購入することが考えられます。

なお、このとき、Cは、Dの共有持分を購入することで、(分筆後の)土地の100%の所有者となることができるため、(分筆による土地全体の評価の減価はあるとしても)第三者に共有持分を売却するときのような、共有持分の共有減価は生じません。

まとめ

生活に必要のない不動産の共有持分を保有している場合は、生活保護の受給資格を得ることができません。

共有持分を共有者以外の第三者に売却する場合、他の共有者の同意は不要ですが、他の共有者の立場から見ると、買主との協議の負担、買主からの共有物分割請求訴訟のリスクを抱えることになります。

これらを回避するには、相手共有者自身が共有持分を購入することが必要です。

但し、共有持分の売買は、買主が相手共有者か第三者かで、共有持分の評価額に差(共有減価の有無)が生じます。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する人への支援を担当しており、これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた経験がある。
相談者の立場に立ち、不利な点も含め、必要な事実を正確に説明する高いプロ意識に定評がある。

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