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松原昌洙が【あぶない!! 共有名義不動産】の第1章を解説

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【松原昌洙が解説】共有名義不動産のトラブルはなぜ起こるのか

全国各地で後を絶たない不動産トラブル。その中でも多いのが「共有名義不動産」をめぐるトラブルです。

「共有名義不動産」とは複数人の名義で所有される不動産のこと。親が亡くなり兄弟姉妹で引き継いだ実家、夫婦でローンを組んで買ったマイホーム、友人同士で共同出資したマンションなど様々なケースがあります。

不動産トラブル解決のスペシャリストが執筆した本書をもとに、「共有名義不動産トラブルが起こる原因、そもそもメリット・デメリットは何か、悩みを放置してしまう理由とその結果引き起こされる事態を解説します。

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ー共有名義でこじれる親戚・家族の関係性

共有名義不動産は、共有者たちの感情や価値観、思惑がもつれ合う可能性が高いことに加え、時の流れで権利関係が複雑になりやすい性質があります。相続によって次の世代に受け継がれるケースは、その最たる例です。

問題が発生した際に早めに対処できなければ、事態はどんどんこじれてしまいます。結果的に、共有者だけでは解決できない深刻なトラブルにまで発展してしまうのです。

さらに、共有名義不動産のトラブルにはどういったものがあるのか、またその解決策は何か、一般的にはあまり知られていないことが追い打ちをかけます。

共有名義不動産に関する基本的な知識が事前に十分に得られず、トラブル発展のリスクを高めているといえます。

ー共有名義不動産のメリット・デメリット

トラブルになりやすいにもかかわらず、なぜ共有名義不動産を選択するのか。

共有名義不動産のトラブルが多発しているということを翻して考えてみると、共有名義不動産はよく行われている一般的な所有の形であるともいえます。共有名義不動産にするメリットが確かにあるということです。

本書では共有名義不動産のメリットとして、次のようなものを挙げています。

  • 不動産の購入費用が安くなる:1人で全額負担するよりも複数人で購入することで費用が抑えられます。
  • 夫婦で購入する場合には住宅ローン等が有利になる:夫婦の収入を合算できるため、借りられる住宅ローンの額が多くなります。また、住宅ローン減税の適用も2人で受けられるので節税効果が2倍になります。
  • 不動産を売却した際に、3,000万円の特別控除を複数で受けられる:不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課されることになりますが、所定の条件を満たせば3,000万円の特別控除を受けられます。共同購入した居住用財産を売却した際には、各共有者の譲渡所得について、それぞれ最大3,000万円を控除できます。

購入コストを抑えられる、節税効果が得られるというのは魅力的です。

一方で、次のようなデメリットもあります。

  • 共有者の承諾を得ずに全体を売却することができない:不動産を売却するためには、共有名義になっている全員分の署名・押印が必要なので、不動産を自分だけの判断で売却することができません。
  • 離婚した場合、売らなくてはいけなくなる可能性が高い:不動産を2つに割って住むことはできないので、共有名義不動産を売却しなければならなくなります。
  • 登記等の諸費用が余分にかかる:登記費用は共有者の人数分だけかかってしまいます。住宅ローンを利用する際にも、そのためにかかる諸費用は人数分必要です。
  • 共有者の収入状況によっては贈与税が課される可能性がある:例えば、1人の共有者の収入がなくなり、収入のある他の共有者が払わざるを得なくなる場合、代わりにローンを支払ったことが他の共有者への贈与とみなされ、贈与税の対象となることがあります。

メリットだけを見て共有名義不動産にすることで共有者たちに様々な悩みが発生します。

ー悩みを放置してしまう理由

生じた悩みを「どうにもならない」と放置してしまうケースは非常に多いです。なぜでしょうか。

共有名義ではない不動産を考えてみましょう。例えば、自分の単独名義で不動産を所有していて、そこに住んでいる場合、固定資産税等を納めるのは、当然のことです。

一方、共有名義不動産の場合は次のような事態もありえます。親から相続した不動産に自分以外の別の親族が住んでいる、自分は居住していないのに、税金だけ負担している、といったケースです。「なぜ住んでもいない不動産の税金を自分が払わなくてはいけないのか」という不満が生まれるのは当然のことです。

このようなケースでも悩みを放置してしまうのは、共有名義不動産の共有者同士が親族であるがゆえに、強い態度で解決に臨めず、あきらめてしまうからです。不満をためこみ、問題を解決することをあきらめてしまうのです。

ートラブルはあなたの代で終わらない

共有名義不動産はトラブルが発生しやすいこと、そしてそのトラブルや悩みを放置してしまいやすいことを説明してきました。問題は、果たしてそれでよいのかということです。

共有名義不動産のトラブルや悩みは時が解決してくれるものではありません。「共有名義不動産がトラブルになりやすい理由」でも触れましたが、共有名義不動産のトラブルは時の経過によってさらに複雑になっていきます。つまり、放置してしまうと自分より後の世代により解決困難な形で引き継がれていってしまうのです。

時を経て相続などが発生すると、共有者が増えていくことが想定されます。持分を細分化しながら、共有者が際限無く増える可能性があるのです。

共有者が増えると事態が複雑になり、泥沼化していくことはいうまでもありません。

次の記事では、共有名義不動産で起こった実際のトラブル事例を紹介します。安易に共有名義不動産を選択した結果どのような事態を招くのか、様々なケースを取り上げていますので、ぜひご参考にしてください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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