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なぜ、海外の投資家は、共有名義不動産(共有持分)を買うのか?

コンテンツ番号:3672

海外の投資家が日本の共有持分を買う理由

日本国内において、共有持分は、需要の低い「訳あり不動産」として扱われ、買い手を探すのが難しいと言われています。

需要が低い理由は、共有持分を持っていても、不動産全体の活用には、他の共有者の同意が必要になるためです。
しかし、日本の共有持分を購入する海外投資家たちは、居住目的ではなく、投資目的で共有持分を購入します。

例えば、共有者のうち誰か一人が不動産に居住している場合、持分を購入した投資家はその共有者に対して法的な権利に則り、賃料の分配を請求します。

民法第249条2項:共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

その他にも、投資家たちは持分の購入後、共有者の意向を汲み取りながら、不動産の活用方法について協議し、利益を生み出すためのバリューアップの提案等を行うなどして、資産価値を最大化させていきます。

共有持分に投資する「海外投資家」、日本の共有持分を買うのはどんな人?

私たち中央プロパティーが専門的に取り扱う、少し特殊な不動産である「共有名義不動産(共有持分)」。

そんな特殊な不動産を求めて積極的に購入する海外投資家とは、どのような人物なのでしょうか。
複数ある投資先の1カテゴリーとして、日本の不動産である「共有名義不動産(共有持分)」を選んだ投資家です。

投資先は不動産以外にも複数持っている場合がほとんどです。

共有名義不動産の持分を利回り物件として投資目的で購入するのは、国内及びアジアを中心とした海外投資家の方々です。投資家の投資先として挙げられるのが、国内株式、海外株式、金、リート……そして、不動産です。

複数ある投資先カテゴリーの1つとして、不動産、なかでも「共有名義不動産」が選択されています。

投資の見返りとして、「共有名義不動産(共有持分)」の権利による収益が好まれているというわけです。

共有名義不動産=テナンシー・イン・コモン Tenancy in Common

共有名義不動産のことを海外投資家たちはテナンシー・イン・コモン Tenancy in Commonといいます。

米国の4つの所有権

  1. テナンシー・イン・コモン Tenancy in Common
    共同不動産権のこと。日本での「共有名義不動産(共有持分)」と同じ形態です。
  1. テナンシー・バイ・ザ・セブラルティー Tenancy by the Severalty
    通常の単独所有権のこと。所有者が亡くなった場合、相続人が相続します。
  1. テナンシー・バイ・ザ・エンタイアティー Tenancy by the Entirety
    連帯不動産権のこと。夫婦が、共同所有する権利証を作成します。片方が亡くなった場合、残った配偶者に自動的に所有権が移行します。すべての権利が単独所有になった後、その所有者が死亡すると相続手続きが発生します。
  1. ジョイント・テナンシー Joynt Tenancy
    合有不動産権のこと(共有の一種)。共有人数に上限はありませんが、権利の割合は平等です。特徴的なのは、共有者の誰かが亡くなった場合、生存者に亡くなった人の権利が自動的に移行します。例えば、5人で共有していて1人が亡くなれば、4人が4分の1ずつ所有することになります。すべての権利者が死亡した場合、その時点で相続手続きが発生します。

※共有名義をジョイント・アカウント、Joint account、ジョイント・ネームJoint namesと呼ぶ場合もあります。

投資に積極的な海外のカルチャー

前提として、日本人の投資に対する価値観と海外の価値観にはいくつかの違いがあります。

それぞれの文化や経済状況、歴史的背景によって異なる投資スタイルやリスクに対する姿勢が見られます。

1. リスクに対する姿勢

日本人は一般的にリスク回避型の投資を好む傾向があります。安全性を重視し、安定した収益を求めることが多いです。多くの日本人は預金や定期預金を好む傾向があり、株式や不動産への投資に対して慎重です。

一方で、アメリカやヨーロッパの投資家は比較的リスクを許容し、高リターンを狙う投資を行うことが多いです。株式、債券、不動産、ベンチャーキャピタル、暗号通貨など、多様な投資先を検討します。

2. 投資の目的

日本人は資産の長期的な安全性を重視し、年金や老後のための資金確保を目的とした投資が多いです。配当や賃貸収入などの安定した収入を求める傾向があります。

一方で、多くの海外投資家は資産の急速な拡大を目指し、リスクを取ってでも高リターンを追求します。短期的な利益を狙うトレーダーも多く、頻繁に売買を行う傾向が見られます。

3. 投資先の選択

日本人投資家は国内の不動産や株式市場を中心に投資することが多いです。日本では金や不動産などの伝統的な資産への投資が人気です。

一方、海外の投資家は国際分散投資を行うことが多く、世界中の市場に投資します。高成長が期待される新興市場への投資も積極的に行います。

4. 投資教育と情報

日本では学校教育での投資教育が不足しているため、投資に対する知識やスキルが不足している人が多いです。日本語の投資情報に依存するため、国際的な情報にアクセスしにくい場合があります。

一方で、アメリカやヨーロッパでは学校教育や家庭での投資教育が充実しており、若い頃から投資に親しむ機会が多いです。英語を中心とした多様な情報源にアクセスできるため、国際的な視野での投資が可能です。

5. 社会的および文化的背景

日本の文化では慎重さや安定を重視する傾向があり、冒険的な投資は避ける傾向があります。個人よりも集団の利益を重視する文化が影響し、リスクを冒してでも個人の利益を追求することに対して慎重です。

一方で、特にアメリカ圏ではチャレンジ精神が重視され、高リスク高リターンの投資が奨励されることが多いです。個人の利益や成功を重視する文化が強く、リスクを取ってでも成功を目指す姿勢が一般的です。

これらの違いにより、日本と海外では投資に対する価値観や戦略が異なることが多いです。しかし、グローバル化が進む中で、日本人投資家も徐々にリスクを取る姿勢や国際分散投資の重要性を認識するように変化してきています。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。