土地(不動産)の共有者が
死亡した場合の共有持分の扱い|法律・税金|相続

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:1502

土地(不動産)の共有者が
死亡した場合の共有持分の扱い

民法255条の規定の適用の場面

質問ABで不動産を共有Bが死亡、AはBの共有持分を取得できますか? なお、Bさんには親族は不在です。

AB共同名義の不動産でBが死亡した場合、AはBの共有持分を取得できるかの図

Bさんに特別縁故者(内縁の妻など)がいなければAはBの共有持分を取得できると考えられます。

解説

民法255条

  • 民法255条:「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。」とあります。 Bには親族がいないので、原則他の共有者(A)に持分は帰属することになりそうです。

民法958条の3

一方、こんな規定が民法にあります。

民法958条の3:「…相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」

  • この規定は、被相続人が死亡し、相続人がいない場合に特別に縁故がある人(内縁の配偶者や事実上の養子など)が相続財産を取得する方が国庫帰属するよりは望ましいのではないか、という判断からこの特この制度が存在します。

両者の適用関係

それでは、両者の適用関係はどのようになるのでしょうか。特別縁故者と他の共有者どちらが優先するのでしょうか。参考判例を見てみましょう。

♦参考判例:最高裁平成1年11月24日判決 判旨:「共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法九五八条の三の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、法二五五条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。」

としています。
相続人不存在→958条の3(特別縁故者)→255条という順で相続財産の帰属を決していきます。すなわち、特別縁故者に相続があるか、ある場合には共有者への持分の帰属無し、特別縁故者に相続が無いない場合に初めて他の共有者への帰属の有無の問題になるということです。

共有持分の当事者間売買の場合、売主と買主の思惑は相反するので共有者同士の話を纏めることは非常に困難です。親族間の微妙な関係性や、過去の出来事による遺恨などが一気に噴き出したり、金銭問題が絡むと、なおさら避けて通れないところです。

【合わせて読んでいただきたい記事】

まずは安心できる持分売却の専門家に相談してください!

共有名義や共同名義の不動産等でお悩みではありませんか? 私たちは、共有持分の扱いの実績が豊富な弁護士、不動産鑑定士、司法書士、税理士と連携することで売却から新しい一歩までを安心して任せていただける体制を整えています。

お問い合わせでは、「相続した共同名義の不動産で親族でもめている」「離婚したので共有名義の不動産を売却したい」等の共有持分と関連した相談を毎日いただいております。 共有名義・共同名義の不動産は、共有者の同意なしに売却できます。ただし売却するには経験豊富な不動産会社に依頼する必要があります。

相談は無料です。まずはお気軽にお電話ください。 ご相談者様のお時間、要望に沿って打ち合わせはさせていただきます。
また「親族に内緒で売却したい」「早く現金化したい」といったご要望もぜひお聞かせください。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

この記事のタグ

おすすめの記事はこちら