基礎知識
作成日:2017.09.28
民法95条:「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。」
例えば、Aが100万円で不動産を買うと言ったにも関わらず、Bが1,000万円と勘違いして売ると意思表示した場合などが錯誤です。
錯誤の要件として、「法律行為の要素に錯誤」とあります。
「要素」とは、その錯誤がなければ、その意思表示はなかっただろうと考えられるほど重要な部分のことをいいます。
♦参考判例:大判3年12月15日判決
判旨:「その錯誤が無かったならば、その法律行為をしなかったであろう」と一般的に認められる場合をいう。
この要素は2つに分かれます。
①表示の錯誤
上記例は表示の錯誤に当たります。
②動機の錯誤
意思と表示は一致しているが、そもそもの動機で勘違いしている場合。
例えば、Aが家を建てるための土地を探していたとします。
土地の周辺には数年後新しい駅が開設される予定で、それを見越して土地を購入したとします。
ところが、新駅開設がなくなってしまいました。
新駅開設の事実がないと分かっていたら買わなかったので、動機の部分で勘違いしていた、というわけです。
これが、動機の錯誤です。
そのような動機の錯誤により錯誤無効を認めると、相手方は不測の損害を被ってしまいます。
つまり、「勘違いだったので、契約を無効にしてください。」と常に認めてしまうと相手方はたまったものではありません。
そこで…
♦参考判例:大判3年12月15日判決
判旨:「動機が黙示または、明示に表示され、法律行為の内容なった時に限り法律行為の内容の錯誤となる」としています。
つまり、動機の錯誤は、その動機を明示するか黙示の表示がなければ錯誤無効を主張できないことになります。
※「明示」とは相手方に言葉や書面などではっきり伝えることです。
※「黙示」とは暗黙のうちに意思や考えを表すこと。
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■錯誤
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