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【弁護士Q&A】所在不明共有者がいる場合の売却について相談です基礎知識

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【弁護士Q&A】所在不明共有者がいる場合の売却について相談です

父親の家を相続しました。
父親は私の母親と30年前に離婚しており、20年前に再婚。再婚相手は亡くなっていますが、子供が2人いて、再婚相手2人の子供と私の3人の共有持分です。
この度、この相続した家を売却しようという話になり、再婚相手の子供1人とは連絡がとれたのですが、もう1人とは連絡が取れていません。連絡が取れていない子供の承諾がないと、やはり売却はできないのでしょうか?

不動産が共有である場合、不動産全体の売却は、共有物の処分に該当しますので、全共有者の同意が必要となります(民法251条1項)。したがって、まずは、連絡の取れていない共有者の住所等を調査して、直接コンタクトを取ることを試みることが必要です。

しかし、どれだけ調査を尽くしても一部の共有者の所在が不明であるときに、全共有者の同意がないことを理由に共有物の処分が一切不可能となってしまうと、他の共有者は望まぬ共有関係の維持を半ば永続的に強られることになり不都合です。

令和3年改正前の民法では、この問題への対策としては、(1)家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立て、選任された不在者財産管理人の同意及び家庭裁判所の許可を得た上で、所在不明共有者の持分を処分する、(2)共有物分割訴訟を提起して、分割後の土地を売却するという方法が主なものでしたが、いずれも時間・労力がかかり、また(1)では管理人報酬も発生し、経済的とは言えませんでした。

そこで、令和3年の民法改正では、他の共有者の申立てにより、裁判所が、所在不明共有者の持分を他の共有者に取得させる旨の裁判を行なう制度が新設されました(民法262条の2第1項)。また、所在不明共有者以外の共有者全員が、特定の相手に持分全部を譲渡することを合意しているケースでは、所在不明共有者の持分の譲渡権限を他の共有者に付与する旨の裁判をすることが可能となりました(民法262条の3第1項)。これらの改正により、所在不明共有者が存在する共有不動産の活用の促進が期待されています。

但し、本件において共有となっている不動産は、お父様から相続されたものであるところ、もし、相続人間での遺産分割協議がされていない遺産共有の状態である場合には、上記の新たな制度は、相続開始から10年間は利用が出来ません(民法262条の2第3項、民法262条の3第2項)。このような場合に、10年を待たず出来るだけ早期の売却を希望される場合は、不在者財産管理人制度や共有物分割訴訟といった、従来からの制度を利用する必要があります。

  • 共有不動産の処分には、全ての共有者の同意が必要です。
  • 所在不明共有者がいる場合の従来からの対策としては、不在者財産管理人の選任、共有物分割訴訟等があります。
  • 令和3年の法改正で所在不明共有者の持分取得等の制度が新設されましたが、遺産共有の場合は、相続開始から10年間は新制度が利用できない点に注意が必要です。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する人への支援を担当しており、これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた経験がある。
相談者の立場に立ち、不利な点も含め、必要な事実を正確に説明する高いプロ意識に定評がある。

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