基礎知識
作成日:2018.05.01
国税は、金銭で一時に納付することが原則です。
しかし、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができます。
(延納の要件)
相続税法38条:「税務署長は、…納付すべき相続税額が十万円を超え、かつ、納税義務者について納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度として、…五年以内の年賦延納の許可をすることができる。…」
延納の担保としては下記に限ります。
①国債及び地方債
②社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
③土地
④建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
⑤鉄道財団、工場財団など
⑥税務署長が確実と認める保証人の保証
※税務署長が延納の許可をする場合において、延納申請者の提供する担保が適当でないと認めるときには、その変更を求めることとなります。
※なお、相続又は遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人又は第三者が所有している財産であっても担保として提供することができます。
延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていることが必要です。
(物納の要件)
相続税法41条:「税務署長は、納税義務者について…相続税額を延納によつても金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額…を限度として、物納の許可をすることができる。」
物納申請財産は次に掲げる財産及び順位で、かつその所在が日本国内にあることが必要です。
<第1順位>
・不動産
・船舶
・国債証券
・地方債証券
・上場株式など
<第2順位>
・非上場株式など
<第3順位>
・動産
となっています。
市場的にも価値がある物が物納の対象とされているようです。
しかし、不動産であればなんでも物納ができるかというとそうではありません。
例えば、不動産でも…
①担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産
②権利の帰属について争いがある不動産
③境界が明らかでない土地
など、問題がある不動産についてはいくら価値があっても物納できません。
その他の船舶や動産についても同様ですので、物納をする際は注意が必要です。
【参考】国税庁ホームページ
共有不動産の自己持分を現金化(売却)するメリット・デメリットとは?
みんなが知りたがる“共有持分3つの質問” (いくらで売れる?誰が買う?買ってどうするの?)
共有名義不動産(共有持分)とは?