一身専属|用語集

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一身専属

意義:権利又は義務が特定人に専属し他の者に移転しない性質のこと。

解説

一身に専属する権利義務とは

民法896条:「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」
民法423条:「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。」
一身専属権の例→扶養請求権、生活保護受給権...など

民法上の規定では

使用貸借契約における借主の地位、代理における本人・代理人の地位、雇用契約における使用者・被用者の地位、委任契約における委任者・受任者の地位、組合契約における組合員の地位が一身専属があります。

保証人の一身専属性

裁判では保証が一身専属か問題になることが多くあります。身元保証契約に基づく身元保証債務は、身元保証人の相続人には原則として承継されませんが、賃貸借契約における保証人の保証債務や責任限度額の約定のある保証人の保証債務は、相続人に承継されることとなっています。

♦参考判例①:大判昭和18年9月10日判決
判旨:「「身元保証に関する法律」の施行の前後を問わず、身元保証は特別の事由がない限り身元保証人の死亡によって消滅し、相続人はこれを承継しない。」
♦参考判例②大判昭和9年1月30日判決
判旨:「賃貸借契約における保証人の相続人は、相続開始後に生じた賃料債務についても当然にその保証債務を負担する。」

この記事の監修者

岡田 卓巳オカダ タクミ

弁護士

弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。不動産の共有関係解消など相続と不動産分野の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。

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