離婚した娘が亡くなる。
(親が相続、親が売却したい)|法律・税金|相続
離婚した娘が亡くなる。
(親が相続、親が売却したい)
ご相談内容
ABは5年前に離婚しました。結婚している際に、ABはともに資金を出し合って、甲建物を建てました。その際、乙土地も購入し、そこに甲建物を建てて生活していました。なお、甲建物、乙建物の持分割合は2分の1ずつでした。
離婚後、甲建物は売却し、乙土地は依然ABの共有状態でした。連絡を取ることもなく、乙土地もそのまま放置していましたが、先日娘Bが亡くなりました。
ABには子供がおらず、Bの両親であるCDがBを相続し、乙土地も相続しました。
しかし、Aとは疎遠で、乙土地も娘が離婚しているため、活用する気には到底なれません。Aとの関係も素早く簡単に切りたいとも思っています。
このようなケースでもCDは自己の持分のみ売却できるのでしょうか。

本件の法律関係の整理
ABは共同で出資をし、甲建物・乙土地を購入し、持分割合は2分の1ずつです。この段階で甲建物・乙土地に関しては、ABの共同所有(共有持分2分の1ずつの共有)ということになります。その後、ABは離婚し、乙土地のみ、従前のままABの2分の1ずつの共有になっています。
そして、Bは亡くなり、相続が発生しています。ABには子供がいないので、Bの相続人はA及びBの親CDになります。その点に関する民法の条文を見てみましょう。
(子及びその代襲者等の相続権)
民法887条:「被相続人の子は、相続人となる。」
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
民法889条:「次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹」
とあるように、子供がいない場合(厳密には孫もいない(代襲相続がない)場合)には尊属(親)が相続人になります。本件の場合Bが亡くなったことにより、乙土地については、A・C・Dがそれぞれ持ち分に応じて共有になります。
本件の解決策
共有持分の状態になると共有物のすべてを売却するには、他の共有者の同意がいるため、CDが売却したくても、Aの同意がなければ乙土地「全部」につき売却することはできません。
そうすると、必然的にAと連絡を取らなければいけないことになってしまいます。Aがすんなり売却に応じてくれればよいですが、そうとも限りませんし、そもそも交渉の場にすら出てこないことも考えられます。そうであれば、CDの共有持分「のみ」を売却することをお勧めいたします。
共有持分のみの売却には他の共有者の同意は不要で、各共有者がそれぞれ、売却することができます。本件の場合ですとAの同意なくCDが一緒になりそれぞれの共有持分を売却することになります。特段Aとの連絡を取ることも不要ですし、売却することで、Aとの関係もきれいさっぱり断つこともできます。
売却すると言っても、不動産の共有持分の売却の場合、多くのポイントがあります。
当社では多数の共同所有の不動産の売却実績がございますので、まずは一度ご相談してみてください。
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。