共有持分の売却
(抵当権登記の抹消登記)|トラブル事例|離婚

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共有持分の売却
(抵当権登記の抹消登記)

質問1. 3年前離婚の際、前夫が共有持ち分不動産(私所有の30%)を買い取ってくれるとの約束でしたが、その後全く処理せず連絡しても応じてくれない状態です。共有不動産から発生している賃料を相手共有者が独り占めしているし賃料の分配も受けていない状態です。
2. 面倒な共有関係から離脱したいし、現金化にして他の使い道に回したいと考えています。 ちなみに、前夫は所有持分70%を数年前に自分の会社名義に変更しました。また、根抵当権設定がありましたが、
3. 銀行に確認したところ、「既に消滅、借り入れもなく、根抵当権抹消登記してないだけ」と言われました。
物件の査定や解決方法その他のアドバイスをご提案いただけたら助かります。
よろしくお願いいたします。

共有持ち分不動産の30%を離婚前夫が買いるはすが買い取らず、共有不動産から発生している賃料を独り占めしている図
共有持ち分不動産の70%を自分の会社名義に変更。根抵当権設定が既に消滅している図

1. 前夫が持分を買い取ってくれない

まず、買い取ってくれる約束があったにも関わらず、これを履行してくれない場合には、債務不履行に基づく損害賠償を請求することが考えられます。

(債務不履行による損害賠償)
民法415条:「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」

前の夫に対して、債務不履行を根拠に損害賠償を請求することができますが、これを最優先に行うことはあまりオススメできません。

  • 場合によっては不法行為に基づく損害賠償請求も可
  • また、賃料相当分は前夫の不当な利得にあたるので、不当利得返還請求権の行使を求めることも可能と考えられます。

次の項目で説明するように自己の共有持分を売却し、現金化することを推奨致します。

2. 共有関係を解消、現金化したい

1で解説したように金銭賠償の方法により現金を得る方法も考えられますが、これは相手(前夫)が支払ってくれない限り、金銭の回収はできません。

一方、共有持分「のみ」売却できれば、売却代金を比較的早く手にすることができます。共有持分は他の共有者の同意なくして、各共有者が売却することが可能です。

もちろん、絶対に売却することができるという訳ではありませんが、独自の販売ルートを持つ専門業者に依頼すれば、基本的には問題なく売却することができると考えて頂いて問題ありません(不動産の種類や場所によっても当然変わってきます)。

3. 根抵当権抹消登記してないについて

本件では根抵当権の登記が抹消されていないとのことですが、既に抵当権が消滅している場合には、登記についても抹消登記の手続きをすることを推奨致します。
ここからは、抵当権抹消をしないデメリットについて解説します。

不動産登記権利情報イメージ

例えば、ローンを払い終われば当然、抵当権はなくなるのですが、お金を借りていた金融機関が不動産登記簿から消してくれるわけではありません。
抵当権を抹消していない場合のデメリットは大きく2つです。

  1. 不動産売却する時に不利
  2. 他のローンの審査に影響が出る

まず、基本的に登記簿の情報が基準となり、不動産を売却する際に買い手も登記簿のチェック・確認を行います。
その際、借金を完済したにも関わらず、抵当権の登記が残っているとまだ、借金があり、競売にかけられる可能性があると思われてしまい、売却の際に不利に働いてしまいます。
2も同様で、他のローンの審査も審査する貸付会社が登記を見た際、抵当権登記が残っているとローン審査は厳しくなってしまいます。

抵当権抹消手続きは、そこまで大変な手続きではないので、自身で行うことも可能ではありますが、心配なようでしたら、司法書士に代理してもらった方が良いでしょう。

また、いつまでに行わないといけないといった期限はありませんが、実は注意が必要です。住宅ローンを完済すると金融機関から、借用書である金銭消費貸借契約書、抹消登記に必要な書類などが送られてきます。その中には有効期限が発行日から3カ月という証明書もあるのです。

基本的にはローン(借金)を完済したら速やかに抵当権消滅の手続きをすることを推奨いたします。

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この記事の監修者

永田 泰伸ナガタ ヤスノブ

司法書士

司法書士。福岡県出身。東京司法書士会所属。司法書士ALBA総合事務所代表。遺言書の作成から執行、相続放棄、遺産分割協議、特別代理人選任申立など相続に関する手続き・対策の専門家。親切・安全・丁寧がモットー。

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