基礎知識
作成日:2017.08.23
民法720条1項:「①他人の不法行為に対し、②自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、③やむを得ず④加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。」
同条2項:「前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合について準用する。」
① 他人の不法行為
この「他人の不法行為」は故意・過失の要件を備えていることは不要で、客観的・外形的に違法であれば不法行為とされます。
② 自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため
防衛の意思はもちろん必要ですが、同時に侵害者に対する攻撃的な意思があってもよいとされます。
③ やむを得ず
他人の侵害が急迫で国家の救済(例えば警察に助けを求める等)を求める時間的な余裕がなく、加害行為をする以外には他に適当な方法がない場合をいいます。
④ 加害行為
この加害行為は不法行為者に対するものでも第三者に対するものでも良いとされています。
※民法上は第三者の加害行為も正当防衛として認められるのが刑法上の正当防衛との違いです。
④防衛すべき利益と、加害行為によって侵害された利益との間に合理的な均衡
これは、些細な利益を守るために、大きな利益を奪ってはいけないということです。
例えば、時計を守るために人の命を奪うことは均衡がありません。
この場合、過剰に防衛したとして民事責任では不法行為責任が発生する可能性が高いです。
「他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合」
他人の「物」から生じた急迫の危難を避けるために侵害行為(防衛行為)が行われた場合です。
民法上の緊急避難は、「不法行為」によるものでなくても緊急避難になります。
たとえば、不可抗力で犬の鎖が切れて襲われたような場合がこれにあたります。
動物は法律上「物」と扱われます。
※民法上の緊急避難は危険が「物」から生じたものに限られる点が刑法上の緊急避難と大きく異なります。
共有不動産の自己持分を現金化(売却)するメリット・デメリットとは?
みんなが知りたがる“共有持分3つの質問” (いくらで売れる?誰が買う?買ってどうするの?)
共有名義不動産(共有持分)とは?